スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

RAMマウントでスマホやタブレットを車載

RAMマウントでスマホやタブレットを車載

 今回のネタは米RAM Mounting Systems社「RAMマウント」……を再び。RAMマウントは、機器をドコカに取り付けるための汎用的なマウントシステムですな。

RAMマウントの使用例。左はオンボードカメラ「GoPro専用ボールアダプター」を使い、自転車のハンドルなどパイプ部にカメラを固定したもの。右は「RAM AQUA BOX」という汎用防水パックにスマートフォンを入れ、テーブルの上に固定したもの

 3年くらい前にも書いたんですけど、新たなパーツがけっこー出てきている。また、イイ感じでスマートフォンやタブレットを車載できそうなパーツも増えているので、今回は「スマートフォンやタブレットの車載のためのRAMマウント」という切り口で書いてみたい。

「タブレットホルダー」というパーツを使ってiPad miniを車載したところ。ダッシュボードには吸盤で固定している
「X-グリップホルダー」というパーツを使ってiPhoneを車載。ダッシュボード上に置くだけで済むベースパーツで固定

 上の各写真のように、RAMマウントを使うと、色々な機器を色々なパターンでどこかに固定できるようになるんですな。このテのマウントシステムはほかにもあるが、RAMマウントは歴史も長く、各パーツが非常にタフ。なので、俺の場合はけっこー長く愛用しているのであった。

 ちなみに、RAMマウントは、基本的には各パーツが別売。望む固定スタイルに応じて必要なパーツを選択して購入する必要があるので、購入時の手っ取り早さはイマイチかもしれない。が、その分、非常に自由度の高いマウントシステムを構築でき、各パーツを流用できるというメリットも大きい。

RAMマウントシステムは各パーツを組み合わせて使う。パーツは、機器を保持する「ホルダーパーツ」、ホルダーパーツやベースパーツとアームパーツをつなぐ「ジョイントパーツ」、機器の向きや高さを自由に調節できる「アームパーツ」、全体をどこかに固定する台座となる「ベースパーツ」などからなる

 てな感じのRAMマウントシステム。以降、最近使ってみてイイ感じだった車載向けマウントについて書いてみたい。スマートフォン用やタブレット用のホルダー関連ですな。

タブレット向け汎用ホルダー

 まずはタブレット端末を車載するためのRAMマウントシステム。タブレットを固定するホルダーパーツがポイントとなる。購入したホルダーパーツは2種類で、10インチ前後のタブレットに向く「タブレットホルダー(L)」と、7インチ前後のタブレットに向く「タブレットホルダー(M/薄型)」だ。

左が10インチ前後のタブレットに向く「タブレットホルダー(L)」、右が7インチ前後のタブレットに向く「タブレットホルダー(M/薄型)」。ネット通販で購入し、前者が3780円、後者が3570円だった
7インチ前後のタブレットに向く「タブレットホルダー(M/薄型)」と7インチタブレットのNexus 7を並べた様子。ホルダー側上部はバネにより伸縮する。Nexus 7を縦に挟み込むような感じで保持できる

 では実際に各ホルダーパーツを使い、端末をダッシュボード状に固定した様子を見ていこう。まずは「タブレットホルダー(M/薄型)」の使用例から。このホルダーパーツにセットできる端末サイズは、長辺約172~約228mm、短辺最大約134mm、厚み約3~14mmくらい。Nexus 7やiPad miniがイイ感じでホールドされる。

使ったパーツは、「タブレットホルダー(M/薄型)」「アームパーツ 1.75インチ」「吸盤ベース(ダイヤジョイント用)」「ボール付きダイヤジョイント」×2、それから市販の吸盤ベース(直径10cm程度)。ダッシュボード上に吸盤ベースを貼り、その上にRAMマウントシステムをセットした
iPad miniをセットした様子。より長いアームパーツを使ったり、吸盤ベースを貼る位置を変えれば、好みの位置に端末をセットして使える

