本日の一品

お子ちゃま用レコードプレーヤー「D-Jay」が面白い!

 タブレットや楽器など、明確に「お子ちゃま用」とうたっている玩具やガジェットに超面白いものがたまに存在する。本日ご紹介するアナログレコードプレーヤー「D-Jay」もその一つだ。

 世界初のCDプレーヤーが日本で発売になったのは、今から34年ほど前の1982年10月1日だ。当時CDはほとんどオーディオショップの店頭には入荷が少なく、事前に予約して買うありさまだった。

最近は年齢を問わず少しずつアナログ回帰現象もありそうだ

 その日に生まれた子供も、今や30代半ばの立派な大人だ。よほど変わった趣味でもなければ、聞いたことはあってもレコードプレーヤーやレコードは基本的には知らないはずだ。

 そんなCDネイティブ世代のお父さんやお母さんが、ネットミュージック・ネイティブである自分たちの子供に、自分たちもよく分かっていなかった音楽再生の基礎の基礎を一緒に経験して遊ぶ商品が「D-Jay」なのだ。

8歳以上なら誰もが楽しめる組み立て式レコードプレーヤーだ
鮮やかなブルーのパーツは誰もをワクワクさせる雰囲気がある

 対象年齢は8歳以上と記載されているので、小学生から蓄音機世代の80代のお年寄りまで作って遊べる、けっこう守備範囲が広いアイテムだ。

 本体パッケージを開けると、鮮やかなブルーの歯車のようなパーツがたくさん現れる。大・中・小の滑車もどきが3個、プレーヤー本体のように見える多角形のアイテム。透明のパイプや様々な小さなパーツ、ネジ、ゴム輪などがたくさん出てくる。

 付属品以外にも、D-Jayを確実に組み上げて楽しむには、A4の紙が1枚に、プラスドライバー、ハサミ、鉛筆、セロテープ、単4乾電池、加えてティッシュペーパーが1枚と、レコード針の代用になるような縫い針やまち針など一揃い必要だ。

同梱部品は全部でこれだけ。30分もあれば組み上がる
同梱品以外にこういう道具と材料、追加でティッシュ1枚と縫い針も用意する
最初の組み立ては2つの滑車の組み込みから……

 まず取り掛かるのは、本体に内蔵されたモーターの回転をターンテーブルまで正しく伝えるための、2個の滑車の組み込みだ。指定された穴に滑車の軸を押し込ん、反対側からネジ止めする。

 続いて、モーター軸の小さな滑車から、今組み上げたばかりの2つの滑車に、輪ゴムを工業ベルトのようにかけて、モーターの回転をロス無く伝えていく仕組みを組み上げることだ。2本の輪ゴムがねじれないように上手く設定できたら完成だ。

モーターの回転を輪ゴムの力で2つの滑車に伝える
筆者は、この2つの輪ゴムを2つの滑車にかけるところが一番の難関だった

 そして次に、ターンテーブルと並ぶレコードプレーヤーの基本部品、トーンアームとカートリッジの制作だ。トーンアームは軽くするために空洞のプラスチックパイプ製になっている。その先に丸いカートリッジヘッドがくっつく。

トーンアームとカートリッジの組み立て。縫い針と1枚のティッシュの出番だ
適量のティッシュを押し込み蓋を締めて、蓋の穴から縫い針を貫通させる

 D-Jayのカートリッジは、縫い針か先の尖った鋭角な押しピンを使う。今回は、自宅にあった縫い針を使ってやってみた。カートリッジヘッドの針の入る穴の周囲の空間にティッシュペーパーを押し込み、蓋をして蓋の穴から裏側に貫通する様に縫い針を差し込めばカートリッジ全体の完成だ。

 ティッシュペーパーの力で縫い針はしっかりと固定できて確実な再生を行ってくれる。針先の出っ張り具合も簡単に調整可能だ。今回、押しピンも使ってみたが、筆者宅にあった押しピンの先はレコードの溝より太く大きかったのか、すぐにスリップして使えなかった。

こういう感じになればカートリッジは完成だ。針の出っ張りはレコードを乗っけてからでも調整できる
透明パイプを取り付けてトーンアーム全体ができた
単4乾電池3本をバッテリーボックスに入れて蓋をネジ止めする

 実際に試してみると、縫い針の長さや、トンガリ具合、針先の傾き等で微妙に音が変わるの面白い。トーンアームとカートリッジが完成すれば、いよいよ組み立ても終盤だ。単4乾電池を3本、電池ボックスに入れ、ネジを締める。

 付属の拡声カップをカートリッジヘッドに取り付け、トーンアーム全体ををプレーヤー本体に取り付ける。最後に5個のインシュレーターの付いた面を上にしてターンテーブルを取り付け、中心をネジ止めすればD-Jayは全て完成だ。

本体にトーンアームを取り付ければ完成は間近だ
黒丸のインシュレーターの付いた側を上にしてターンテーブルを乗っけてネジ止め。拡声用の透明カップをカートリッジに取り付けてついに完成だ

 実際に33回転のLPレコードを載せてプレイヤーを回転、トーンアームのツマミを持ってレコード盤の最外周に針先を落としてみたところ、見事に懐かしい再生音が聴こえてきた。

 しかし、実際に知っている曲よりも相当回転数が速いようだ。続いて45回転のEP盤(基本的に一曲しか入っていないシングルレコード)をかけてみたところ、ほぼ大丈夫。A4サイズの紙とハサミとセロテープで作った拡声メガホンを拡声カップに追加することでより再生音は大きくなる。

完成したD-Jayに30cmLPを乗っけてみた……メチャかっこいい! しかしどうもD-Jayのデフォルト回転数は45RPM+らしく、本来33回転のLPには早過ぎる

 今後は、LP盤を正しく33回転で聴けるようにいろいろ改造を加えようと思っている。回転数を正確に調整するために、もう何十年も使っていない「ストロボスコープ」が必要になってきた。

 もはやこの世では手に入らないのでは思ったが、そんな心配は無縁で、Amazonでは今でもごく普通に売られていた。10年ほど前に置き場所の問題とレコードプレーヤーの故障とが重なり、2000枚ほどのアナログレコードを売却してしまったのが今頃になって悔やまれる。

自宅の奥の奥から45回転のEP盤を探してきて演奏してみた……45RPM+のプラスはちょっと気がかりだがずっとまともだった
拡声カップにA4の紙で作った大きなラッパを取り付けるとより大きなサウンドになる。
製品名販売元購入価格
D-Jay 工作キット・レコードプレイヤーキャストジャパン3700円(税別)