Windowsへ指紋でログオンしたい!!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


Windowsへ指紋でログオンしたい!!

 スタパブログにも書いたが、Windows 7に乗り換えて何が悲しいかと言えば、Microsoft Fingerprint Readerが使えないことだ。Microsoft Fingerprint Readerは、ウィンドウズや要パスワードなウェブサイトへのアクセスを、指紋認証でサクッとログオンできるハードウェアである。が、既に生産終了でありWindows 7用のドライバも存在していない。

 このMicrosoft Fingerprint Readerに代わるモノはないかと探し、そして行き着いたのが、UPEK(ユーペック)Eikon(アイコン)。で、このEikonを1カ月程度使ったが、かなりイイ!! のでレポートしてみたい。

UPEKのデジタルプライバシーマネージャーことEikon。いわゆる指紋認証デバイスですな。コレでWindowsへのログオンなどができる中央のセンサーを指でなぞる(スワイプする)だけで、キーボードを使わずIDやパスワードなどログインに必要な情報を入力できるのだこちらはWindows 7には非対応のMicrosoft Fingerprint Reader。ヒジョーに便利だったが、Eikonはさらに超非常に便利と言えよう

 ていうかですね、もはや俺とかウィンドウスへのログオンは指紋認証じゃなきゃダメな人になっている。センサを指でなぞるだけでログオンパスワードが入力できるラクさ!! 人前でも堂々とログインできる痛快さ!! これを体感したら後戻りできないのだ。

 ID/パスワードが必要なウェブサイトも然り。指でサッとなぞればログイン。ウェブブラウザにパスワード類を残すことなく使えて安心だし、やはり非常に快適。ショルダーハックの類に対しても安心。何かと使える指紋認証だが、ともあれ、以降、UPEK Eikonの機能や使用感を見ていこう。

 

Eikonでナニがデキる?

 Eikonは、センサを指でなぞる(スワイプする)と、IDやパスワードやそれに付随する一連の文字列を自動的に入力できるという製品だ。あらかじめ登録した指紋と、スワイプでスキャンされた指紋が一致したら、指紋とサイトなどに紐付けされた文字列が自動入力されるってシクミですな。

 ではEikon、どんなコトに使えるのか? ザッと並べてみると、まずはウィンドウズへのログオン。それから利用にIDとパスワードが必要な(会員制などの)ウェブサイトへのアクセスも行える。これまではキーボードからパスワードを入力する必要があったが、一度それらパスワードやIDをEikonに登録すれば、以降はスワイプだけでログオンできるようになる。

 コンピュータのロックと解除もスワイプだけで行えるようになる。複数ユーザーで1台のコンピュータを共有している場合、スワイプでサッとユーザーアカウント切り替えも行える。ファイルやフォルダの暗号化(ロック/アンロック)もスワイプ一発でOK。さらにスワイプだけで特定のアプリを起動することもできる。

 Eikonの導入~使い方はわりと簡単で、ドライバ/ユーティリティソフトウェアをインストールしてユーザーの指紋を登録すれば、まずウィンドウズへのログオンをスワイプで行えるようになる。ただ、日本で流通しているEikonパッケージには古いドライバ/ユーティリティが付属しているようなので、後述の方法で最新版を使うのがいいだろう。

Eikonがインストールされると、生体認証デバイス-TouchChip Fingerprint CoprocessorというデバイスとしてOSに認識されるEikon使用前にユーザーの指紋を登録する必要がある。と言っても、Eikonのセンサ上を指でスワイプするだけなので非常に容易だ指紋を登録中の様子。指紋は左右の手の指、合計10本まで登録することができるが、全ての指を登録しなくてもよい
Eikonを導入した後のWindows 7ログオン画面Eikonのセンサ部を指でスワイプすると……自動的にパスワードが入力されログオンできる

 ちなみにEikonの反応は十分快適と言えるレベルで、俺の場合はスワイプ(指紋のスキャン)に失敗したことは2~3回程度。スワイプ作法に慣れた現在(と言っても指を斜めにしない程度)、失敗することはなくなった。スキャン~認証までも(俺環境では)非常に高速なので、ホントに「指で軽くタッチするだけで認証完了」というイメージで使えている。