 使ってみた印象は、このパーツの組合せならiPad miniくらいのサイズ/質量のタブレット端末を十分安定的に保持しつつ走行できるという感じ。ホルダーパーツが端末を挟み込むバネの力が十分強く、吸盤ベースの吸着力も強力。なので、端末が落ちるような心配はまずない。

 また、ホルダーの一部がダッシュボードに接触するようにセットすると揺れも少なく非常によく安定する。ホルダーの短辺にはスリットがあり、iPad miniにLightningコネクタを接続(充電)した状態でホールドできた。

 なお、「ダッシュボードに吸盤ベースを貼り付けるのはイヤ」という場合、そうせずとも吸盤ベースを使えるパーツがある。そのパーツについては本記事後半で説明したい。

 さて、次に「タブレットホルダー(L)」。iPadやiPad Airをホールドできるパーツですな。このホルダーパーツにセットできる端末サイズは、長辺約215~約273mm、短辺最大約196mm、厚み最大約14mmくらい。iPadがちょうどよくホールドされる感じ。

使ったパーツは、「タブレットホルダー(L)」「アームパーツ3インチ」「吸盤ベース(ダイヤジョイント用)」「ボール付きダイヤジョイント」×2、市販の吸盤ベース(直径10cm程度)。前述の「タブレットホルダー(M/薄型)」のときと同様、ダッシュボード上に吸盤で吸着固定した。写真の端末はiPad Air

 う~むむむ。若干敗北。位置的に視界を遮りがちですな、iPad Airのサイズだと。端末をセットした状態で走行しても、iPad mini+「タブレットホルダー(M/薄型)」のときと同様、端末が落ちるような不安はあまりないのだが、視野がね……的な。ダッシュボード周辺にもっと余裕があるクルマ向けのiPad+「タブレットホルダー(L)」かもしれない。

 ちなみに、「タブレットホルダー(M/薄型)」も「タブレットホルダー(L)」も、わりと厚めの端末でもセットできる余裕がある。ので、ケースに入れた状態のiPadなどでもセットできたりする。もちろんケースの厚みや形状にもよるが、こういう部分の汎用性は使い勝手がイイですな。

シンプルなスマートフォン用ホルダーパーツ

 よりシンプルなホルダーパーツの「X-グリップホルダー」シリーズもいくつか購入してみた。それぞれ、iPhoneや大きめスマートフォンが収まる「RAM X-グリップホルダー(スマートフォン用) UN7B」、大きめスマートフォンや7インチタブレットが収まる「X-グリップホルダー(スマホ用 Lサイズ・ファブレット) UN10B」、7インチ前後のタブレットが収まる「X-グリップホルダー(タブレットM) UN8B」だ。

左からそれぞれ、iPhoneや大きめスマートフォンが収まる「RAM X-グリップホルダー(スマートフォン用) UN7B」、大きめスマートフォンや7インチタブレットが収まる「X-グリップホルダー(スマホ用 Lサイズ・ファブレット) UN10B」、7インチ前後のタブレットが収まる「X-グリップホルダー(タブレットM) UN8B」。背面にはボールパーツと同等のボールが付いているので、よりシンプルにRAMマウントシステムを構築できる。どれもX字のアームで端末を挟み込むようにしてホールドする

 まず、iPhoneや大きめスマートフォンが収まる「RAM X-グリップホルダー(スマートフォン用) UN7B」。セットできる端末サイズは、短辺の幅が約22~約82mmのもので、端末の対角サイズが110mm以上あるもの。厚み約22mm程度までの端末をセットできる。iPhone各種やiPod touchがちょうど収まる感じですな。GALAXY Note各種やARROWS NX F-06Eも収まった。購入価格はネット通販で3360円だった。

iPhone 5Sをセットした様子。使ったパーツは、「RAM X-グリップホルダー(スマートフォン用) UN7B」「アームパーツ 1.75インチ」「吸盤ベース(ダイヤジョイント用)」「ボール付きダイヤジョイント」、それから市販の吸盤ベース(直径10cm程度)。ダッシュボード上に吸盤ベースを貼り、その上にRAMマウントシステムをセットした

 iPhone 5Sをホールドする感じは良好。X字のクリップを広げると端末の脱着ができるのも手軽でイイですな。ただ、端末の向きによってはホルダーパーツのゴム部品が画面にちょっとかかって、若干ウザい感じ。また、取り付け位置によっては、やはりこのゴムの部品が端末のボタンを押すことがある。そのあたり、ちょいと注意が必要かも。

