設置の自由度が超高いMyMio Free「MFC-J855DN」

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


設置の自由度が超高いMyMio Free「MFC-J855DN」

 う~ん、やっぱりどう考えても便利なハズ!! とか思ってブラザー薄型インクジェット複合機MyMio Freeシリーズの「MFC-J855DN」を鋭意緊急導入してみた。インクジェットプリンタ、スキャナ、カラー/モノクロコピー、ファクス/PCファクス、電話機能を持つ非常に多機能な複合機ですな。実勢価格は2万7000円前後。

ブラザー複合機MyMio Free「MFC-J855DN」。ファクスや電話の機能まで持った多機能なインクジェット複合機。2011年12月現在の実勢価格は2万7000円前後電話回線がつながっている通信ボックスも複合機本体とは物理的に切り離されている。ファクス機能は、通信ボックスと複合機本体を無線接続して機能する

 俺の場合、仕事場に固定回線の音声通話用電話とファクス送受信環境が(いまだに)必須だったりする。自分としてはあーんまり必要なく、相手の要求に応えるために必須という感じだが、まあ結局やっぱり必要なのだ。

 でももう電話もファクスもそれぞれ専用機を置くのは……ちょっとなぁ、とか思うので、ファクスと電話の機能が付いたインクジェット複合機が定番的な選択肢となっている。が、実際には電話とファクスが付いた複合機で、個人使用においてリーズナブルな価格の製品ってのがなかなかナイ。現在ではぶっちゃけ、ブラザーからしか出ていないっていうかMyMioシリーズしかないように思う。

 てなわけでMyMio野郎の俺なんですけど、このMyMio Free「MFC-J855DN」がイカスのである。結論から言えばPCとも電話回線(ファクス回線)とも「ケーブル接続する必要ナシ」なのであり、設置場所の自由度がヒッジョーに高いのだ。今回はそのあたりの実使用感を含め、MyMio Free「MFC-J855DN」についてレポートしてみたい。


すすす凄いスッキリ感!!

 MyMio Free「MFC-J855DN」(以下、MFC-J855DN)を使い始めて即感じたのは、その痛快なまでのスッキリ感である。何がスッキリなのかと言えば、設置した感じ。

 無線LAN対応プリンターや複合機をお使いの方なら既に体感済みと思うが、MFC-J855DNもまた無線LAN対応のインクジェット複合機。PCとケーブル接続する必要がナイので設置場所の自由度が非常に高い。それでいて、同じ無線LANにアクセスできる各PCから利用できる。「特定PCの位置に依存せず自由な場所に設置可能」であり「複数ユーザー/PCからの共有も楽勝」なのが、まず、良い。

 さらに、MFC-J855DNの場合は「ファクス機能を持つのに複合機本体と電話回線とのケーブル接続が不要」なのだ。モジュラーケーブルで複合機本体と壁のローゼットを接続する必要がナイ。ファクスも無線!! なのである。

MFC-J855DNでは、電話機/ファクス回線部とインクジェット複合機本体が独自方式で無線接続される。電話回線と複合機本体のケーブルで接続は必要ないのだ無線ファクス/コードレス電話親機となる通信ボックスは、ローゼットとモジュラーケーブルで接続する必要がある。もちろんコンセントとの接続も必要ですな通信ボックスと複合機本体をこのように離して設置するのも現実的だ。モジュラーケーブルを長くすれば、通信ボックスの設置位置自由度もグッと高まってくる

 文字で書けば「ファクス機能付きインクジェット複合機からモジュラーケーブルがなくなっただけ」ではある。のだが、コレがデカい!! もーね、電話/ファクス回線のモジュラーケーブルやローゼットってヤツはですね、ファクス機能付き複合機のカッタリィ足枷だったのだ。

 具体的には、ローゼットの近くにファクス付き複合機を置くか、ローゼットから長いモジュラーケーブルを伸ばしてファクス付き複合機を置くか、になる。モジュラーケーブルを引き回す手間を省くかわりに複合機の設置場所的利便を手放すか、設置場所的利便を重視するゆえモジュラーケーブル配線に一苦労するか。どのみちファクス付き複合機ユーザーにはケーブルもしくは置き場所という足枷が付いて回ったのであった。

