本日の一品

追加するたび幸せに。組み合わせ自在のBluetoothスピーカー

「Creative D5xm」

 マルチチャンネルスピーカーを見ると、ワクワクしてしまうのはなぜだろう。どう考えたって自宅に置くスペースなんかないのに、マルチチャンネルが活きる音源すらもっていないのに、スピーカーに囲まれるだけで幸せになれそうな気がしてしまう。5.1chもあれば十分過ぎるけれど、最近では11.2chなんていうのもあるようで、体験した日には鼻血が止まらないんじゃないかと、考えるだけで興奮してくる。

 と言いながらも、全くの非オーディオマニアである筆者は、15年くらい前に一瞬サブウーファー付きのステレオスピーカーを使っていたことはあったものの、ほぼずっと2チャンネルのスピーカーで過ごしてきた。微妙な音質の良し悪しを聞き分けるほどの耳もないし、高級サラウンドシステムなんて宝の持ち腐れになるだけ。そもそも冒頭で書いたように、マルチチャンネルにしたところで、スピーカーを背後に置くようなレイアウトを取れるほど広い部屋には住んでおらず、映画だってそう頻繁に自宅で見るわけでもない。とりあえずiPhoneに入れている音楽やラジオをそこそこの音質で楽しめて、時々借りてきた映画を雰囲気良く鑑賞できればいい……などと、筆者と同じように考えている人はけっこう多いように思うのだ。

 そんな時に見つけた「Creative Dxm Signature」シリーズの「D5xm」というスピーカーは、機能をシンプルに絞りながらも、マルチチャンネルのサラウンドシステムっぽい臨場感を手軽に味わえるという、絶妙のバランスを実現している製品だった。スマートフォンなどとBluetoothで接続して音楽をワイヤレス再生する一般的なBluetoothスピーカーだが、一番特徴的なのは、なんと言ってもスピーカーを追加していくことで、どんどんリッチなサウンド環境に進化させられるところ。D5xmを1台だけで使ってもステレオサウンドを存分に楽しめるが、同じ製品を最大3台までワイヤレスで接続し、さらに専用のサブウーファー「DSxm」も追加することで、3.1chのマルチチャンネル環境を構築できてしまう。音声のライン入力にも対応しているので、Bluetoothを備えていないテレビやPCと一緒に利用することも可能だ。

サイドの鏡面風の仕上げが美しい
D5xmの背面もシンプル
Bluetoothで接続するマスターのスピーカーは、複数台とのリンク時は右スピーカーとなる。本体正面にもLEDで表示
本体正面のボリュームスライダーはタッチで操作できる

 3.1chは、左右スピーカー+センタースピーカー+サブウーファーという構成なので、わざわざ背後にスペースを作る必要はなく、すべて前方だけにまとめられるのも手軽でうれしい。5.1chのような全方位から迫ってくるサウンドを聴きたいんだ! という人にはマッチしない製品かもしれないが、マルチチャンネルサラウンドにこだわらず、よりワイドで、迫力のあるステレオサウンドを堪能したい向きにはぴったりではないだろうか。

 しかも、D5xm 1台+サブウーファーとか、D5xm×2台とか、あるいはD5xm×3台といった組み合わせでも使える。D5xmのサイズがコンパクトなラジカセくらい、サブウーファーがオーブントースターより一回り大きい程度と、それなりに存在感があるのは気になるかもしれないが、スペースに余裕がない部屋だったらD5xmを1台だけにするとか、広い部屋に移り住んだらそれに合わせてスピーカーを買い足すとか、さまざまな組み合わせや配置のアレンジを楽しめるのも魅力だ。

サブウーファーの「Creative DSxm」
けっこうデカいこともあって、抜群の重低音を響かせてくれる

 さらに、映画鑑賞の時はリビングを3.1chにし、見終わった後は1台だけ寝室に移動してリビングを2.1ch、寝室でも1台を利用するといった、文字通りの“離れ技”をこなすことも可能。家族がいるなら、それぞれ別のBluetooth機器とペアリングして、好きな音楽を自分の部屋で聴けるというわけだ。

 専用のスマートフォンアプリ「Creative Central」があれば、複数のスピーカーのリンク設定をより簡単に行えて、音楽のジャンルなどに合わせたエフェクトの調整、自身の視聴環境に最適な音質にするキャリブレーションなども実行できる。スピーカー本体だけでも最小限のリンク設定などは行えるが、やっぱりiPhoneやAndroid端末と一緒に使ってこそ活きる製品だろう。

3.1chにセットアップする方法は、専用アプリ「Creative Central」と組み合わせてやると簡単
さまざまな音場を再現するプリセットも用意
好みのサウンドにカスタマイズすることも可能だ

 唯一問題になるところがあるとすれば、価格かもしれない。D5xmが1台で実売2万7000円ほど、サブウーファーのDSxmが1万3000円くらいで、3.1chにすると10万円近い出費になってしまう。今どき10万円も出せばわりと立派な5.1chスピーカーを購入できてしまうのだけれど、Creative Dxm Signatureシリーズはそれとは性格が全く異なる製品で、単なるスピーカーではない、と考えよう。出費を抑えたいならD5xmの下位モデルで機能的にはほとんど差のないD3xm(実売1万3000円前後)を揃えるという手もあるし、それこそ初めは1台だけにしておいて、より満足度を求めたくなったときに買い足す、という方法も可能だ。

 ライフスタイルやユーザーの都合に合わせて自由自在に楽しめるこのCreative Dxm Signatureシリーズ、音質はクリアで、サブウーファーは近所迷惑を気にしなければいけないほど重低音が効いていて、大満足。ただ筆者の場合、せっかくならオフィスではなく、テレビもある自宅に宅配してもらえばよかったなあと後悔気味。4箱分はさすがに手で持てないし、1日1個ずつ運ぶしかないかもしれない。それでも、1個から使い始めて次第に充実していくサウンド環境として楽しめるのも、この製品のすごいところだ。

オフィスのデスクに置いてみたところ。超豪華で大満足
製品名製造元購入価格
Creative D5xmクリエイティブ・メディア2万7088円
Creative DSxmクリエイティブ・メディア1万3453円

日沼諭史