本日の一品

セロハンテープカッターは”重さ”と”構造デザイン”だ!

テープカッターには様々なサイズ、重量、デザインがあるが、何を求めるかはユーザーによっても違いがあるので、バリエーションある楽しい市場になってきた

 時々、妙なモノにハマって、変にこだわってディープに凝ってしまうことが筆者の欠点だ。今の趣味が大きな場所の必要なクルマや自転車ではないことは幸いだった。しかし、筆者のそれはコレクションとも多少異なるので、長くそれらを保存しておくとか、並行して使うとかいうことは少なく、良い物を見つけるために一時的にたくさんのモノを集めてしまう癖がある。

 今回は急に買い換えようと思い立ったテープカッターを衝動的に独自に調査し始めてしまった。どちらかと言えば、セロハンテープカッターは実用品だ。しかし実用品だからといって、デザインはどうでもよいかというとそういうわけでもないだろう。

 そして、実用品であればあるほど、そのデザインは実用性を補完する“必然のインダストリアルデザイン”であるべきだろう。一方、昨今のステーショナリーという新市場概念で考えるなら“お遊び”のデザインも必要なところがある。

 今回は遊びのデザインはさておき、毎回、セロハンテープをテープカッターから引き出すたびに、テープカッター本体もズルズルとくっついてくるような“イラつく感覚”を払拭したいというのが出発点だった。

 100均ショップから、街の文具屋さん、ネットショップを回って1000円前後のテプカッターを調べた。その結果、筆者が最終的に購入したのが、コクヨ社の「UNIFEEL」(ユニフィール)というテープカッターだ。

UNIFEELはシンプルだけどきちんとデザインされたパッケージも好感度は高い
無骨とも言えるが、気取らないデザインが“必然のデザイン”で心地よい

 最後までセロテープのご本家であるニチバンのテープディスペンサー「直線美」とどちらにするか悩んだ。「直線美」のウリは名前の通り、テープの切断面が従来のギザギザではなく直線に近いという新仕様なのだ。

 しかし、筆者にはその必要性がないこと、価格がUNIFEELの3倍近いこと、そして、何より本体の奥行きが4cmほど大きく、今のデスクに収まりが悪いことが最終的に選択から漏れた理由だ。

 きわめて廉価で販売されているテープカッターは、軽量かつ底面の滑り止めも余り工夫されていないモノが多い。そういう仕様だと、実際の作業でテープを引き出すと、必ず本体も一緒にくっついて来るという現象が起こったり、それに類する不安感が伴うことが多い。

 UNIFEELは、自重1.1kg(実測)とそこそこ重量級だ。加えて、なにより素晴らしいのは、底面に貼られたバックスキンのような繊維素材がデスクの表面をしっかりとグリップして本体が手前に滑りだす不安感は皆無な点だ。

 UNIFEELが自宅に来るまで日常使っていたテープカッターも同じコクヨ製で、UNIFEELより100gも重い商品だったが、安定感は、当然ながら後発のUNIFEELの方が明らかに優れている。テープカッターの基本原則は「重い」ことだが、昨今のオフィス事情や家庭事情を考えると、重くてもコンパクトに仕上げることが求められる。

 指先をテープの下に潜り込ませてテープを引き出すには、コンパクトでも、部分的にそれなりのスペース的余裕は求められるだろう。そしてより良い安定動作のためにはデスク面との摩擦係数をアップしてユーザーの不安感を消すことが最大のユーザーインターフェイスの提供だ。コクヨ社のUNIFEELは実売600円でそれらの多くを実現している本日の逸品だ。

実測重量はアマゾン表示の1.2Kgよりも100g少ない1.1kgだった
従来使っていた同じコクヨ社の見慣れたデザインのテープカッターはUNIFEEL以上に重量タイプだが、奥行きが長く、テープの引き出し時に底面が滑って多少の不安感があった
底面積的には圧倒的に従来使っていたテープカッター(右)が大きいが、意外と底面の素材はスリップする。経年変化なのかもしれない。UNIFEEL(左)は極めてコンパクトな底面積だ
デザイン的にも直線を基本に無駄のない、奥行きの短い省スペース設計で、必然のデザインだ。コンパクトだが指先をテープの下側に潜り込ませるスペースは十分確保されている。実売600円は凄いぞ!
製品名販売場所価格
コクヨテープカッターUNIFEEL(白)Amazon.co.jp600円

ゼロ・ハリ