本日の一品
もっとカラフルで楽しくなったタイベック製の財布と腕時計
2016年11月14日 06:00
このコラムをご覧頂いている読者諸兄なら、タイベック(Tyvek)が何物であるかはおおよそご存知だろう。化学メーカーのデュポン社が開発した「不織布」だ。
繊維を織って作る一般的な布に対して、不織布はその名の通り、繊維を織らずに作る。熱や化学的な作用によって、繊維を絡み合わせたシート状にしたものだ。強靭で破れにくく、耐水性が高いという性質がある。
その特性を利用して建設資材や医療関係などで使われることが多かったが、ここ数年ほど、カバンやペンケース、財布などが数多く登場してきている。筆者は、これらの商品が初めて市場に登場した頃からの自称タイベックコレクターで、いくつかのバリエーションの財布やバッグ、書類ケースなどをコレクションしている。
多くがシンプルなデザインのタイベック素材の財布だが、市場に登場して数年以上が経過すると、普通の財布として持ってもおかしくないようなデザインの商品が登場している。そんなブランドの1つが、ドイツに本拠を置く「I like paper」だ。
「I like paper」は、アーティストがデザインしたカラフルなタイベックシートを使った財布やポーチ、スマホケース、パスポートケース、デジタル腕時計を揃えている。筆者が購入したのは、日本円札とクレジットカードが入るサイズの財布で、従来のタイベック製財布には無かった小銭入れ付きの製品だ。
小銭のフラップ部分には本体のデザインと違和感の無いように、透明なベルクロを上手く活用している。適度な量の小銭なら、ベルクロの接着力で十分問題なく収納できる。
I like paperでは、財布と同様にタイベック製のベルトを使用した腕時計「Pappwatch」も販売している。本コーナーでも過去に紹介している、「SUCK UK」の製品(※関連記事)とほとんど同じ作りだ。アーティストが凝ったデザインをほどこしたタイベックシートを使用したことで、よりデザイン性の高い商品に仕上がっている。
構造的には、デジタルウオッチのメカ部分をタイベックシートで包んだシンプルなものだ。サイズが小さい腕時計では、財布のように一部を縫うことは難しいので、両面テープや接着剤で貼り付ける方式を採用しているのだろう。
従来製品と異なるのは、ベルトの周囲のサイズを固定する「美錠」や「つく棒」、「遊革」にプラスチック製の部品を採用したことだ。タイベック素材にこだわりのある筆者から見れば、他の素材のパーツを一つでも取り込むことはかなり残念な“邪道”にも思える。しかし、腕時計のユーザーとしては、着用した時の確実性やホールド性を考えるなら、安心感のある選択とも言える。
100万円を超えるような高級腕時計を除外すれば、現在の日本での人気腕時計といえば、日本市場ではスタンダードな商品が売れているようだ。「ミニマルな機能で真面目、シンプルなデザインでアフォーダブルな価格」と言えば聞こえは良いが、裏を返せば「冠婚葬祭腕時計」な地味な商品ともいえる。
決して真面目なデザインや設計、製造工程を非難するわけではないが、短い人生、たまには思い切りチープなお遊びイメージで、視認性や装着性といった腕時計の本来のを全て忘れ去るような、「想定外の楽しさ」のある腕時計を着けてみるのも良いのではないだろうか。
製品名 | 販売元 | 購入価格 |
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タイベック製 財布・ペーパーウォッチ | I like paper | 18~30ユーロ |