バイブレーションスピーカー4製品をチェック

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


【重要】バイブレーションスピーカー「プレオン」VS1について、本記事掲載後に、株式会社キングジムよりお知らせ「発熱・発煙のおそれのため、使用中止のお願い」が公開されました。キングジムでは、「プレオン」VS1の製品販売を中止し、製品の回収を行うと発表しています。本日発表のため、まだ市場には流通在庫があると思われますが、購入されないようご注意ください。(編集部)

バイブレーションスピーカー4製品をチェック

 2011年5月27日にキングジムから発売されたPREON(プレオン)。本体を置いた面がスピーカーになるという、いわゆる「バイブレーションスピーカー」製品である。

キングジムのPREON(プレオン)。机上や箱の上などに置けば、机や箱がスピーカーとなって音が鳴るというバイブレーションスピーカー製品だ。メーカー価格は4980円本体に電源スイッチとUSBポート。専用USBケーブルで充電/給電/音声入力を行う。電源は内蔵バッテリーもしくはUSB給電。内蔵バッテリーでの連続稼働時間は約3時間ノートPCとPREONをつないで会議室のテーブルをスピーカーとしてプレゼンテーションを行う、的なシチュエーションにはピッタリ。音質や音量はPREON設置場所に依存

 PREONは、モバイルノートPCなどとつないで、手近なテーブルや箱や棚などを即席スピーカーにするというモノ。コンセプトは「プレゼンテーションに音の力を」であり、要は会議室のテーブルなどをスピーカーとしてノートPCなどの音声を出し、プレゼンをより効果的なものにするという製品ですな。

 コレを実際に試してみたら、予想以上でキレイかつ大きな音で鳴るのであった。プレゼンとは少々縁遠い拙者は、iPad 2とPREONをつないでガレージバンドの音を出してみたが、けっこーソレナリに楽しめる。

 まあ、バイブレーションスピーカー全般、「より良い音で楽しむための機器」というより、「机でも箱でも何でもスピーカーにできる」という利便に価値があるものなので、どの製品も音質はソコソコだったりはする。

 PREONの場合なら、音源やスピーカーにする対象(机や箱)にもよるが、AMラジオ~FMラジオくらいの音質が限度というイメージだ。上記リンクにも書いたが、いわゆるドンシャリ系サウンドはキレがイマヒトツだったり少々歪んだりするが、アコースティック系サウンドは全体的に悪くない。音楽を楽しむには音質的にちょっと力不足って感じではあるものの、アコースティックギターとかだと、PREONを置く対象によってはミョーに心地良い音だったりする。また、机に置くと机全体から音が出るという風変わりな無指向性サウンドもイイ感じ。

 バイブレーションスピーカーって、BGM的に音楽を流したり、YouTubeを何となく観たり、USTREAM的なライブビデオをチェックしたりするならけっこーイケる音質があると思う。もしかしたら使いドコロによっては実用性超高かったりするのでは!? てな感じで急激に興味がわいたので、良さそうな製品をいくつか買って試してみた。以降、それぞれザザッとレポートしてみたい。

 

「イイ音スポット探し」が楽しいFOSTEX GY-1

 まずはFOSTEXの「エアアクティブ・コンタクト・スピーカー GY-1」。Amazonで1万3955円だった。カラーはクール・ホワイト、ディープ・ブラック、ウォーム・シルバーがあるが、ウォーム・シルバーを購入した。

 購入理由は……Amazonとかで売ってるバイブレーションスピーカーとしてはけっこー高価な部類だしFOSTEX製だし、価格とメーカーで音質期待ってわけですな。そして結果、なかなかイイ音。率直なところ、今回紹介している6種類のバイブレーションスピーカーのなかではいちばんイイ音だと感じている。

未来的なフォルム。サイズは直径99×高さ90mmで、質量は約1.7kg使用中は下部が青く光る。未来的……もはやレトロフューチャー!?電源オンオフや音量調節、音源との接続に使うコントロールボックス

