ジェット機から秘密のささやきまで、なんでも測定する


スポンジを取り付けた状態の本体外観

 人の多い都市圏で生活していると、騒音にまつわる問題は身近に感じることが多いように思う。動物の鳴き声、壁越しに聞こえる隣家の生活音、電車内でのイヤホンの音漏れなどなど。しかし、うるさいかうるさくないか、その感じ方は人それぞれ。ここはひとつ、身の回りのさまざまな音について「どのくらいの音量なのか」を数値化し、客観的に考察できないものか……。

 そんな思いつきを手っ取り早く実現できる騒音計として、「GOD ABILITY デジタルサウンドレベルメーター GS-04」を購入した。実売で6000円~1万円程度と、騒音計としては最も安価な部類に入る。これ以外となると、業務用の数万~数十万円の機種がほとんどだ。とはいえ、決して「GS-04」が低機能というわけではない。測定範囲は30~130dB(ジェット機のすぐそばで120dB程度とされる)と広く、分解能は0.1dB、A特性とC特性の周波数補正切り替え機能を備え、最大値ホールドも可能だ。マイク部分に取り付ける風防用のスポンジが付属し、なにより大きな液晶画面で各種設定状態や数値が見やすく表示されるのはうれしい。本体裏側にはネジ穴が切ってあり、カメラ用の三脚などに固定して測定できる。手で持って測定することももちろん可能だが、風切り音が意外に大きいのか、本体がわずかにでも動くと大きな数値を示してしまうことがある。誤差の元になるため、できるだけ固定して計測するのがよさそうだ。

 難点を挙げるとすれば、記録した最大値を表示し続ける最大値ホールド機能の使いどころだ。ボタンを押したときの音まで忠実に拾ってしまうため、どんなに慎重に操作しても、ポチっと押した瞬間に60dB以上の数値がホールドされ、それより静かな環境で最大値を知りたいときはホールド機能は使えない。電源が9Vの角形電池のみなのも、コンビニなどでの入手のしやすさを考えると、単三形などの電池を使用できたほうが便利に思える。

 ひとまずは、より人間の感じ方に近い数値になりやすいとされるA特性に設定し、手近な身の回りの音量を測定してみた。休日の昼間、閉め切った部屋の中では測定範囲下限の30dB付近をうろうろしている。外からは時折小鳥のさえずりも聞こえてくるが、それにはなぜか反応しない。「GS-04」の測定可能な周波数帯が31.5Hz~8.5KHzなので、その範囲が関係しているのかもしれない。いつもうなっている2年前に購入した冷蔵庫、38.0dB。昼時なので、空腹を満たすためカップ麺をすする、77.3dB。およそ40dBの差は、騒音レベルにして100倍ほどになると考えられている。常日頃からやかましいやつだと憎々しく思っていた冷蔵庫より、自分の麺をすする音の方が100倍騒々しいことになるわけで、冷蔵庫にはすみませんでしたと素直に謝りたい。

 外に出て街中でも計測してみた。結果は以下の通り。人も車も多い都心だけに、麺をすする音に比べて世間がどれほど騒がしいのか、とことん追求してみた。と思いきや、自分の出す音がわりとうるさい部類に入る結果となり、世間に対しても申し訳ないと思う気持ちで一杯である。なお、時間帯による差、対象との距離の違いなども大きく影響するため、数値はあくまでも目安と考えていただきたい。

パッケージケース内には騒音計本体と風防となるスポンジが同梱されている。電池は付属しない
動作時の液晶画面本体裏に9V角形電池を挿入する電源ボックスと三脚等取り付け用のネジ穴がある
【高田馬場 最大98.1dB】ガード下といえば、なぜか高田馬場を思いつく。夕暮れ時の平常時はおよそ70dBほど。当然のごとく電車通過時に最大値を記録し、この時は至近距離でも会話が困難なほど【羽田空港 最大87.4dB】騒音といえばジェット機。ジェット機といえば空港しかない。本当はエンジンの真下で測定したかったのだが、部外者をホイホイと簡単に近づけさせてくれるはずもなく、仕方なく展望デッキで測定。離着陸時以外でも常に70~75dBで推移している。離陸ポイントから目測で500メートルは離れているため期待したほどの大音量は計測されなかったものの、大型機よりも小型機のほうが音量が大きいことがあったのは意外だった
【渋谷 ハチ公前 最大85.5dB】ザ・キングオブ雑踏。その様子を収めるべくカメラを構える外国人観光客たちの横で、1人だけ違う機材を三脚に据え付ける筆者。視線が突き刺さる。ここも常に70~75dB前後で推移しているが、行き交う人々のざわめきよりも、街頭ビジョンの音声や自動車の排気音の方がずっと大きい【青山霊園 最大68.1dB】都心の一等地に広がる、言わずとしれた有名墓地。確かに静かだが、周囲の道路を走る自動車の音が霊園の内部にまでよく響いてくることもあり、感覚的には田園調布より落ち着かない。最大値は子どもが元気に駆け抜けていった瞬間に記録。平常時は45dB前後、最小値は42.7dBだった

 

製品名販売元購入価格
デジタルサウンドレベルメーター GS-04ビーズ5860円

 

(hinotomi)

2009/11/24 06:00