バイクにも最適!? 観光情報もバッチリのアプリ「マップルナビS」
車載ナビと「マップルナビS」の画面 |
筆者は地図帳と一緒にバイクであちこち走り回っていたこともあって、なんとなく関東周辺の地理は把握している。なので、クルマを買うことになったとき、カーナビは「とりあえず付いていればいいか」くらいの感覚だった。そうして最も安価な機種を購入することにしたのだが、実際にクルマで移動するようになると、もうどこに行くにもナビ頼み。何度も買い物に行っている10km先のディスカウントストアでさえも、とりあえずナビに案内させてしまう。そうやって使い続けるうちに、細かいところで不満も出てきて、これだったらもっと高機能な上位機種を選んでおけばよかったなあ、と思っても後の祭り。ナビだけを改めて買い直すのは出費はかさみ、既存のナビが余ってしまうという無駄が……。
そんな中、颯爽と現れたのが昭文社のカーナビアプリ「マップルナビS」。昭文社といえば、「ツーリングマップル」というライダー御用達の地図帳の発行元で、筆者もそのシリーズを地域別に5冊は購入し、使わなくなった今でも大事に本棚にしまってある。数年前に登場した「ツーリングマップルR」は、待望の防水仕様に感動するあまり、地図は足りているのに発売直後に購入に走った思い出もある。そんな昭文社が満を持してリリースしたカーナビアプリなのだから、試さないわけにはいかない。iPhoneアプリなら、すでにある車載ナビを取り外す必要もない。
「マップルナビS」の価格は1400円(7月31日までは半額の700円)と、アプリとしては少々高価。とはいえ、紙の地図帳に比べれば安い方で、一般的な車載用のカーナビなんかとは比較にならないほど低価格と言える。とはいえ、肝心なのは、実際にクルマで使ってみてどうか、というところ。さっそくクルマで出かける用事ができたので、都内と横浜中華街付近の往復、およそ80kmをこれまでの車載ナビと比較しながら使ってみた。
初めにルート検索してみたところ、車載ナビよりも数十分早い到着予想時刻が表示された。これは、「マップルナビS」がVICSによる渋滞情報を取得しておらず、単純に最短距離のルートを提示したためと考えられる。一方車載ナビは、VICSによる渋滞情報を取得できることから、混雑している道をある程度回避したルートを選びつつ、それでも避けきれない渋滞による到着の遅れもきちんと計算に入れている。
アプリ自体の使い勝手としては、一般的なカーナビと似たインターフェイスになっているところがあるものの、ピンチイン・アウト操作による、地図の拡大・縮小は車載ナビより断然高速。メニュー操作のレスポンスもよく、サクサク地図を閲覧できるので、少し先のルートを確認するときも快適だ。大きな交差点では右左折の指示が大きく画像表示されたり、高速道路のパーキングでは簡単なパーキング内の地図も表示されたりと、安心感もある。音声案内は、右左折する交差点や合流、高速道路の料金所など、ポイントごとに再生され、場面によって2km/1km/700m/300m前と、直前のタイミングで教えてくれる。しっかりGPSを捕捉していれば、大きな誤差なく案内してくれるようだ。
ただ、迷いそうにない普通の交差点であっても、「300m先、直進です」といった案内があったり、「まもなく左方向です」という案内が700mほど前にされることもあったりしたので、慣れるまではちょっと混乱してしまうかもしれない。トンネルや地下などでGPSを捕捉できない状態になると案内が完全にストップしてしまうのは、GPSでしか位置を特定できないiPhoneの仕様上仕方がない部分あるが、地名の読み上げもないので、ドライバー1人で音声案内に従って運転する……というのはちょっと厳しいかも。助手席の人が「マップルナビS」を見てルートをドライバーに伝える、というような使い方が今のところはベストだろう。
ところで、「マップルナビS」には、現在地に合った観光ガイドの電子書籍版をすぐに入手できるという特徴もある。たとえば目的地に到着してから画面右下の「ガイドブック」ボタンをタップすると、旅行ガイド「ことりっぷ」と観光情報誌「まっぷるマガジン」の2種類の電子書籍アプリを紹介してくれる。各アプリをすでにダウンロードしている状態であれば、現在地など地図で表示している地域の電子書籍コンテンツをすぐにダウンロードして追加したり、閲覧したりできるというわけだ。各地域ごとの電子書籍コンテンツは、7月4日現在、1冊450円のキャンペーン価格になっていて、なかなかおトク。GPSを活用して、電子書籍内で紹介されているお店までの道案内や距離を表示してくれる機能も便利だ。見知らぬ土地でも、きっとおいしいお店にたどり着けるはず。
一番残念な点は、やはりVICSに対応していないこと。カーナビとして、渋滞情報の表示はやはり不可欠と思う。交通量の多くない地域ならまだしも、都市圏を運転することの多いドライバーにとっては、回避できるできないに関わらず渋滞しているポイントを把握しておきたいし、あてにならない到着予想時刻がストレスになったりするものだ。
そういった点を考慮すると、意外にバイク用ナビとして便利に使えるんじゃないかと思う。一般的なバイク用の車載ナビは、機能のわりに高価だったり、操作性や画面表示が独特すぎることもある。「マップルナビS」の方がはるかに利便性は高く、コストパフォーマンスもよい(iPhoneの本体価格を考慮しなければ、だが)。Bluetoothイヤフォンやスタイラスも用意すれば、案内音声の聞き取りも、グローブ越しの操作も解決する。筆者は今、残念ながら公道を走れるバイクを持っていないが、チャンスがあったらぜひバイクに取り付けて長距離ツーリングのお供にしてみたい。
都内から横浜までルート検索すると、車載ナビとだいたい同じルートを表示した | 高速道路のPAでは、わかりやすい概略地図も表示 | 目的地に到着したら「ガイドブック」ボタンをタップ。その地域にマッチする電子書籍コンテンツの購入をおすすめしてくれる |
購入すると本棚に電子書籍コンテンツが並ぶ | 電子書籍コンテンツ内でもGPSを用いて現在地を特定でき、該当する地図を表示したりお店などへの方向や距離も示してくれる |
旅行ガイドアプリ「ことりっぷ」も利用できる |
横浜中華街でおいしい中華料理を満喫! |
製品名 | 製造元 | 購入価格 |
マップルナビS(iPhoneアプリ) | キャンバスマップル | 700円(キャンペーン価格) |
2012/7/26 06:00