 次に、大きめスマートフォンや7インチタブレットが収まる「X-グリップホルダー(スマホ用 Lサイズ・ファブレット) UN10B」。セットできる端末サイズは、短辺の幅が約45~約114mmのもので、端末の対角サイズが150mm以上あるもの。厚み約22mm程度までの端末をセットできる。Xperia Z Ultra、GALAXY Note各種、ARROWS NX F-06E、Nexus 7が収まった。iPad miniは残念ながら収まらず。購入価格はネット通販で3675円だった

Nexus 7をセットした様子。使ったパーツは、「X-グリップホルダー(スマホ用 Lサイズ・ファブレット) UN10B」「アームパーツ3インチ」「吸盤ベース(ダイヤジョイント用)」「ボール付きダイヤジョイント」、それから市販の吸盤ベース(直径10cm程度)。ダッシュボード上に吸盤ベースを貼り、その上にRAMマウントシステムをセット

 安定感も高く、大きめ画面のスマートフォンから7インチタブレットあたりまで収まるので、汎用性はかなり高いと思う。これでiPad miniまで収まったら俺的に非常に嬉しかったが、シンプルでありかつ汎用的に使えるホルダーパーツとして好印象となった。

 続いて、7インチ前後のタブレットが収まる「X-グリップホルダー(タブレットM) UN8B」。セットできる端末サイズは、短辺の幅が約57mm~146mmのもので、端末の対角サイズが180mm以上あるもの。厚み約22mm程度までの端末をセットできる。7インチタブレット向けですな。Nexus 7やiPad miniをセットできた。購入価格はネット通販で3885円だった。

iPad miniをセットした様子。使ったパーツは、「X-グリップホルダー(タブレットM) UN8B」「アームパーツ3インチ」「吸盤ベース(ダイヤジョイント用)」「ボール付きダイヤジョイント」、市販の吸盤ベース(直径10cm程度)。ダッシュボード上に吸盤ベースを貼り、その上にRAMマウントシステムをセットしている

 iPad miniやNexus 7をセットでき、安定感もまずまず。シンプルに扱える点も良い。のだが、背面にある「X字のバネを縮めるための4本のゴムパーツ」が若干邪魔な感じですな。見た目はシンプルだが、7インチタブレットをセットするなら、前述の「タブレットホルダー(M/薄型)」のほうがスッキリ感があっていいように感じた。そのほうが安定感もあるしネ、的な。

 これら3種類のホルダーに共通して言えるのが、ゴムパーツの存在感と使用感。指でつまんでX字を広げて端末をセットするには使いやすいゴムパーツだが、端末の脱落防止のため手前側が大きくなっていて、なーんか微妙に邪魔な印象を受ける。このゴムパーツを「不格好」と思う人もありそうですな。

 もうひとつ共通のクセが。端末を挟み込んだ状態で、X字の軸が少し回転する余裕が出ること多いので、衝撃などで端末が少し回転してしまうことがある。ので、端末が少しでも回転しては困るという場合、端末の端をダッシュボードに触れるようにするなど、ちょいと工夫してセットする必要がある。

 なお、「X-グリップホルダー(スマホ用 Lサイズ・ファブレット) UN10B」や「X-グリップホルダー(タブレットM) UN8B」は、極端に細身の端末はセットできないことがある。購入時にはこの点にもご注意を。

ダッシュボードに置くだけでOKな吸盤ベース用パーツ

 上記の例では「ダッシュボードに吸盤ベースを貼って」その上に吸盤ベースをセットしている。だが、「ダッシュボードに何か貼り付けるのはイヤ~ン」という方もあると思う。その場合、吸盤ベース用を取り付けられる重みのあるパーツを使うといいだろう。

