法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

LTEから次世代を見据えた各社のネットワーク戦略

 iPhone 6の発売を機に、各携帯電話会社は自社のモバイルネットワークの戦略について、積極的にアピールを始めている。iPhoneに限らず、スマートフォンやケータイのサービスを提供するうえで、充実したネットワークを構築することは、各社にとって、非常に重要なテーマだ。今回発表された内容をおさらいしながら、各社のモバイルネットワーク戦略をチェックしてみよう。

各社のネットワーク戦略を左右するiPhoneの存在

 私たちは普段、何気なく、スマートフォンやケータイ、タブレットを利用しているが、Wi-Fiに接続されている場合を除き、これは各携帯電話会社のモバイルネットワークに接続していることになる。各社は割り当てられた周波数帯域を使い、ユーザーの利用状況などを確認しながら基地局を設置したり、ネットワークを整備し、ユーザーがストレスなく利用できる環境を整えようとしている。

iPhone 6
iPhone 6 Plus

 普段は「○○はつながる」「△△は□□で圏外なんだ」「◎◎はダウンロードが速いよ」といったユーザー同士の言葉で語られることが多いモバイルネットワークの状況だが、9月9日にAppleから「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」が発表されたことを機に、各社はこぞって、自社のモバイルネットワークの優位性を語りはじめ、その充実ぶりを積極的にアピールしている。

 これはiPhoneという大型商品がこれまでも各社のモバイルネットワークに影響を与えてきたことが関係している。たとえば、2008年に国内ではじめてiPhone 3Gを導入したソフトバンクはエリアの拡大を図る一方、トラフィックのオフロードのためにWi-Fiスポットの拡充などに追われ、LTEネットワークに対応したiPhone 5ではauとソフトバンクの人口カバー率が話題になった。昨年はついにNTTドコモがiPhoneの取り扱いを開始し、主要3社が横並びで販売されたため、今まで以上に各社のモバイルネットワークの実力が議論されることになった。

 今回のiPhone 6とiPhone 6 Plusでは、大画面化やボディデザインが注目されているが、ネットワーク関連でもTD-LTE対応やLTE対応バンドの増加、キャリアアグリゲーション対応、VoLTEのサポートなど、新しい技術に対応しており、これらを活かすために、各社のモバイルネットワークに対するアピールも力が入っているわけだ。各社の発表内容はそれぞれの記事にも掲載されているが、ここではその内容を整理して、もう一度、各社のモバイルネットワークの戦略をチェックしてみよう。

『フルLTE』で快適さと速さを追求するNTTドコモ

 NTTドコモは9月17日に記者説明会を催し、自社のLTEネットワークの戦略を解説した(※関連記事)。ドコモとしてはユーザーに満足してもらえるネットワークを構築するため、「広さ」「速さ」「快適さ」をテーマに、ネットワークの進化を続けているという。

 現在、NTTドコモでは1.7GHz帯(20MHz幅)、1.5GHz帯(15MHz幅)、800MHz帯(10MHz幅)、2.1GHz帯(15MHz幅)を利用してサービスを提供しているが、これらの内、1.7GHz帯と1.5GHz帯については、帯域のすべてをLTEに割り当てており、これを「フルLTE」と位置付け、アピールしている。1.7GHz帯は東名阪地区のみの割り当てだが、全体の2/3のトラフィックがここで発生しているため、かなり効果は大きいとしている。ちなみに、1.7GHz帯はiPhone 6とiPhone 6 Plusでもサポートしており、「フルLTE 1.7G」の恩恵を受けられるとしている。

周波数帯

 広さについては、2013年度第4四半期に5万5300局だったLTEの基地局数が2014年度第2四半期で7万7000局、2014年度第4四半期には9万5300局まで拡大する予定で、着実に拡げてきている。FOMAの基地局数が11万局あるため、2014年度末にはXi(docomo LTE)のエリアがほぼ同等になるという。人口カバー率についても総務省が示した新基準で、FOMAもXiも99%に達しており、エリアの広さで高い評価を得てきたFOMAのエリアにXiのエリアが並ぶレベルまで拡がってきたことがわかる。

 次に、速度については1.7GHz帯の20MHz幅を利用したLTE Category4による受信時最大150Mbpsのサービスを昨年の9月から提供しており、基地局数は2014年度末までに当初計画の3.5倍に相当する7000局まで拡大する予定だ。今回のiPhone 6とiPhone 6 PlusのLTE対応はCategory4準拠であるため、フルLTE 1.7Gのエリア内であれば、この受信時最大150Mbpsのデータ通信が利用できることになる。

 また、東名阪地区以外のエリアでも利用できる1.5GHz帯や2.1GHz帯による受信時最大112.5Mbpsのサービスも着実にエリアを拡大しており、2014年度第2四半期の段階で2万1000局の基地局を運用し、2014年度第4四半期には2013年度第4四半期の10倍を超える4万局まで拡大する予定だ。