 が!! MFC-J855DNなど「無線ファクス機能搭載の無線LAN対応MyMio」の場合は、上記のような足枷がほとんどナイのである。やった!! 自由な位置に置ける!! いちばん快適な設置場所で使える!! 十数年来の鬱憤がスカッと消えて気分爽快である。

 ただ、状況によっては通信ボックスや複合機本体の設置位置が制限されるケースもあるだろう。そうなるケースの主な要因は電波状況。無線LANの電波が届き(通り)にくいような場所には複合機本体を置けないし、複合機本体と通信できにくい場所には通信ボックスを置けない。拙宅においては部屋またいで各機器設置をしても問題なかったが、こればかりは状況次第。でも同じ室内なら大丈夫なケースが大半だと思いますけどネ。

 にしてもイイ!! 久々の開放感。無線ってのはイイっすネ~♪


コナレ感が高いインクジェット複合機

 さて、次はMFC-J855DNのインクジェット複合機としての使用感。突起部を除いたサイズは幅39×奥行き36.8×高さ15cm。薄型ですな。また、主な操作ボタン類、給紙や排紙の位置、インクカートリッジスロット、ほか大半の操作部がフロントアクセスとなっている。それと、本体右側面と背面はほぼフラットで、左側面奥からは電源ケーブルが出ている。ので、奥行きやスキャナなど使用のための上部空間さえ確保できれば、棚の中間なんかにもスコッと置けちゃうMFC-J855DNである。

給紙や排紙はフロントから。用紙カセットには2サイズの用紙を同時にセットできる(けど切り替えは手動)インクカートリッジの交換はこのように本体前面右側で行う。インクカートリッジ交換は非常にラクな部類テンキー、コピーやスキャンのためのボタン、タッチパネル式ディスプレイ、カードスロットなども前面に

 MFC-J855DNなどMyMioシリーズの形状において個人的にグレイトと感じているのは、上部がほぼ平らであること。用紙やファイルなど軽いモノなら置いておけるからだ。最近では減ってきたが、上部に無意味なアールがあったりするプリンターやスキャナは上部の空間が完全にムダになるので嫌いと言えよう。

 MFC-J855DNにはプリンター、スキャナー、コピー、ダイレクトプリント、ファクス/PCファクスなどの機能があるが、それぞれの機能はまあフツーと言えばフツー。ただツボを押さえた使用感がところどころにある。

 たとえば3.3型TFTカラー液晶はタッチパネル式だが、そのUIが迷いにくくてナイス。メニュー階層は深くなく、項目の表現や設定方法もシンプルでわかりやすい。多少こういった製品を使ったことがあれば、説明書を読まずとも設定を済ませられる容易さだと思う。

 あるいはチョイと便利な独自機能。たとえばコピー機能にある「ブックコピー機能」は、本や雑誌の見開きをコピーしたときに起きがちな「本の傾き」や「本の中央の凹みにより生じる影」を処理し、見やすいイメージへと処理しつつコピーを取ってくれる。

 PCからの使用感も良好。MFC-J855DNをPCから使う場合、ほかのMyMioシリーズと同様にControlCenterソフトウェアが「各機能利用の入口」となる。MFC-J855DNに対応するのは「ControlCenter4」だ。

PCからMFC-J855DNを扱うための「入口ソフト」となるControlCenter4。HomeモードとAdvancedモードの2種類から選べるHomeモードの表示例。比較的に容易に扱える初心者向けのモードですな。とは言っても十分細かく設定することも可能だAdvancedモードの表示例。ユーザー独自のタブを追加でき、そのなかによく使う機能などをボタンとして追加していける

 ControlCenter4は、PC上で細かな設定をしつつMFC-J855DNをリモート操作できるソフトですな。俺的見解だと、前のバージョンに比べて飾り的要素がそぎ落とされ、わかりやすさと使いやすさが高まったと思う。また、MFC-J855DNは多機能な複合機だけに設定項目なんかも多め。本体のタッチパネルで設定するのもまずまず快適だが、一気に設定を行う場合はControlCenter4経由が非常に効率的である。

