海外旅行で大活躍の音声翻訳手帳


会話本といいつつ手のひらサイズのガジェットだ

 海外旅行時に活躍する会話本のたぐいは、本も電子辞書などのガジェット類も、どちらも長所がある。本だったらパラパラとめくり、ページ全体をささっと見渡すこともできるし、現地の外国人に尋ねたその場で本にメモをすることもできる(そして書き殴りのメモすらも思い出となる)。一方で、電子辞書などのガジェットは、コンパクトながら分厚い辞書数冊分のコンテンツを持ち、最近では電子辞書以外の機能も豊富で、暇つぶしにもいい。ただ、電子辞書の場合は、地元の人に尋ねようとするたびに、キーを何回か押し、目的の単語や文章を検索する必要がある。

 今回紹介するエムケー電子の「おしゃべり紀行」は、基本は旅行で使う会話本でありながら、各センテンスの音声を発してくれるというモノ。しかも会話本の部分も凝っていて、「基本」「ショッピング」「ホテル・観光」などトピックスが書かれたスライド式つまみがあり、このつまみを動かして見たいページを指定し、本を開けるボタンを押すと、本を閉じるストッパーが外れ、本の該当ページが開く。ちなみに文章の語り手兼編者は、高校まで中国在住だった日本人で、NHK国際局で中国語番組に携わる、いわば中国語のプロだ。

気になる会話をボタンを押して開くと、本の該当ページが開く

 中国に滞在していることが多い筆者は、筆者に会いに来る友人知人に、この製品を勧めている。アメリカでは、多少つたない英語を話しても、「ワールドスタンダートな言語で、いろんな国の人間がいるから下手な人も当然いる」といったスタンスで耳を傾けてくれるが、中国ではそうはいかないのである。ロシア人っぽい人からタイ人っぽい人、アラブ人っぽい人まで、様々な顔の人がいる中国では、「日本人顔」が一生懸命つたない中国語で何かを尋ねても、「北京語が下手な中国人」と勘違いされる可能性が高く、「標準語も話せない田舎モノ」としてけんもほろろに対処される可能性がある。しかも中国語は発音(声調)が重要で、少しでもミスをしたら意味が伝わらず、結局本を見せて文字ベースの会話となってしまう。つまり、こういったアイテムは、特に中国語版は、是非携えて欲しいということだ。

 本製品は、日本でも珍しい一品だけに、これを使って外国人と会話をしようとしたら、外国人がこのガジェットのほうにばかり興味を持ってしまう可能性もあるが、それもまた、ひとつの出会いのきっかけとなるのではないだろうか。

 

製品名製造元購入価格購入場所
おしゃべり紀行エムケー電子8190円トコー

 

(山谷 剛史)

2009/6/29 11:00