 音質は、高音も低音もわりとシッカリ出てくれて、BGM的用途以外に音楽鑑賞用途もカバーできるような気がする。人によっては「えっ、バイブレーションスピーカーってこんなイイ音すんの?」と驚けるかも。また、出力も小さくなく(定格出力3W/最大出力5W)、たとえばテーブル全面からけっこーイイ音が「湧き出す」感じ。空間が音楽で満たされ包まれる感覚が気持ちイイ。ただし、良い音を出すためにはいくつか条件があるようだ。

 まずは設置面の材質。結論から言えば、段ボール箱とか軽量の組み立て家具とかの上だと音量も音質も期待はずれとなる。場合によっては「何コレ音全然出ないんですけど~」てなことにも。どうやら、接地面はある程度硬質で密度の高い素材でないとダメっぽい。中身がスカスカでない、目の詰まった机とか棚とかがイイようですな。

 拙宅で試した範囲では、わりと頑丈で大きめな木のテーブル、フローリング床あたりが音量/音質ともに良好だった。小型の木製引き出し、金属シャーシの箱などは音質はソコソコ良いものの、音量があまり得られなかった。ガラスはさらに音量が低かった。

 あと、置く位置も大切。上記の「良好な結果が得られた頑丈で大きめな木のテーブル」でも、GY-1を置く位置によってガラリと音質/音量が変わる。ほんの10センチ動かしただけで低音~中音が豊かになったり、あるいは高音のキレが増したり、もちろん音量の変化もある。最高のパフォーマンスを発揮させるには設置場所探索が必要と言えよう。とは言っても設置場所を変えると音が変わるのはオモシロく、「ここがいちばんイイ音だ!!」てな探求をしつつ使うのは案外愉快だったりする。

 使いにくい面も。使用時は、本体と上記の写真にあるコントロールボックスを接続する。コントロールボックスでは電源のオンオフ、音量調節ができる。またコントロールボックスには付属ACアダプタやオーディオ機器からの出力をつなぐ必要がある。ので、要はコントロールボックスとかACアダプタとかチョイとゴチャゴチャした設置感になる。本体に直接ACアダプタや音源をつなげて、音量や電源はリモコン操作できたら良かったのに、と思う。

 

オススメだが生産終了? のRLS-250SV

 次。REAL LIFE JAPANの「バイブレーションスピーカー RLS-250SV」だ。コレ、結論から言って音質的にも使い勝手的にもなかなかイイのでオススメなんだが、生産終了? なんか多くのネットショップで「現在お取り扱いできません」的な表示になっているようだ。ちなみに拙者はAmazonで4980円で購入した。

REAL LIFE JAPANの「バイブレーションスピーカー RLS-250SV」。サイズは幅73×奥行き73×高さ53mmで、重量は882g。手のひらサイズの小箱って感じですな本体には4つのボタンと青白の液晶パネルがある。高音と低音を調節できるイコライザー機能もある。背面には音声入力ジャックとACアダプタジャックがある付属のリモコン。これにより電源オンオフ、音量調節、ミュート、高音と低音のイコライザー調節を行える。常用する場合はやはりリモコンが便利ですな

 まず音質だが、前述のGY-1よりちょっと痩せた印象の音がするものの、これもまた曲や設置環境によっては音楽鑑賞までイケそうな音質。また音量だが、定格出力が15Wとなっているものの、なーんか実際は前述のGY-1よりも小さい気がするし、音量を上げすぎると音が歪みがちだ。

 ただ、高音と低音を個別に(±両側に14段階ずつ)調整できるイコライザーが使えるのと、こういったバイブレーションスピーカー製品を大音量で使うケースってあまり多くないと思われるので、GY-1より大きく劣るという印象ではない。

 ちなみに、RLS-250SVも「どこに置くか/どの位置に置くか」で音質や音量が変わるが、その傾向は前述のGY-1とよく似ている。段ボール箱とかはダメな感じで、密度が高くて硬めの木材の上が良いようだ。

 あとこのRLS-250SV、リモコンが付属していることと、配線をシンプルに済ませられるのが好印象。本体に音源からのケーブルとACアダプタからのケーブルをつなぎ、設置し、あとはリモコンで操作するだけ。スマートに常用できる操作感ですな。

 てな感じで、音質も操作感も良好なRLS-250SV。たとえばパソコンやポータブルオーディオプレイヤーと接続して室内で常用するにはかなりオススメなんだが、……やっぱりコレって無くなりつつある製品なんだろうか?