ControlCenter4からはMFC-J855DN本体の設定も行える。液晶画面の明るさやボタン機能設定、電話帳の入力あたりまで行えるPCからMFC-J855DN本体上の電話帳を編集している様子。ファクス送信先電話番号や一括送信時に使うグループなどを入力可能PCからスキャンボタンの詳細設定をしている様子。もちろんPCと無線LAN接続している状態で「リモート詳細設定」が可能だ

 MFC-J855DNの各機能についてはブラザーの製品紹介サイトをご参照いただきたいが、上記のControlCenter4を含めて非常にこなれた複合機だと感じる。まあ「画質がダントツでイイ」とか「静音性最強!!」といった強烈なヒキはない(けどユーザーによっては無線ファクスが強烈な機能になる)ものの、価格的にも機能的にも非常にバランスのよい複合機だと思う。


ファクスと電話はどんな感じ?

 MFC-J855DNは、いわば「全部入り」の複合機だ。プリンター、スキャナー、コピー、ダイレクトプリント機能などに加え、ファクス/PCファクスと電話の機能もある。で、一般的な複合機との大きな機能的差異でもあるファクスや電話の機能、これらはどんな感じなのか?

 ちょっと整理してみると、MFC-J855DNのファクス機能は複合機本体とPCから利用できる。複合機本体に送りたい原稿をセットするなどして送信先電話番号を入力し……とフツーのファクスと同様に送ったり、PC上にあるドキュメントを複合機本体を経由してファクスしたりできる(PCファクス)。もちろん送るだけでなく本体/PCでのファクス受信も可能だ。

ファクス機能は複合機本体上から利用できる。右の通信ボックスはファクス送受信のための回線で、ファクス送受信時の操作には関係しないPC上のドキュメントを複合機本体を経由しファクス送信するPCファクス機能も使える。ドキュメントの出力先をファクス送信にする機能ですなコードレス子機は音声通話専用端末。通信ボックスはコードレス子機の充電台であり親機でもあり、充電や留守番電話機能のためにも使われる

 音声通話や留守番電話といった電話関連機能は、通信ボックスおよびコードレス子機からのみ使える。たとえばMFC-J955DN/DWNのように、MyMio複合機本体が電話機の親機となる機種もあるが、MFC-J855DNでは「複合機本体がファクス」で「通信ボックス+コードレス子機が電話」と完全に分かれた感じになる。ちなみに、複合機本体上の電話帳はファクス専用となり、その電話帳の一部をコードレス子機にコピーする機能はなくなっている。

 プチ余談&横道に逸れるが、MFC-J855DNでは、複合機本体がなくても、コードレス子機と通信ボックスがあれば音声通話ができる。上記のように音声通話の機能が複合機本体と切り離された結果そうなったわけだが、これ、複合機本体が故障したときにもイイですな。今年の夏に以前使っていたMyMio複合機が故障(ヘッドがインク詰まり)して修理に出したが、そのとき「あっヤベ、電話使えなくなっちゃう!!」と急いで単体の電話機を買いに行った。MFC-J855DNではそういう心配がなくてちょっと安心かも、とか思った。

 話を戻して、MFC-J855DNなどMyMioシリーズが持つファクス系機能はイロイロと便利。まあ俺の場合はファクス受信はD-FAXで行っており、ファクス送信の頻度も少ないので「有り難い!!」ってほどではないが、使いやすくて利用幅のあるファクス機能だと思う。

 ファクス機能に関して詳しくはココにあるが、たとえば本体のみで送受信する場合、MFC-J855DNの液晶画面上で内容を確認して送信したり受信ファクスを印刷したりできる。紙/インクのムダや送り間違いを排除する機能ですな。

 それからPCとMFC-J855DNを連携させてのファクス送受信方法である「PCファクス」。パソコン上のドキュメントをプリントアウト感覚でファクス送信できるほか、MFC-J855DNが受信したファクスをプリントアウトせずPCへ(ファイルとして)転送できる。