 

ウェブアクセスも超快適化

 あまり参考にならない話かもしれないが、前述のMicrosoft Fingerprint Readerと比べてEikonはヒッジョーに指紋認証精度が高く、反応速度も速い。ので、単純にウィンドウズへのログオンが以前に増して快適化した。同時にウェブブラウザでの指紋認証ログオンも快適化。速くてスムーズ!! マジ便利っす♪

たとえば頻繁にアクセスしがちな会員制サイト。EikonにIDとパスワードを登録しておけば瞬時にログインできるEikonへID/パスワード登録済みのサイトへ行くと、こんなポップアップ表示が。スワイプだけでログイン可能だEikonをスワイプすると、ID/パスワードが自動入力され、ログオンできた。ちなみにブラウザはGoogle Chromeっす

 ちなみに、Eikonを使えるWindows版のウェブブラウザは、Internet Explorer、Firefox、Chromeとなる。使用するユーリティティのバージョンによって若干異なるので、FAQを参照して最新のユーティリティやブラウザ毎の機能拡張を使うといいだろう。

 さて、Microsoft Fingerprint Readerばかり使ってきた俺は、速さスムーズさ以外にもEikonに大きなメリットを感じた。てのは、より多くのウェブサイトへログオンできるようになったのだ。

 Microsoft Fingerprint Readerのときは、特定のサイトはどう登録/設定してもダメ、てなケースが少なくなかった。とくに銀行。複雑なパスワードを設定する必要のあるオンラインバンキングサイトで安全にパスワードなどを自動入力できると最高に便利なんだが、以前はそれができたりできなかったり。

 しかしEikonを使いはじめてから、俺が使っている金融関連サイトは全て指紋認証で自動ログオンできるようになった。あー快適。ラク。Eikon買って良かった~と思っている。さておき以下に、ID/パスワードの登録手順まで含めて、Eikon利用の具体例を挙げてみたい。

オンラインバンキングのログイン画面にアクセスしたところ。EikonにID/パスワードなどを登録可能なページの場合、こんなふうにポップアップ表示が現れる(表示させない設定も可能)Eikonに登録するには、ID/パスワードなどを登録可能なページで、Eikonをスワイプする。と、ID/パスワードなどを登録するためのウィザードが起動。以降、指示に従って設定していくこんな感じでID(このサイト/ページの場合は契約番号)やパスワードをウィザードへ入力する。サイトによっては正しいフィールド名が表示されないこともあり、登録できないこともある
登録名などを入力すれば、Eikonでの指紋ログオン登録完了だ次回に同じページにアクセスするとこのようなポップアップがそうしたらEikonをスワイプ。指先を動かすだけでログイン完了

 まあ金融サイトの場合、入出金にはログインID/パスワードとは別に何らかの情報(たとえば乱数表からの数値など)を入力する必要があるので、Eikon使えば全てが全てラクになるってわけではない。が、Eikonによりパスワード保護されたウェブサイトへのログオンをクイック&スムーズに行えるようになることは確かだ。ブラウザにID/パスワードを記憶させるというリスクもなくなるし、人前でパスワードなどを打鍵するシチュエーションも激減する。指紋認証でのログオンはラクでありかつ安全と言えよう。

 なお現在、IDやパスワードが必要なサイトを多数Eikonに登録して利用しているが、ナゼか(Chrome)だとAmazonのユーザーID項目への自動入力ができない。まあ一度ログオンしてしまえば再度ログオンしなおす必要が少ないサイトなのであまり不便には感じないが、Eikonも完璧とか万能って感じではナイんですな。

 

ソフトウェアについての補足

 前述のようにEikonには様々な機能があるが、そのほとんどの設定はEikon対応ドライバ/ユーティリティのProtector Suite 2011を使って行う。無料で機能制限付きのLimited VersionをUPEKのサイトからダウンロードして利用できる。

 なお、Limited Versionを有料でアップグレードしてFull Versionとすると、Limited Versionの機能制限がなくなる。Limited Versionの機能制限はここにあるとおりだが、パスワードで保護されたウェブサイトへのログオン登録件数が3件までしか行えないのがイタい。Eikonの価値を十分に引き出すにはFull Versionが必須だろう。