 さらなる高速化を実現するものとしては、LTEの次世代規格となるLTE-Advancedの準備を進めており、2014度中にLTE Category6準拠の受信時最大225Mbpsのサービスを開始する。そして、2015年度以降へ向けては、新たに割り当てが予定されている3.5GHz帯を活用し、受信時最大1Gbpsのサービスを提供し、これに続く、第五世代のサービスの開発も着実に進めていくという。

 ところで、次世代規格となるLTE-Advancedは、いくつかの主要技術で構成されているが、すでにauはその内のひとつの技術である「キャリアアグリゲーション(CA)」を利用したサービスの提供を開始している。キャリアアグリゲーションは複数の周波数帯の帯域を束ねて利用することで、より高速なデータ通信を実現し、安定して通信しやすくするもので、auでは800MHz帯と2.1GHz帯の帯域を束ねることで、受信時最大150Mbpsのサービスを提供している。

 当然のことながら、NTTドコモも今後、キャリアアグリゲーションによるサービスを提供する予定だが、NTTドコモとしては前述の“フルLTE”で受信時最大150Mbpsサービスを提供できているうえ、シングルバンドでは提供できない高速データ通信サービスを実現するためにキャリアアグリゲーションを利用したいと考えており、Category6準拠の受信時最大225Mbpsサービスを提供するためにキャリアアグリゲーションを採用する予定だ。ちなみに、Category6準拠のLTEは40MHz幅の帯域を利用し、受信時最大300Mbpsのサービスを提供可能だが、NTTドコモが提供するのは30MHz幅による受信時最大225Mbpsのサービスになる。具体的な周波数の組み合わせとしては、800MHz帯の10MHz幅による75Mbpsと1.7GHz帯の20MHz幅による150Mbpsがひとつで、もうひとつは2.1GHz帯と1.5GHz帯の15MHz幅ずつの帯域を利用したものが想定されている。前者が主に東名阪地区、後者が全国エリアでの利用を想定している。今のところ、NTTドコモのラインアップにはCategory6準拠の端末がラインアップされていないが、9月30日には2014-2015冬春モデルの発表会が予定(※ドコモの予告サイト)されており、対応端末の発表が期待される。

 また、速度を語るうえで、よく指摘されるのが実際に利用するユーザー数との関係だ。モバイルのネットワークは電波で接続するため、受信時に最大100Mbpsを超えるような通信速度が謳われていても同じ基地局内にいる他のユーザーと電波を共有するため、同じ通信規格に対応していてもユーザー数が少なければ速く、ユーザー数が多くなれば遅くなってしまう可能性がある。たとえば、郊外では高速通信のメリットが享受できたのに、都市部ではなかなか十分なパフォーマンスが得られないといったことが起こり得るわけだ。特に、契約数の多いドコモはこうしたイメージを持たれる傾向にある。

 こうした状況に対して、NTTドコモでは「アドオンセル」という技術を利用することで、トラフィックが集中するビジネス街や繁華街でも十分なパフォーマンスを得られるようにしている。アドオンセルは比較的広いエリアをカバーするマクロセルに対し、局所的にトラフィックの多い場所にアドオンセルと呼ばれるスモールセルやピコセルを配置することで、無線容量を拡大しつつ、スループットを向上させる。ひとつの周波数しか利用できなければ、こうした技術は運用が難しいが、現在はNTTドコモでも4つの周波数帯でLTEネットワークを運用しているため、問題なく、運用することができ、ユーザーもメリットを享受しやすい状況にある。

 こうした「広さ」や「速さ」を組み合わせるとともに、4つの周波数帯域の運用を最適化することで、今まで以上にユーザーが快適に利用できる環境を目指している。たとえば、ドコモをはじめとする各携帯電話会社は、割り当てられた複数の周波数帯域の内、3GとLTEをどのように配置するのかが重要になってくるが、NTTドコモでは2013年度第2四半期の段階で800MHz、1.5GHz、1.7GHz、2.1GHzの4つの周波数帯域の内、800MHz帯で10MHz幅、1.5GHz帯の5MHz幅、2.1GHz帯の10MHz幅でLTEを運用していた。これに対し、2014年第2四半期の段階では前述のように、800MHz帯の10MHz幅、1.5GHz帯の15MHz幅、1.7GHz帯の20MHz幅、2.1GHz帯の15MHz幅をLTEに割り当てており、1年前の2.4倍の無線容量(バンド幅の合計)を利用し、受信時の最大速度も2倍まで引き上げている。つまり、この1年間で一気にLTEが利用しやすい環境を整えているわけだ。もちろん、こうした設備の数値的な積み上げだけでなく、利用者の多い東京のJR山手線や大阪のJR大阪環状線での設備増強をはじめ、新幹線や主要63路線でのパケット通信品質の向上、首都高などでの音声品質の向上、イベントでのネットワーク増強や移動基地局車による対策、大規模商業施設でのLTE屋内エリア化、富士山登山道での150Mbps対応など、ユーザーの利用シーンを踏まえながら、着実にエリアの拡充を図っている。

