太くて安定感のあるLAMYのキャップレス万年筆「ダイアローグ3」


メカ大好き筆記具コレクターなら是非揃えたいLAMYダイアローグ3(左)と日本が生んだパイロット社の名機「キャップレス万年筆」(右)
ダイアローグ3の方がペン先が大きくてツートーンカラーで豪華だ

 LAMY社ドイツの筆記具メーカーで、こだわりあるデザインの筆記具を数多くラインナップする。真面目で信頼性を誇る、ドイツらしい堅いイメージの筆記具だけではなく、カラフルなデザインや斬新なパッケージングのデザインを採用した商品も取り揃えている。

 インダストリアル・デザイナーとしてリチャード・サッパー(Richard Sapper)を敬愛する筆者は、LAMY社の「ダイアローグ1」と名付けられたボールペンを長く愛用している。その後、「ダイアローグ2」と名付けられた2番目のボールペンが登場。そのダイアローグシリーズの最新作にあたる「ダイアローグ3」は、なんと“キャップレス・タイプ”万年筆として登場した。

 「ダイアローグ3」を担当したデザイナーは、ふだんはショートタイプで使用時には伸張するというユニークなボールペン「PICO」をデザインしたフランコ・クリヴィオ(Franco Clivio)だ。

 ちなみに、キャップレスと言えば、日本のパイロット万年筆が一世を風靡したベストセラー万年筆をイメージする人も多いだろう。日本のパイロット社のキャップレス万年筆はノック式なのに対して、本日ご紹介するLAMY社の「ダイアローグ3」は、“ツイスト・アクション”と名付けられた、本体を捻ることによってペン先が露出する仕組みを採用している。

 ペン全体はパラジュウムコート仕上げで高級感があり、胴は標準的な万年筆より少し太めで13.5mm前後。キャップが無い構造で問題になるのは、使わずに置いておくとペン先が乾燥する可能性があることだ。そこで、ペン先が露出する出入り口に当たるシャッターの精度が重要になる。

 パイロット社のキャップレス万年筆は、精度は高いが、言ってみれば、勝手口に作ったペット用ドアのような構造だった。一方「ダイアローグ3」は、鏡面で半球状の金属シャッターが胴体を捻り始めると、同時に回転して開口、ペン先が露出するよりメカニカルな仕組みで、ペン先をひねり出す時の楽しさが嬉しい。

 筆者は中字のMサイズのペン先を選択したが、結果的に正解で満足している。少し太めのずんぐりした胴体を握って、紙の上を滑るように筆記できる感覚は素晴らしい。メカニカルなユーザーを喜ばせるもう一つの特長は、胴体をツイストした時に、半球状のシャッターが開口するのと同時に、動きを見せるクリップだ。

 通常は少し出っ張った形になっているクリップ部分が、筆記時には胴体と一体構造になるよう沈み込む、リトラクタブルな構造を採用している。クラシカルな万年筆のマニアよりも、少しハードでメカ好き、そして何よりモダンな筆記具を探しているユーザーにピッタリの万年筆だ。

先端のシャッターは半球状の蓋がメカニカルに回転してペン先が出てくる100%完璧にペン先が露出した筆記状態
ツイストする(捻る)前は、クリップはその使命通り少し浮いて出っ張った状態だペン先が完全に露出すると、クリップも胴体とピッタリとくっつき筆記を妨げない
商品名実売価格購入場所
LAMY ダイアローグ3 万年筆3万2000円銀座 伊東屋


(ゼロ・ハリ)

2010/2/15 06:00