スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

安価な省スペース英語配列キーボードが意外に良かった件

安価な省スペース英語配列キーボードが意外に良かった件

 以前から気になっていたキーボードがありまして。英語配列のWindowsパソコン向けUSBキーボードで、「余分なキーを省いている」のに加えて「必要最小限的なサイズ」にまとめているというものです。モノは、サンワサプライの「英語配列USBスリムキーボード(テンキーなし・ブラック)製品品番:SKB-E3U」と「英語配列USBスリムキーボード(テンキー付き・ブラック)製品品番:SKB-E2U」です。

サンワサプライの「SKB-E3U」(右)と「SKB-E2U」(左)。どちらも余分なキーをなくした英語配列キーボードで、キー周辺の余白的部分もなくコンパクトです。「SKB-E3U」がテンキーレスで、「SKB-E2U」がテンキー付きですな。実勢価格は、「SKB-E3U」が2400円前後、「SKB-E2U」が2500円前後といったところです。

 これまで使ってきたキーボードは、東プレの「Realforce 86U」。定番的な優れものキーボードで、問題なく快適に使っておりました。

 でも上記2機種のキーボードも気になっていました。というのは、まず英語配列(←ワタクシの大好物)のUSBキーボードで、非常にコンパクトでありながら主なキーのサイズや間隔は標準的なキーボードと同じでありつつ、2000~2500円くらいという安さ。こういうキーボードの使用感が、もしある程度良かったら(悪くなかったら)、いろいろ都合がいいなあ、と。

 まず安価なので、ある程度の数を備蓄できます。何台か予備を買い込めるってわけですが、そうしておくと「使い慣れた入力機器が突然壊れたりしても安心」なんですな。また、複数台のPCでキーボードを同じモノに揃えるのも現実的。「Realforce 86U」などの本格派高級キーボードだと、お値段も2万円とかしちゃうので、なかなかそういうこともできにくいです。

 なんで備蓄? と思われるかもしれません。壊れたらそのとき買えば? と。

 しかし実際、生産完了になっちゃうハードウェアは多々ありまして、追加購入したいと思ったときには手に入らず、みたいなことがよくあります。キーボードも同様。毎日多用して体が慣れていくハードウェアは、やはり備蓄したいと考えております。

 あと、ワタクシ、上記2機種のような軽く薄く短く小さい「軽薄短小系キーボード」がわりと好きだったりします。打鍵感を求めるには向かない製品が多いですが、省スペースだし仕舞いやすいし、安価な製品が多いのでキーがヘタったりキートップ刻印が剥がれたりしてもすぐ買い換えられます。キーボード自体が薄いと、机面がパームレストになったりして意外に打ちやすかったりもしますな。

 と、細かい話はさておき、いろいろな興味からサンワサプライの「SKB-E3U」と「SKB-E2U」を買って使ってみましたので、以下にその使用感などを書いてみたいと思います。が、とりあえずのワタクシ的印象を言ってしまうと、どちらも「値段のわりには意外なほどイイ感じ」でした。打鍵感はソコソコですが、英語配列キーボードでありかつ軽薄短小系キーボードのサイズ的メリットにおいては、ヒッジョーに好印象となった2機種です。

小さいっ!! 薄いっ!! 軽いっ!!

 まず2機種のキーボードに触れた印象ですが、見た瞬間に「あら小さい」という印象を受けました。手に取ると「薄いし軽い~」という感じ。サイズなどは、テンキーレスの「SKB-E3U」が幅29.3×奥行き11.5×厚さ1.9cmで、質量260g。テンキー付きの「SKB-E2U」は幅34.5×奥行き11.5×厚さ1.9cmで、質量300gです。ワタクシがこれまで触った軽薄短小系キーボードの中では、最も薄くて軽い部類かも、です。

 しかし、主なキーは標準的なサイズです。ファンクションキーやカーソルキーが小さい以外、主なキーはフルサイズキーボードとほぼ同じ。キーピッチは19mmあり、余裕があります。ので、ワタクシの場合は即座にタッチタイピングできました。

