レトロ素材が復活の兆し~昔懐かしい“真鍮文具”
真鍮は、独特の鈍い光沢も魅力だ |
プラスチック製品や、アルミニウムなどの合金を使った製品が溢れかえる文具業界だが、ここ最近は、木製品やセルロイド、アセチロイド等、昭和以前の時代にごく普通に日常製品の素材として使われてきた材料が復活の兆しだ。
文具の老舗であるミドリが、“真鍮”(ブラス)をメインの素材として使用した一連の文具を発売。「ブラス プロダクト」と呼ばれるこのシリーズには、筆箱をはじめ、鉛筆ホルダー、細字のバールペン、定規、クリップなどがラインアップされている。
新しい文具に目のない筆者は、早速、一連の商品を購入した。実際に筆者が購入したモノは、サイズはコンパクトではあるが、ズッシリと重い“ペンケース”、“ブラスペンシル”、“ブラスボールペン”、“ブラス定規”の4種類だ。
定規だけが日本語表現なのに何か意味があるのかは不明だが、古き良き時代の貴重な素材として真鍮を平成の時代に見直すことも目的の1つなら、定規以外も、鉛筆など日本語表記に統一しても良かったかもしれない。
真鍮は、腐食しにくいという特徴がある反面、表面はちょっとしたことでもすぐに変色する。その変色を真鍮独特の“味”と捉えることで、このブラスプロダクトは楽しさが倍加する。毎日使って愛用して、自分の汗と油で変色していくというのが本来は正しいプロセスだ。
しばらく使わなかったペンケースの中で、消しゴム等と定規やペンがピッタリくっついていたりしたら、アッという間に、真鍮のその分だけ変色しておかしな事になってしまう。磨けば綺麗にはなるが、この商品は磨くことなく使い続けたい。基本的には変色も、擦れた傷も、凹みも、全てを“味”だと感じる、心の余裕が必要な商品なのだ。
ペンケースや定規に比べて、ボールペンやペンシルは、きわめて軽量だ。真鍮と言えば銃の薬莢を想像するハードバイルドな真鍮好きにはちょっと頼りないが、これからの季節にシャツのポケットに入れても気にならない軽さだ。
筆者は、今回のシリーズの中に鉛筆削りが見あたらなかったので、ドイツM+R(Mobius+Ruppert)の真鍮製丸型2穴シャープナーを別途購入した。真鍮素材のブラス プロダクトは最初に触れたときには少し冷たいが、人の体温で暖めた後はきわめて快適な人間温度を保持してくれる。クラシカルで価値のあるステーショナリーだ。
細字のボールペンも無垢の真鍮カラーが人気だ。他にカラーモデルもある | 筆者のビンテージもの鉛筆ホルダー(下)とブラスペンシル(無垢) |
シンプルな紙パッケージが真鍮素材とよくマッチしている | 一緒に持ち歩くモノは、大事に長く使ってきたモノがよく似合うはずだ |
商品名 | 実売価格 | 購入場所 |
ブラスペンシル ブラスボールペン ブラスペンケース ブラス定規 | 1260円 1680円 3990円 1050円 | ミドリ・オンラインショップ |
2010/7/13 06:00