 

音質は平凡だがスマートに使えるTunebug-Vibe

 次にエンティスの「Tunebug-Vibe」。充電式(USB充電)の小型バイブレーションスピーカーで、本体と音源を付属ケーブルで接続するだけで使える。いろいろなモノをスピーカーとして鳴らせるので、モバイル用としても好都合だ。Amazonで5500円で購入した。

エンティスの「Tunebug-Vibe」。本体上部に電源ボタン、本体手前に音声入力/充電用ジャックがあるのみサイズは約幅58.5×奥行き58.5×高さ25.4mmで、質量は約150g。充電式で、連続動作時間は約5時間机上から箱まで、いろいろなモノをスピーカー化できる。汎用性があるわりには比較的に高音質だ

 拙者的結論から言えば「家でも外でも手軽にシンプルにあまり悪くない音でバイブレーションスピーカーを楽しみたい」と欲張るならこのTunebug-Vibeかもしれない。充電式ってコトで使用場所を選ばないし、音源との接続もケーブル1本のみ。ちなみに、充電用ケーブルや音源との接続ケーブルはしなやかで扱いやすいものが付属する。

 あと、テーブルの上でも段ボール箱の上でもプラスチックケースの上でもと、いろいろな素材のモノをスピーカーとして鳴らせるあたりも使いやすい。外見も美しいので、バイブレーションスピーカーのオモシロミをスマートな方向で演出してくれそうだ。

 音質や音量もまあまあって感じ。音質はまずます悪くないほうだと思うが、高音も低音も少々足りない印象。それからさほど分離が良くないのでクリアという印象にはなりにくい。硬質な木のテーブルなどで鳴らすとよりキレイな音になるが、硬い対象だと音量をあまり稼げないような気がする……いや実際はけっこー大きめの音が出るが、音が歪みがちになる。

 音量も音質もバランス良く鳴らせるのは薄い木箱や段ボール箱あたりかも。全体的にこもった音になりがちなのでドンシャリ系のサウンドには向かなくなるが、音量も大きめになり柔らかい音が楽しめるのでアコースティック楽器による音楽には悪くない。また、「あの紙箱はどうかな、このプラスチック箱はどんな音?」みたいに手軽に遊べる点も楽しい。

 いろいろな対象に密着させて音を出せて、外見的にも音源との接続もシンプルで、充電式なのでどこでも使える。各側面での性能はソコソコだが、あるいはいちばん多用できるバイブレーションスピーカーかもしれない。

 

バイブレーションスピーカーは当たり外れがある!?

 じつはほかにも4種類ほどバイブレーションスピーカーを購入した。のだが、オススメ度があまり高くないし生産終了にもなっちゃったとか、音楽とはけっこー縁遠い音質レベルだとか、金返せコノヤロウ的な製品だったとか、ちょっとココで紹介しにくい製品となってしまった。

 バイブレーションスピーカー製品、まずはモノとして音モノであって、つまりユーザーによってけっこー印象が変わってくる製品だ。また、やっぱりモノによって音質も音量もかなり違ったりする。ぶっちゃけ、購入後の影響って点では後者の方が大きいかも知れない。

 バイブレーションスピーカーって「なんでもスピーカーになっちゃう!!」みたいな印象が超強いじゃないスか。でも実際はそうでもなくて、たとえば重めでありかつ音量が出る製品の場合、ナゼか段ボール箱とかだと全然音が出なかったりする。逆にUSBコネクタみたいな小型の製品なのに机上からガラスから箱から何から鳴りまくり(だけど音質が全然アレ)だったりと、ひとくくりにはできにくいジャンルであるように思う。

 ので、やはり、買う場合はそのあたりを頭に入れて、情報をよく集めて、できれば実際にどんな音が出ているのか実機で試してから、に、するのが無難だと思う。良い製品に当たれば楽しいが、そうでないケースもアリガチってわけですな。ともあれ、また良さゲなバイブレーションスピーカー製品を見つけたら、どこかでレポートしますネ。

2011/6/13 06:00