名機「ウォークマン」でカセット音源をデジタル化


かつては高級家電の代名詞だったウォークマンも、現在はフック吊り対応の環境配慮パッケージである

 ここ数年、ビデオテープをDVDにコンバートしたり、本や雑誌などの紙媒体をScanSnapで取り込んでPDF化したりと、過去のメディアのデジタル化に勤しんでいる。最近はこれに加えて、すでにデジタル化が完了したデータを大容量メディアにまとめることで、デジタル化に加えて省スペース化をも図っている状況だ。このまま一生レガシーメディアのコンバートを繰り返すのでは……という気がするが、目に見えて荷物の量が減っていくのは心地よい。

 さて、筆者にとってこうしたデジタル化プロジェクトの最後の大物が、数百本近いカセットテープの山である。コンバート作業そのものは「デジ造」などのUSB接続アダプターを利用すれば問題ないのだが、いちばんの問題は「カセットデッキがない」ことだ。そう、カセットテープが大量に残っているにもかかわらず、すでに筆者宅では再生環境が存在していないのだ。

 となるとカセットデッキを入手する必要が出てくるわけだが、コンバートが終われば不要になるので、あまり高額な投資はしたくない。最低限の要件としては、ステレオ再生が可能で、イヤホンジャックを備えていることだけ。というわけで、ネットでいろいろと情報を集めて購入に至ったのが、今回紹介するソニーの「WM-FX202」である。

 「WM-FX202」は、かつてのカセット用ウォークマンのシリーズに属する製品だ。Amazonのレビューを見ると、筆者と同じくカセットテープのデジタル化を目的に購入している人が多いようで、そのコストパフォーマンスの高さを評価する声が多い様子。実際に使ってみた筆者の評価もおおむね高く、カセットテープのコンバートに必要十分な機能を備えつつ、実売3000円台半ばという価格は非常にお得だと感じた。据置タイプのカセットデッキがモノラル仕様で1万円弱という製品が多いことを考えると、ステレオ対応でこの価格はリーズナブルなのだ。

 そんなこんなで日々せっせとコンバート作業に精を出しているのだが、ひたすらカセットテープを再生し続けていると、よくもまあこれだけ使い勝手の悪い記録媒体を20年近く使っていたものだと、しみじみ思う。曲名やアーティスト名の表示ができないのはもちろん、曲の頭出しも基本的に手動、46分テープの片面23分を最初まで巻き戻すだけで2~3分経過するのはザラだ。もっとも、どれだけ使い勝手が悪くても、慣れ親しんできたカセットテープという媒体ともうすぐお別れかと思うと、それはそれで寂しくもある。もちろん、だからといってデジタル化を止めたりはしないのだけれど。

同梱品一覧。カセットウォークマン全盛期の製品のようにスリムな筐体ではないずんぐりとした本体。テレビやラジオの音声も聴ける
操作は本体側面のボタンで行う。質実剛健といった感じだ上面にはボリュームや各種のスイッチを装備
ACアダプタではなく単3電池2本で駆動する価格優先なのでオートリバースには対応しない

 

製品名製造元購入価格
WM-FX202ソニー3581円

 

 

(山口 真弘)

2010/2/16 06:00