テンキーレス「SKB-E3U」(右)とテンキー付き「SKB-E2U」(左)のサイズ感。赤い点線は標準的フルサイズキーボード(テンキー付き)のサイズです。主なキーのサイズや間隔は標準的なキーボードと同じですが、フットプリントが大幅に少なくなっています。

 打鍵感などは後述しますが、このサイズ感は大きな魅力です。ちょっとした隙間に仕舞えちゃいますし、軽量なので立てかけておいてもあまり不安になりません。その軽さから、キーボード裏面にネオジム磁石を貼り付け、キーボード不使用時にスチール部分にペタリと吸着させておくのも現実的だと思います。

 それから、メーカーの製品紹介ページには「使用しない時は立てて省スペース」とのアピールがあります。が、ワタクシ、当初その写真を見て「ええ~っ無理があるでしょソレ~」と思っておりました。が、試してみたら、立ちました!! しかも、まあまあ安定的に。

小突けば倒れてしまう感じですが、ちゃんと自立しました。この立て方、わりと実用的です。

 あと、キーボード本体から伸びるUSBケーブルは、細めでしなやかで、取り回しやすいです。巻き癖も直しやすいので、スマートに使えますな。また、キーボード本体裏にはケーブルを3方向から引き出せるスリットもありますので、キーボード自体のコンパクトさと併せてスッキリと使えると思います。

USBケーブルはキーボード本体裏側中央から「生えて」いますが、引き出す位置は左/中央/右にセットすることができます。ケーブルはスリットにしっかり保持されます。

 てな感じで、サイズ的にけっこー突き詰めた軽薄短小系キーボードですが、キーサイズや細々した実用性は上々だと感じられました。こういうサイズ感の英語配列キーボードとしては、かなりしっかりした機能性があると思います。

まともな英語配列、打鍵感もまあまあ

 次に、キー配列や打鍵感などを見ていきましょう。まずキー配列ですが、前述のようにファンクションキーやカーソルキーなどが小さかったり並びが特殊だったりしますが、主なキーはANSI配列(ASCII配列)で、至ってマトモな英語配列キーボードだという印象です。ノートPCに搭載のキーボードまで視野に入れると、カーソルキーやファンクションキーなどの位置や小ささも、まあフツーって感じです。

テンキーレス「SKB-E3U」のキー配列。最上段のキーが細いことと、カーソルキーが小さいこと、それから「Fn」キーとカーソルキーがあるため最下段が狭いこと以外は、マトモなキー配列ですな。
テンキー付き「SKB-E2U」のキー配列。テンキーレス「SKB-E3U」の配列はそのままに、右側にテンキーを追加した配列です。必要最小限の横幅でテンキーが使えるのは、なかなか便利。

 個人的には「Fn」キーは不要と思ったりします。が、でもまあ、特定のキーを使い慣れた人のことまで考えれば、メーカー的に「あったほうが無難」なんでしょう。

 テンキー付き「SKB-E2U」には、スペースキー右に「Alt Gr (オルタネートグラフィック)」というキーがありますが、ヨーロッパのキーボードにあるキーのようです。「Ctrl + Alt」と同等の機能があるようで、この「Alt Gr」キーと「Delete」キーを同時に押すと、Windowsならユーザーの切り替えやログオフなどへのショートカットとなります。

 それから打鍵感。一言で言えば「よくあるノートPCのキーボードの打鍵感」という感じ。やや明確なクリック感と浅くないストロークがあり、悪くありませんが、デスクトップで長時間使うとなると「やや重め」と感じる方があるかもしれません。また、やや高品位なキーとくらべると、キーが上下左右に若干ブレるような「緩さ」も感じられます。

 ただ、過去に軽薄短小系キーボードをかなり使い込んだワタクシ思うに、「このくらいのクセなら十分に慣れられる」のでは、と。細かいことに拘り過ぎなければ「十分実用的」と言える打鍵感だと思います。

