バットを振るのが懐かしい!iPhoneが“野球盤”になるゲーム
アプリズム「アプベースボール」 |
「野球盤」を英訳すると“Baseball pinball”あるいは“Pinball baseball game”になるという。
これは野球モチーフのピンボールなど、「野球を模した、ボールを弾くゲーム」を広く含む表現らしい。筆者はこのことを知り、幼い頃にドライブインで買ってもらった「ポケット野球ゲーム」を思い出した。旅先で遊んだ、小さな銀玉が透明なプラスチックの箱の中で「野球」を永遠に繰り返していた、あのおもちゃも“Baseball pinball”と言えるのだろう。野球盤も、筆者は東京ドーム型のタイプを友人達と、かなり熱くなって遊んでいた。コンピュータゲーム全盛の現在、残念ながらそういった“Baseball pinball”の存在感は以前よりも小さくなってしまったように思える。
今回紹介するのは、そんな野球盤やポケット野球ゲームを思い出させるコンセプトと、現代的なiPhone/iPod touchのアプリを組み合わせた、アプリズム「アプベースボール」。発売後あちこちのブログなどでも取り上げられている話題の製品だ。
「アプベースボール」は、iPhoneをセットする本体と、専用アプリで構成されている。スタジアムを模した「アプベースボール」本体は、まさに野球盤をコンパクトにしたような作り。ホームベース側にバットが、スコアボード裏に投球ボタンと球種選択レバーが装備されているのも野球盤テイストだ(残念ながら消える魔球ボタンは無い……)。iPhoneを付属する専用トレイに入れて「アプベースボール」本体内部にセットする。電源はコイン電池CR2032を使用。この電池はなんと本体内部のLED点灯用。ボタン操作は内部のLEDで光信号に変換され、iPhone/iPod touchのカメラで読み取らせて操作する仕組みになっているのだ。シンプルながら、その工夫に感心してしまった。ちなみに本体は30分間操作が無いとスリープモードとなりLEDが消灯する親切設計だ。
専用アプリはApp Storeから無料でダウンロードできるが、大容量アプリなので3G回線ではダウンロードできない。自宅のWi-Fiなどブロードバンド環境を使ってダウンロードする必要があるので注意しよう。ちなみに「アプベースボール」本体が無くてもプレイできるが、機能が限定されるので「アプベースボール」本体を購入した方がより楽しめる。本体の電源を入れ、iPhoneをセットしてアプリを起動しよう。
ゲーム設定は「シングルプレイ/対戦プレイ」のモード選択、3チームからのチーム選択、3回/5回/9回からのイニング選択が可能。3つチームは、バランス型/コツコツ型/一発狙い型と、性格分けがされている。各チームのキャラクターデザインがファンキーで愉快なのも見ていて楽しい。
ゲーム内容はとってもシンプル、投げて! 打つ! 守備側は投げるボールの種類を「アプベースボール」本体の球種選択レバーで選んで投球ボタンを押せば投球。攻撃側はバネ仕掛けのバットを指で手前に引き、ボールにタイミングを合わせて離せば打撃となる。バットにボールが当たった場合、野球盤のように打球の行方により自動でアウト/ヒットと進塁・得点が判定される。ちなみにバントは無いようだ。
ピッチャーが投げる球種は、「シュート(ボール)」「シュート(ストライク)」「ストレート(ストライク)」「カーブ(ストライク)」「カーブ(ボール)」の5種類と、ランダムに発生する「魔球」があり、ストライクにならない球種はバットを振っても必ず空振りとなる。球種の見極めが試合のポイントだが、シュートもカーブも、ぐにゃぐにゃの軌道で飛んでくるので、見極めは難しい。しかもバットをボールに当てるためのタイミングは結構早めなので、なおのこと見極めは難しい。まず打撃のコツをつかむのが勝利のカギと言えるだろう(逆にシングルプレイ時のCPUは容赦なく打ち込んでくるのだった……)。また、「魔球」は球種選択に関係なくランダムに発生し、必ずストライクを取りにくる球になる。火の玉ボール、竜巻ボール、鉄球ボールと奇想天外なボールが飛んでくるのだが「タイミングはかなりシビア、しかし打てる!」のがミソ。ランダムで発生する事もあり、良くも悪くも試合の行方を決めるポイントになっている。
筆者は外出先で、若い友人と軽く対戦プレイをしてみたが、球種選択レバーは機械式のため切り替える際にガチャガチャと音がする。この「ガチャガチャ音」でどの球種を選んだのか予想ができてしまうので、その読み合い、隠し合いに必死になってしまった。また攻撃側がバットを構えてはじめて守備側が投球を許されるシステムなので、「なかなかバットを構えない」「なかなか投げない」という大人げない焦らしプレイも横行。ほかにも、バットの引きを半分にしてスイングを速くしてみるなど(有効なのかは不明)、画面をタッチするだけではない、本体のギミックを組み合わせているからこその操作性は「なんだか子供の頃に野球盤でやった憶えがあるなあ」と、“Baseball pinball”の時代に先祖帰りをしたようで懐かしく、そして新鮮だった。
野球盤をポケット野球ゲームにしてiPhone/iPod touchに封じ込めたような「アプベースボール」。今度は“Baseball pinball”世代の野球好きが集まる場に持参して、みんなでプレイしてみたいと思う。ビールでも呑みながら。
ま、対戦は負けましたけど……悔しいんです、けっこう |
製品名 | 製造元 | 購入価格 |
アプリズム「アプベースボール」 | ウィズ | 2340円 |
2012/7/25 06:00