大人も使いたい、ナチュラルで暖かい子供用万年筆「abc」
シンプル&チープなパッケージの実力派子供万年筆「abc」。筆者のサファリ用のコンバーターは使用可能だった |
LAMY社はドイツの筆記具老舗メーカーの1つだ。筆記具ファンの端っこにいる筆者も、LAMY社の筆記具をほんの少しだがコレクションしている。
筆記具は、オーディオや楽器と同じように、ある価格帯までは価格と正比例して品質が向上していくが、実用文具としてのしきい値を超えると、差別化のポイントは装飾や書き味など、嗜好や趣味の範疇に入ってくる。
世界で発売されているほとんどのボールペンは、リフィルを製造している数社の交換芯を採用しているので、厳密な意味で書き味を抜きん出て向上させるのは至難の業だ。万年筆についてもその点は似たような背景のようだが、ボールペンよりは特注品率が高い。
日本をはじめ世界で販売されている万年筆の多くは、ヨーロッパ生まれの製品が多い。日本ではあまり見ないが、大人の筆記具の代表格である万年筆には、実は子供のための専用モデルや入門用の万年筆が多く発売されている。
今回ご紹介する製品も、大人も十分使える、いや、むしろ積極的に使いたい子供向け万年筆の「abc」だ。子供用や入門用の廉価版万年筆では生産コストを押さえるため、ボディ材にABS樹脂を使うのが一般的だ。しかし、LAMY社製の「abc」は、握りの部分に本当のメープル材を使い、見かけのナチュラルさと実際に握った時の柔らかさを実現している。
ペン先は、この手の万年筆で最も標準的に採用されるステンレス製の「中字」(M)だ。しかし、中字と一言で言っても、「中字」の基準は、メーカーによって、また国内向けか海外向けかなどでいくぶん違いがある。LAMYの「abc」はペリカーノ・ジュニアやシュナイダー、ステッドラー・ファウンテンペン、LAMY サファリ等と比較すると、ペン先はほんの少しハードで、筆記文字はスリムなイメージだ。
書き味については、なめらかに滑るように筆記できる万年筆を好む人もいれば、筆記時の摩擦による少しの引っかかりに、筆記具としての“万年筆らしさ”を感じる人もいる。「abc」は、ツバメフールス紙に筆記した場合、ペン先が紙面を軽く削り取って行くようなユニークな感覚だ。この適度なタクタイル感覚が好きな人にとっては、LAMY abcは、価格性能比の圧倒的に高い大人も使える子供用万年筆だ。
多くの子供用、入門用万年筆を持っているが、abcは個性の強いタイプだ | 同じLAMYでも、価格が違えば書き味も違うが、全ての人に高い方が良いとは言えないところが万年筆の楽しさだ |
キャップ側面にはオーナーの名前を入れる凹んだスペースがある。筆者は木目調のDymoで名前を入れてみた。最後部にある赤いキューブは、テーブル上にキャップを外して置いたときの自然回転・落下防止のためだ | 少しアンティークな大学ノートなどとデザイン的相性は良いだろう |
商品名 | 実売価格 | 購入場所 |
LAMY社 子供用万年筆「abc」 | 1575円 | Amazon.co.jp内「雑貨島」 |
2010/4/16 06:00