 あと、一見「たわみそう」な薄さですが、打鍵時の剛性感は十分という印象です。打鍵圧が少々強めのユーザーでも違和感はないように思います。

 ほか、傾きを二段階に変えられる点も実用的だと思います。まあ「脚を格納するか出すか」ってだけですが。

背面の脚を出したり格納したりすることで、キーボード角度を2段階に調節できます。キーボード手前端の高さは1cm弱なので、机面がそのままパームレストになるあたり、ちょっと快適です。

 個人的な好みではありますが、キーボード手前端が低いのが好印象です。ココが低いと、手首付近を机面にペタリと置いてタイプできるからですな。キーボードの傾きを変えられる脚は、まあたいていのキーボードにありますが、ワタクシ的にはその角度変更機構が「効く」のは、キーボード手前端の高さが低いキーボードです。手前端がやや高いと、結局は手首が机面から浮き、そこから来る手首の疲労を別のナニカで回避する必要がアリガチで、なかなか快適なセッティングに至れなかったりします。

ちょっと気になる点もいくつか

 最後に、「SKB-E3U」と「SKB-E2U」を使っていて気になったことを少々。カーソルキーをよく使うワタクシとしては、まずカーソルキーの小ささと位置です。「Shift」キーほどの面積に4つのキーがあり、しかも「Shift」キーの真下なので、使うときはいちいちカーソルキーの位置を目視していました。一週間くらい使っても、この位置とサイズにはイマイチ慣れていません。

フルサイズキーボードでカーソルキーをよく使うユーザーにとっては、位置もサイズもなかなか慣れられないように思います。

 それから、「NumLock」「CapsLock」「ScrollLock (ScrLk)」を示すLED。赤色LEDなんですが、LED自体が大きめで、けっこー明るめだったりもして目立ちます。テンキーレス「SKB-E3U」を使う場合は全部消灯の状態にして使っても大きな支障はありませんが、テンキー付き「SKB-E2U」の場合は「NumLock」をオフ(LED消灯)にするとテンキーから数字を打ち込めないので、LEDの明るさが少々気になるかも、です。

 また、これらLEDの位置も少々紛らわしい印象です。左から「NumLock」「CapsLock」「ScrollLock」という順番は一般的なキーボードと共通ですが、たとえば「SKB-E3U」では「NumLock」キーの上にあるLEDは「CapsLock」を示しており、混乱を招きがちなキーとLEDの位置関係です。

 それから、キートップの刻印はシルク印刷のようで、ややハードに使い続けると比較的に容易に剥げるタイプだと思います。まあ廉価なキーボードなのでしょうがないでしょう。

LEDは、左から「NumLock」「CapsLock」「ScrollLock (ScrLk)」を示します。赤色で少し明るめかもしれません。キートップはシルク印刷タイプ。ハードな使用には弱いタイプだと思われます。

 他は特に気になる点はありません。両キーボードを使っていて思ったのは、「これならチョイ努力して慣れて、常用のキーボードにできるかも」ということ。耐久性はまだわかりませんが、十分実用的なキーボードだと感じました。

 もうひとつ、テンキー付き「SKB-E2U」が便利なこと。当たり前ですが、独立したテンキーがあるとナニカと便利ですな。また、このテンキー付き「SKB-E2U」の横幅は、フルサイズのテンキーレスキーボードの横幅とだいたい同じ~やや狭いくらいです。ので、キーボード右側にマウスを置いて使うにも快適。キーボードとマウスの間を、スムーズに右手が行き来できる感じです。

 てな感じの「SKB-E3U」と「SKB-E2U」。「良かったら見っけモン」程度の興味で試してみたら、意外なほど好印象でした。コンパクトでシンプルな英語配列キーボードを探しているなら、ぜひチェックしてみてください。……でもまあユーザーが直接触れる部分なので、できるだけ実機に触れて良し悪しを確かめてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。