本日の一品

東京都内を巡る謎解きツアーブック「消えた6人の謎」

「消えた6人の謎」。謎解き本を多数出版しているリットーミュージック刊

 最近「リアル謎解きゲーム」がブームとなっている。実際に頭と身体を使って謎を解き、制限時間内に閉じ込められた部屋から脱出したり、何らかの目標をクリアするのが目的のゲームだ。通常はこのような「公演型」で行われるが、これ以外にも、建物や狭い範囲を探索して謎を解く「周遊型」や、街を歩きながら建物や看板、オブジェなどを手がかりに謎を解く「街歩き型」というスタイルもある。「街歩き型」は通常制限時間がないため、自分のペースでのんびりと進めることができ、慣れ親しんだ街でも新しい発見があるなど、密かな人気を持っている。

 今回紹介するのは「街歩き型」の謎解きを遊べる書籍「東京謎解きツアーブック『消えた6人の謎』」だ。作者は「HAT-CRi×よだかのレコード」。HAT-CRiもよだかのレコードも「公演型」の謎解きイベントでは多くの実績を積んでいる経験豊富な団体だ。その団体がタッグを組んで世に送り出した本書。そのストーリーはこうだ。

 200カラットのダイヤモンド「ホープリージェント」が東京への輸送中、忽然と姿を消した。その直後、テレビの生放送に不審者が乱入。1枚の謎の暗号を示し、視聴者にホープリージェントを探すように迫る。そして1年後。主人公である、しがない探偵の元を若い女性が訪ねてくる。依頼は行方不明になった兄を探してほしいというもの。そして、兄とそれと相前後して行方不明になった6人がどうやらホープリージェント消失事件と関係しているのではないかと言う。依頼を引き受けた主人公はまず6人の行方を探すべく、東京都内6か所の街へ探索に向かう…。

 探索の対象となる6つの街は「神保町」「秋葉原」「浅草」「原宿」「六本木」「お台場」。さらに、その6カ所の謎を解いて初めて明らかになるもう1カ所。合計7カ所の街で謎を解き、ホープリージェントと行方不明になった兄を探すのが目的となる。

浅草寺。東京でも有名な観光地が謎解きの舞台となる(撮影:moss design unit)
竹下通り(撮影:moss design unit)
お台場(撮影:moss design unit)
専用サイトに回答を入力する

 それぞれの街での謎解きのやり方は、次のような手順となる。まず本書を読み、謎の手がかりがある地点を探す。その場所に実際に行き、手がかりを見つけ記録する。全部の手がかりを見つけ終えたら、出題されている謎を解き、スマホ等を使ってインターネット経由で専用のWebサイトに接続、回答を入力する。謎はひとつとは限らず、すべての謎の回答が正解ならばその街はクリアとなる。そのため、本書を遊ぶためにはスマホ等インターネットに接続できる環境が必要だ。いざとなれば、スマホがなくても自宅や会社のパソコンから回答を入力することはできるが、その場合、その街にもう一度足を運ばなければならなくなるかもしれないことを覚悟すること。

 6カ所の謎解きはすべて同じ形式というわけではない。例えば、神保町編では街に潜む妖怪を探すのが最初の目的だ。六本木編は専用サイトから流れてくる「電子の声」を頼りに、六本木の街を歩くことになる。また、本文をじっくりと読み込むことが大事な街もある。このように謎はバラエティに飛んでおり、別の街へ行く時に「次はどんな謎だろう」とわくわくさせられる。

 それぞれの街ではだいたい1~2時間もあればすべての手がかりを見つけることができるだろう。注意深く周りを見渡すことさえ忘れなければ、手がかりを見つけることは難しくない。しかし、その手がかりが揃った後、解かなければならない謎は、十分に歯ごたえのある本格的なもの。時間制限はないので、喫茶店にでも入ってじっくり考えることができる。どうしてもわからなければ専用サイトに掲載されたヒントに頼るのもありだ。

 本書は多くの東京の観光地が謎解きの街として採用されており、地方から東京へ遊びに来た方が観光地巡りのついでに謎解きをすることもできるようになっている。あるいは、本書を読んで観光スポットを決める方や、本書を遊ぶために東京へ来るという方もいらっしゃるかもしれない。そういう方にも絶対損をすることはない、とお伝えしたい。季節はちょうど夏休み。東京街巡りに十分時間をかけることができる方も多いだろう。熱中症には十分注意して、謎と東京の街を楽しんで欲しい。

製品名販売元購入場所購入価格
東京謎解きツアーブック「消えた6人の謎」リットーミュージック書店1728円

ふろぼず/石川義昭