普通が新鮮な“なんちゃってクラシック腕時計”

All ORDINARIES Watchは裏町の質屋でやっと見つけたクラシック腕時計の風貌だ

　Webサイトから始まり、BLOG（日記）、プロフ（自己紹介）、Twitter（つぶやき）まで――そこに強い意志や信念があるかどうかは別としても、昨今は、主張し発信することを良しとする傾向になりつつあるようだ。

　これらの思想は多くの商品デザインにも現われ、それは腕時計の世界も例外ではない。そんな自己主張の強い声高なデザインが目に付く昨今の腕時計界にあって、新製品でありながら、その名の通りまったく普通で、クラシカルなデザインを採用した「All ORDINARIES Watch」を旅先の札幌で見かけて購入した。

　筆者の購入したモデルは、東京に本拠を置く「オール　オーディナリーズ」が発売するオリジナル・ウォッチ（ドレスタイプ）だ。文字盤の色は、クラシカルで強烈な主張を感じさせないシャンパンカラーを採用。腕時計メカをホールドするシンプルなステンレスボディとのバランスは抜群だ。

　比較的軽量で、腕への装着感はきわめて爽快だ。店頭では3個の在庫から、赤い秒針が確実に秒マーカーの真上をトレースする調整の良いモノを購入した。外観は名前の通り、「ごく普通」のクラシック腕時計だが、内蔵されたクォーツムーブメントは非常に精度が高く、日差はもちろん0秒だ。ワンプッシュで装着、脱着できるステンレスバックルも極めてスムースだ。腕時計を装着していることをつい忘れるくらいのナチュラルさだ。

　時には押し出しの強い腕時計も悪くはないが、普段使いにはナチュラルの極みのような「All ORDINARIES Watch」を選びたい。筆者のコレクションしているオールドロレックスやチュードルのクラシカルな腕時計と比較してもまったく引けを取らないデザインの「All ORDINARIES Watch」は、きわめて価格性能比に優れた、なんちゃってクラシック腕時計だ。

外観に反して内蔵クォーツムーブメントは正確で、赤い秒針はマーカーを確実に1秒ごとに刻んで進んでいく	プッシュ式のバックルは、本来ならこの外観のクラシック腕時計にはミスマッチだ。地味で大袈裟ではないバックルは自然な感じで収まっている

1950年代の万年筆や小道具と併せ持ちたい“なんちゃってクラシック腕時計”だ	筆者のガラクタ・クラシック腕時計たちと比べても引けを取らない