乾くと木になるおがくず粘土「もくねんさん」


おがくず粘土「もくねんさん」パッケージ

 そろそろ年末・年始が気になる季節になってきた。筆者としては、クリスマスの飾りつけを考えたりするシーズンだ。

 毎年、適当に購入してきたものを、これまた適当にアレンジして飾りつけを楽しんでいたのだが、今年はあるインテリアショップで見かけた、本物のクッキーのクリスマスオーナメントを見て、とても素敵だと気に入ってしまった。しかし、本物のクッキーだと当然のことながら食べればなくなってしまう。そして、何より食品であるので、傷みそうな気がしてなんとなく怖い……というような理由で、代わりになるようなオーナメントを探していたのだが、結局見つからずに時間がたってしまい、思い切って自作することにした。

 素材には、先日とある展示会で見かけ、是非使いたいと思って購入しておいたリサイクル素材の粘土を使うことにした。当コーナーでも、過去に紙ねんどが紹介されているが、今回筆者が利用したのは、おがくずから作られた、乾くと木になるというおがくず粘土「もくねんさん」だ。MDF(木材の繊維板)などに興味のある筆者が、オリジナル鉛筆を作れると知って購入しておいたものなので、鉛筆の芯がついているキットである。鉛筆の芯は別の機会に使うとして、こちらの粘土は茶色の色合いといい、持った感じといい、テラコッタ(素焼きの陶器)のような風合いになればイメージとぴったりだ……などと思い、制作を始めた。

 制作してみて分かったのだが、特筆すべきは粘土のべたつきのなさと、木の香りであろうか。ハサミで小さく切っても、ハサミに粘土がのこらず、さらっとしている。かといってまとまりが悪いということもない。そして、何よりも鉛筆の木の部分の匂いがぷんぷんとすごい。べたつかずテーブルなどを汚さないのが長所とのことだが、テーブルの上で伸ばしたりしても、サラっとはがれるのには感動した。新聞紙の上でのばしたときは、写真のように新聞がくっついてしまったので、ラップの上などで伸ばすといいのかもしれない。

 使用感はまさに作っている最中のクッキー生地……の、べたつかない版といったところで、目的にはバッチリ合っており、順調に制作を進められた。説明書の随所に「もくねんさんからのアドバイス」なるコラムのようなものがあり、色々な使い方のアイデアを提案してくれる。もくねんさんなる人物(?)を、なんとなく僧侶のような人であろうと適当な想像をしながらもくもくと作って型ぬきを行うと……かなり、テラコッタのような風合いのクッキー状のものができてきた!

 あとは乾燥するだけとなり、そのまま待つこと数日……。愛猫が制作物のジンジャーマン・クッキー風オーナメントでホッケーを楽しんでいるところに遭遇し、乾くと木独特のカラカラとしたいい音がすることや、意外と軽いことなどを発見し、同時に完全に乾燥し、完成していたことも知ったのだった。

 できあがりはかなり満足のいく仕上がり。木と同様に扱えるらしく、彫刻刀で削ったり、色を塗ったり、ヤスリで形を整えたりできるらしいのだが、素焼き風の味わいが気に入ったので、そのままオーナメントとして使用することにした。

 この「もくねんさん」、ファンの多い粘土らしく、製品紹介サイトの「美術館」コーナーにはかなりの力作も並んでいるので、ものづくりやアートに興味のある方はぜひご覧になってもらいたい。

 もちろん、芯入りの鉛筆キットでは、オリジナルの鉛筆も制作できる。こちらは、カッターナイフなどで普通の鉛筆同様に削れるそうだ。通常の鉛筆では満足できない方にぜひとも入手していただき、チャレンジしていただきたいと思う。


内容。もくねんさん(粘土)、鉛筆の芯、説明書制作にあたって用意したものたち
麺棒を直接ころがしても、べたつかないのでとても扱いやすい新聞紙の上で直接伸ばしたところ、紙がべっとりとくっついてしまったので、その部分をはがしとってやりなおし
クッキー型で抜いていくところ。ココアクッキーを作っているようでいて、漂う木の香りで森林浴のような気分にもなる乾燥中
できあがり。思ったよりテラコッタ風で、とてもいい風合いに仕上がった携帯ストラップ用オリジナルえんぴつの制作例。芯が丸くなったら、カッターナイフで削って使える

 

製品名製造元購入価格
おがくず粘土もくねんさん北星鉛筆300円

 

(珠里)

2012/11/19 06:00