ハンディタイプの針無しステープラー「ハリナックス」

針無しステープラー「ハリナックス」

　文具は日々進化を続けている。中でも近年、長足の進化を遂げたのではないかと筆者が思っているのが、金属製の針を必要としないステープラー（いわゆるホッチキス）だ。というのも、今回ご紹介するコクヨの「ハリナックス」に唸らされ、これは針無しステープラーの一つの完成形なのでは？ と個人的に考えたが故のことだ。

　針を使わないステープラー自体は、ずっと以前から製品として存在している。筆者も社会人になりたての10数年前、物珍しさに惹かれ、意気込んで購入したことがある。しかし、留められる紙の枚数が少なかったり、しっかり紙束を留めておくことができなかったりと、あまり使い勝手が良いとは思えず、また妙に図体が大きいため置き場所に困って、結局人に譲ってしまった覚えがある。だからこそ、今回購入した「ハリナックス」を使ってみて、いつの間にか針無しでもここまでいけるようになっていたのか！ と驚いてしまったのだろう。

　「ハリナックス」が書類を留めておく仕組みは、本体の先端に挟み込んだ紙の一部を菱形の「返し」が付く形に切り抜いて、折り返し、同時に開けた細い穴にその「返し」を通して抜けないようにするというもの。このあたりは言葉で説明するのが難しいので写真を見て頂きたいのだが、なるほどこれならガッチリと紙を留めておくことができると感心してしまった。しかも、こうして紙を留めるのにほとんど握力を必要としないのも良い。

　またハンディタイプであるにも関わらず、8枚も紙を留められるという性能にも驚いた。世にある針無しステープラーの多くは「穴開けパンチ」のような形状の据え置きタイプで、前述の通り筆者も置き場所に困ることがあった。近年、ハンディタイプの針無しステープラーも珍しくなくなってきたものの、本体の大きさは留められる枚数とのトレードオフであったりもする。そういった筆者の既成概念を覆したのが「ハリナックス」だったのである。まあ、本製品も普通のステープラーに比べれば大きいのだが、筆者にとっての“一軍”の、要するによく使う文具を入れておく、“机の一番上の引き出し”に収納可能な大きさという点は、代えがたい魅力の一つとして映った。

　言うまでもなく、針無しステープラーの製品紹介でよく挙げられる、「書類をシュレッダーにかけるとき、針を外す必要がない」「書類を留める段になって、ステープラーの針が無くなる心配がない」といった利点は当然兼ね備えている。日常的に仕事などでステープラーを用い、「針」に関して微少なストレスを感じたことがある向きにこそ、一度手にとって使ってみていただきたい一品である。

普通のステープラーよりは大ぶりだが、片手のみで扱えるハンディタイプ	先端に紙を挿して留める。複雑な形の刃がせり出して紙を切り抜き、折り返しているのが見える
実際の留め口。「返し」がガッチリと紙を留めている	留め口を分解してみると、どのような形に切り抜かれ、挿し込まれているのかがよく分かる