PCファクス機能の一例。ワープロソフトやPDFなどの印刷可能なドキュメントを直接ファクス送信できる印刷機能からプリンターとしてBrother PC-FAX v.2.2(機種により異なる)を選べばファクス送信になる印刷を実行すると、ファクス送信先の電話番号を入力する画面に。ワンタッチダイヤルなども設定可能だ
ここでは電話帳から送信先ファクス番号を選んだここで送信をクリックすればファクスが送られる送信したファクスをD-FAXで受信。けっこうキレイ

 複合機本体だけを使った場合も、PCファクスを使った場合も、効率良くファクス利用できるようになっているんですな。毎日けっこーな量のファクスを送受信するユーザーにとっては非常に役立つと思う。実際、某知人に「毎日かなりファクス使うならMyMio便利すよ」とオススメしたら、後日「業者から来る無用ファクスで紙とインクがムダにならなくなって、Wordで文面書いて紙にせず一括送信できて凄くラク」的に猛烈に有り難がられた。ていうかブラザーに感謝してチョ>某知人。

 率直な話、ファクスボードっていうかアナログモデムボード時代からPCファクスに手を出している俺に言わせれば、MFC-J855DNなどMyMioシリーズで使えるPCファクス機能は迷いにくいしラクに使えるし不安定さもないしで、かな~りオススメ。コスト面を含めてるとなおさら。ファクス方面を効率良くしてラクしたいならMyMioシリーズをチェックするといいかもしれない。


オマケ──MFC-J855DNの今時的機能

 微妙に蛇足かもしれないが、MFC-J855DNの今時的なスマホ絡み機能を少々。結果から言えば「Brother iPrint&Scan」アプリを使うと、Android端末iOS端末からMFC-J855DNを利用できる。

 ここではiOS版のBrother iPrint&Scanアプリを例に挙げてみたいが、できることはiOSデバイス上の写真をはじめとした画像のプリントアウトと、MFC-J855DNからiOSデバイスへのスキャンだ。MFC-J855DNなど対応ブラザー製品とBrother iPrint&Scanアプリが同じLAN内にあるときに利用可能で、以下のように非常にシンプルに使える。

iPhone 4S上でBrother iPrint&Scanアプリを起動したところ。MFC-J855DNなどのブラザー製品をiOSデバイスで利用できるようにするアプリだ同じネットワーク内にある対応MyMio複合機が選べる。Brother iPrint&Scanアプリをサポートしているブラザー製品の一覧はココで確認できるiPhone 4Sのなかにある写真をこんな感じでプリントできる。もちろん、用紙サイズや用紙の種類も設定可能。PC要らずでのプリントは新鮮だ
スクリーンショットなんかもプリント可能。画像メモなどを印刷できるこちらはスキャンの設定画面。MFC-J855DN→iPhone 4SへのスキャンだMFC-J855DNの説明書をスキャンした。必要部分のみのトリミングも可能
画像をトリミングするところ画像はこのように流用できる保存した画像を閲覧中の様子

 こんな手順でMFC-J855DNとiPhone 4SなどiOSデバイスの連携が可能だ。プリントアウトに関しては、iOS端末などスマートフォン所有者にとっては必要になるケースはあまり多くないかもしれない。スマホ内にデータがあるならスマホで見ればいいというシチュエーションが多いと思うからだ。

 が、スキャンはかなり便利。PCを経由せずにMFC-J855DNなどのブラザー製品からスマホへどんどんスキャンできる。スマホんなかに入れたい紙の情報ってけっこーあると思うが、そういうのを手間最小の最短ルートでスキャン&スマホに格納できるのは便利。対象をスマホのカメラ機能で撮影って手もあるが、スキャンしての取り込みのほうがやはり高精細になりますな。

 てな感じで、スマホ連携まで含めるとやたら多機能なMFC-J855DN。こと固定電話およびファクスユーザーにとっては非常にコストパフォーマンスの高い複合機なので、興味があればぜひ一度ジックリとチェックしてみてほしい。


2011/11/28 06:00