 具体的には、「ポータブル フリクション ダッシュボードベース」というRAMマウント製のパーツがある。また、Amazonベーシックの「ポータブルナビ用ダッシュボードマウント」という製品も使える。購入価格は、前者が2520円、後者は778円だった。

RAMマウントの「ポータブル フリクション ダッシュボードベース」。質量は約850gで、裏面は滑りにくいシリコンのような素材。ダッシュボード上に滑りにくい素材を押しつけることで安定させ、吸盤ベースを吸着させて使うことができるというパーツだ
Amazonベーシックの「ポータブルナビ用ダッシュボードマウント」。質量は約550gで、裏面は滑りにくいゴム繊維のような素材。また、裏面中央には粘りけのある吸着素材がある。これもまた、ダッシュボード上に置くだけで吸盤ベースを使えるようになるパーツですな

 それぞれ、どんな感じで使えるのか見てみよう。まずはRAMマウントの「ポータブル フリクション ダッシュボードベース」から。

RAMマウントの「ポータブル フリクション ダッシュボードベース」は、ダッシュボード上に置くだけで吸盤ベースを使えるようにするパーツですな。なるべく平らなところに置くのがコツかも
あまり重くない端末やRAMマウントシステムなら、この「ポータブル フリクション ダッシュボードベース」だけで支えられる

 置くだけで吸盤ベースが使えるようになる手軽さはナイス!! なのだが、あまり重い端末やRAMマウントシステムには向かない。「ポータブル フリクション ダッシュボードベース」が浮いてしまい、ズレたり滑ったりするからだ。大雑把に、スマートフォン程度までをセットできるって感じでしょうか。7インチタブレットとかはちょいと無理。

 また、曲面も苦手。「ポータブル フリクション ダッシュボードベース」背面はわりと平らなので、曲面に置くとやはり滑りやすくなってしまうのであった。ジェル素材などの粘着シートなどと組み合わせて使えば、より汎用性と安定感が高まると思われる。

 それと、通常の走行なら問題無いが、デコボコ道や段差などを通過するとき「ポータブル フリクション ダッシュボードベース」自体がズレたり跳ね気味になったりすることがある。ラフな道を走るときなどは要注意かもしれない。

 次にAmazonベーシックの「ポータブルナビ用ダッシュボードマウント」。結論から言うと、これかなりイイっす。778円だし。

Amazonベーシックの「ポータブルナビ用ダッシュボードマウント」。これもダッシュボード上に置くだけで、吸盤ベースが使えるようになるパーツだ
セットできるのはやはり「スマートフォン程度の重さのものまで」というイメージ。3つの出っ張りがある程度動くので、少々の曲面になら安定的に置くことができる

 この「ポータブルナビ用ダッシュボードマウント」、前述の「ポータブル フリクション ダッシュボードベース」よりずっと実用的だと感じられた。結論から言って、買うならこっちじゃないかな~、と。

 てのは、まず安定感が高い。3つの出っ張りがダッシュボード状で巧く安定することと、裏面の滑りにくい素材と、さらに裏面中央の粘着シート的な素材。これらにより、意外なほどシッカリとダッシュボード上で安定する。

 また、3つの出っ張りがほどよく動くので、少々の曲面にもフィットする。これにさらにジェル素材などの粘着シートあたりを組み合わせれば、かなりの安心感を伴って使えると思う。

 まあでも、やはりあまり重い端末やRAMマウントシステムは支えることができない。ので、せいぜい大きめ画面のスマートフォンくらいまでをセットできるというイメージだろうか。

 また、裏面に粘着素材があるのでデコボコ道や段差などでズレたり跳ねたりしにくいものの、ガッチリと固定されるというわけではないので、やはりラフな道を走るときはある程度の注意が必要だ。

 以上、タブレットやスマートフォンをダッシュボード上にセットする方法をいくつか見てきた。モバイラーでドライバーな方の参考になれば幸いっス。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。