Protector Suite 2011はEikon対応ドライバ/ユーティリティの最新版(2011年9月現在)となるProtector Suite 2011からEikonの各種機能を設定できる。画面は有料のFull VersionEikonをスワイプすると現れるバイオメトリックメニュー。ここからもProtector Suite 2011を呼び出せる

 Eikonのドライバ/ユーティリティソフトウェア関連についてチョイと補足。

 国内で売られているEikonのパッケージには、どうも古いソフトウェアCDが付属しているようだ。CDに収録されているのProtector Suite QL5.8で、これはWindows 7に非対応であるもよう。また、Google Chrome上でEikonを使おうとするとProtector Suite 2011(のバージョン5.9.5,build 6962/6966以上)が必要になるので、多くのケースで「国内で売られているEikonのパッケージに付属するソフトウェアCDはイマイチ役に立たず、UPEKのサイトからProtector Suite 2011をダウンロードする必要が出る」だろう。

 Eikonパッケージ買って、さらに別途ソフトウェアダウンロードして、しかもそのソフトだと実用性がイマイチだから有料アップグレードが必要なの? Windows 7を使用中で、Chromeを使いたいというなら、絶対にそうなる。ほかのOSを使っている場合はこの限りではないが、やはり最新版で機能制限がないドライバ/ユーティリティ(Protector Suite 2011 Full Version)を使いたいと思うのが人情だろう。

 ただ、国内でEikonを購入後、6ヶ月以内であれば「上記の有料版ソフトことProtector Suite 2011 Full Versionを無料で手に入れられる」。購入者にはLimited Version → Full Versionへ無償アップグレードする権利があるわけですな。そのための手続きは以下のとおり。

(1)UPEKウェブサイトでContact Formを開く。
(2)Contact Formに名前やメールアドレスなどを英語で記入し、Productとして「Eikon Digital Privacy Manager」を選択。次のステップで必要事項を記入し、最後の「your problem/question」に「Eikon買ったけどソフトウェアを最新版にしたいヨ」的なことを英文で書く。
    例)I would like to upgrade Protector Suite 2011 Limited Version to Full version. I bought Eikon on 2011/XX/XX. (XX/XXは購入月日)
(3)フォーム送信後に自動返信メールが届き、追ってメーカーサポートよりメールが届く。これに対し、購入日や製品購入証明書のコピーを添付するなどして返信する。
(4)メーカーサポートよりクーポンコードが届くので、Protector Suite 2011購入ページにアクセスしてクーポンコードを入力する。
(5)ライセンスファイルがメールで届く。メールの指示に従ってソフトウェアをアクティベートする。

 てな感じ。細部は少々違っているかもしれないが、Eikon購入後6ヶ月以内なら、以上の手順でProtector Suite 2011 Full Versionを無償提供してもらえるハズだ。ちなみに、Protector Suite 2011 Full Versionをフツーに買うとUS19.99ドルですな。

 

Protector Suite 2011でデキること

 さて、だいぶ話が逸れてしまったが、以降、Protector Suite 2011 Full Versionでデキることなどを少々。

 まずEikonを使うための基本的な設定などを行える。指紋の管理、詳細な挙動、それからユーザーデータのエクスポートやインポートなどなど。ちなみに、Protector Suite 2011の設定変更時なども指紋認証が必要になることがある。「いま設定を変更している人、ホントにユーザー当人なのか?」と確認してくるわけですな。

Eikonのほとんどの設定はProtector Suite 2011のコントロールセンターから行える。コントロールセンターはEikonをスワイプしても呼び出せるセキュリティの強固さに関する設定も比較的に細かく行える。コントロールセンターは全体的にわかりやすい表示と浅い階層。操作しやすいですなEikonに登録したデータのエクスポートなども行える。バックアップパスワードはEikon故障時に暗号化したデータを復旧させる唯一の手段となる

