地球環境に優しいACME社のカラフルな12本セット「ECO PEN」


カラフルな12本セットでプレゼントにも最適だ

 “エイドリアン・オラブエナガ”というややこしい名前の人物は、ACME社の代表であると同時に、同社のボールペンの代表作でもある「#2」や「クレヨン」のデザイナーでもある。ECO PENはハワイ州に本拠を置くACME社がエイドリアン・オラブエナガのプロデュースのもと、送り出した“人間環境に優しい”デイリーユースの廉価版ボールペンだ。

 本来なら、人間が“地球環境”に何が最適であるか知るわけもなく、ECO PENも、たまたま地球上で今生息している人類にとって優しいと言える物質を使っている、というのが正しい表現だろう。きっと地球から見たら、地表の一部を一時だけ借りているだけの人類が言う「地球環境」なんて大きなお世話に違いない。

 ACME社のECO PENは、ボールペン本体の素材に、従来のプラスチックではなく、トウモロコシを主原料としたプラスチックを採用しているらしい。そのため、リフィルを除く本体の外装部分は、土に埋めると100%生物分解されるECO仕様だそうだ。

 カラフルな12色12本のECO PENは素のボール紙の専用パッケージに入れて1ダースセットでも販売されている。単価で見る限り業界&世界標準であるビックボールペンの3倍以上の価格だが、ありきたりではなく、人間環境に優しいECOマインドと語れる蘊蓄のあるECO PENなら自分なりに価格差には納得が行くのかもしれない。

 ECO PENは1本の重量が約9gだが、それはビックボールペンの1.5倍重い。コストを切り詰め、機能デザインを基本にしているビックボールペンはシンプルな六角形の鉛筆形状をしている。

 一方、ECO PENも丸軸鉛筆の形状をしているが、机上での回転防止を兼ねて握り部分の断面だけは膨らんだ三角形をしている。その部分にインク残量をモニターするスリットがあり、特徴的な三角形断面のグリップ部分は“人間工学に基づいて設計された”と書かれているが、残念ながらその採用理由や効能に関しては全く触れられていない。

 約3倍の価格差には、ECO素材の採用や、効能が含まれているはずなので、本来なら消費者にはより具体的に伝えるべきだろう。またECO PENの芯はリフィル形式ではないので、インクが完全に尽きると本体ごとお払い箱だ。リサイクル不可能なリフィルと、土に埋めると100%生物分解される外装プラスティックとの分離が容易でないところに少しの疑問が残る。

 ECO PENは実際に使ってみるとその良さがわかる商品だ。ホールドしやすいグリップ形状やカラフルなカラーコンビネーションなど、魅力的な点も多い。しかし、そのユニークなデザインや先進性、商品哲学を購入想定ユーザーに正しく伝えることができていない点がきわめて残念だ。プロダクトのコンセプトや哲学は購入対象に確実に伝わってはじめて価値あるものなのだ。


リフィル形式ではないのでインクがなくなればインテリアにするか廃棄だ業界標準のビジネスモデルのBICと比べると一回り大きい。グリップの形状が特徴
こだわりのメモやノートとのコンビネーションも似合うグリップ形状の良さでBICより持ちやすい。芯はBICの1mmより心持ち細い中字

 

商品名実売価格購入場所
ECO PEN 12本セット3150円新丸ビル ACMEショップ

(ゼロ・ハリ)

2010/9/9 06:00