 なお、Eikonが壊れたとか指をケガしたというときに備え、指紋認証代わりになるバックアップとして、Protector Suite 2011上でバックアップパスワードを設定することができる。指紋認証がどうしても巧く行かない場合でも、このバックアップパスワードがあれば引き続き処理を行える。Protector Suite 2011で重要な個人認証データのエクスポート/インポートを行う場合にもこのバックアップパスワード必要になる。

 実用的な機能としては、たとえばアプリケーションランチャーがある。スワイプで特定のアプリを起動するという機能ですな。当初は「こんなの必要かな?」と思った。「スワイプよりWindowsのクイック起動が便利では!?」と考えていた。が、Protector Suite 2011のアプリケーションランチャーには、特定のサイトおよびそのログオン情報を登録できたりする。たとえば銀行を登録しておけば、Eikonにスワイプするだけでウェブブラウザが立ち上がって銀行のサイトに接続してID/パスワードを入力してログオンまでデキちゃうのだ。指一本でソコまでデキるのは非常に実用的である。

 E-Walletもなかなかイイ。基本的には各種個人情報を保護しつつPC上に記録できるという機能だが、クイックに扱えるし汎用性もある。たとえば登録したクレジットカード情報は、スワイプ→(バイオメトリックメニューの)項目選択程度で表示できる。また、その表示からカード名義人やカード番号などをドラッグ&ドロップでブラウザ上のフォームなどに入力することもできる。

 強固なパスワードを自動生成するストロングパスワードジェネレーターなんてのもある。も~の凄く複雑で非人間的なパスワードを生成してくれる機能ですな。この機能を使ってのパスワード管理も可能なので、Eikonを使いはじめたらパスワード作成は全てこのストロングパスワードジェネレーターに任せるのもアリかもしれない。

スワイプで特定のアプリを起動するアプリケーションランチャー。スワイプ一発で要ID/パスワードなウェブサイトへのログオンも可能だクレジットカードや銀行口座などの情報を保護しつつ保存できるE-Wallet。各情報はクイックに閲覧でき、情報ののコピー利用も非常に手軽強固なパスワードを自動生成するストロングパスワードジェネレーター。大文字は使わないなど、ある程度のユーザーカスタマイズも可能

 個人的に「コレは使い続けてみようかな」と思ったのは、暗号化アーカイブ機能だ。機能としては2つあり、File SafeとPersonal Safeとなる。どちらも「鍵を掛けられるフォルダ」といった機能で、ファイルをそのなかに暗号化して保存できる。

 File Safeは、任意のディレクトリに鍵を掛けられるフォルダを作れてファイルを暗号化保存できるという機能。Personal Safeはデスクトップ上(もしくはマイコンピュータ内)にある隠しフォルダで、そこにファイルを暗号化保存できる。

 File SafeもPersonal Safeも、スワイプで施錠/解錠でき、保存されるファイルは暗号化されるということを除けば、普通のフォルダと同様の感覚で扱える。File Safeのほうは任意のディレクトリに移動できるアーカイブなので汎用性も高い。パスワードをキーボード入力するタイプの同様のソフトウェアはあるが、施錠/解錠をスワイプ一発でできるってのはやはり非常に快適。このラクさなら怠惰な俺でも常用できそうな気がする。

ファイルを暗号化し保護できる暗号化アーカイブ機能。File SafeとPersonal SafeがあるFile Safeは任意の場所に保存できる暗号化アーカイブを作成できるという機能だPersonal Safeはデスクトップ上の隠しフォルダで、ファイルを暗号化保存できる

 てな感じで、ソフトウェア的な使用感まで含め、全体的にナイス度が高いEikon。しかし現在のところ単体での入手性はイマイチよろしくない。Amazonでも少数売られているが、俺の場合はinfoBioというショップで購入した。なお、EikonはWindows版Mac版のパッケージがあるようだ。

 俺の場合はWindows版のEikonを使っているが、面倒なのは本家サイトとやり取りしてProtector Suite 2011ソフトウェアをFull Versionに無償アップグレードしてもらうトコロくらい。Protector Suite 2011 Full Versionさえ使えるようになっちゃえば、汎用性の高さやクセの無さなども含め、非常に実用的な指紋認証システムだと思う。俺的にはEikonを買ってたいへん満足している。

 

2011/9/26 06:00