 そして、これらのLTEネットワークの拡充は、NTTドコモが6月からサービスを開始してる「VoLTE」の利用にも大きく寄与している。VoLTEは本来、データ通信のみで利用するLTEネットワーク上に、音声通話の信号を流すことができる技術で、3Gによる音声通話に比べ、高音質な通話が可能になり、スピーディーな発着信や通話中のデータ通信利用などが特長とされている。現在は対応機種が5機種だが、iPhone 6とiPhone 6 Plusについても動作確認を進めており、今後、対応を予定している。他社もiPhone 6とiPhone 6 Plusでの対応を表明しているが、NTTドコモにはすでに3カ月以上、商業サービスを提供してきた実績があり、一日の長があると言えそうだ。

WiMAX 2+とキャリアアグリゲーションでリードするau

 KDDIは9月12日、Appleの発表を受け、記者会見を開き、同社のネットワークの状況やサービス内容について説明した(※関連記事)。これと前後する形で、筆者自身もKDDIの田中孝司代表取締役社長にインタビューすることができ、モバイルネットワークの戦略などについて、話をうかがうことができた(※関連記事)。

 今回のiPhone 6とiPhone 6 Plusは前述の通り、いくつかの新しい通信技術に対応していることが注目されるが、田中社長がインタビューで「我々はこれを目指して、やってきた」と語っているように、iPhone 6とiPhone 6 Plusでサポートされそうな技術に注目し、できるだけ早い段階でサポートできる体制を整えてきたことがわかる。

 まず、iPhone 5s/5cでの環境を振り返ってみると、2.1GHz帯でのLTEのサポートに加え、プラチナバンドと呼ばれる800MHz帯でのLTEに対応したことがauのひとつのアドバンテージとなり、ユーザーにも広く浸透し、支持された格好だ。ちなみに、プラチナバンドLTEでの人口カバー率(総務省新基準)はすでに99%に達し、同帯域での基地局の免許許可数も約5万局を数えており、2.1GHz帯の人口カバー率もすでに91%まで拡大している。つまり、どちらの周波数帯についてもモバイルネットワークの環境が充実し、安定した品質で広いエリアで利用できるようになってきた印象だ。

 そして、今回のiPhone 6とiPhone 6 Plusでサポートされた通信技術としては、まず、従来から対応していたFDD-LTEに加え、TD-LTEにも対応したことが挙げられる。これまでサポートされてきたFDD-LTEは上りと下りで異なる周波数を使っているのに対し、TD-LTEは上りと下りの信号を時分割により、ひとつの周波数帯域で送受信する。KDDIグループのUQコミュニケーションズが提供する「WiMAX 2+」は、このTD-LTEと互換性のある通信方式であり、auのiPhone 6とiPhone 6 Plusでは800MHz帯と2.1GHz帯のLTEネットワークに加え、2.5GHz帯のWiMAX 2+を利用することが可能だ。WiMAX 2+は2013年10月、東京の一部でサービスを開始し、2014年7月には東京、大阪、名古屋の三大都市に加え、札幌や仙台、広島、福岡などの7大都市にまでエリアを拡げており、2014年末には全国主要都市をカバーする予定だ。同じTD-LTE互換である、ソフトバンクグループのWireless City PlanningのAXGPに比べると、サービス開始時期が比較的最近のため、現時点のエリアは譲るが、auが2014年夏モデルからAndroidスマートフォンでもサポートしていることもあり、急ピッチでエリアを拡大している。

 次に、iPhone 6とiPhone 6 Plusでサポートされた通信技術の内、auがもうひとつ強みになるのが「キャリアアグリゲーション」だ。キャリアアグリゲーションは前述の通り、複数の周波数帯の信号を束ねて伝送する技術だが、auではすでに2014年5月からキャリアアグリゲーションのサービスを開始し、2014年夏モデルのAndroidスマートフォンから対応させており、受信時最大150Mbpsという高速通信を実現している。サービス開始から約4カ月が過ぎたが、ユーザーからの反響は非常に良好で、数十Mbpsという実効速度を記録した結果も数多く報告されている。この高速通信環境が今回のiPhone 6とiPhone 6 Plusでも同じように利用できるわけだ。ちなみに、150Mbpsのサービスが利用できる基地局数は、当初計画よりも展開を早めており、2014年9月の段階で約1万局を開設済みで、12月までにはその2倍に相当する約2万局にまで拡大する予定だ。キャリアアグリゲーションについては他社も対応することを表明しているが、NTTドコモは2014年度内、ソフトバンクは2015年以降としており、auとしてはすでに運用中である強みを活かし、積極的にアピールしたい構えだ。

 こうした設備投資の前倒しなどにより、auのLTEネットワークはかなり充実してきており、実利用でも安定した結果を残している。たとえば、au自らの品質調査では東海道新幹線の東京~名古屋間でLTE接続の試験を実施したところ、用意した30台の端末の内、一瞬でも3Gにハンドダウンした端末は5台のみで、LTE接続を継続的に維持できる品質を確保している。

 この“LTE維持率”に見る品質の良さを活かし、auではVoLTEのサービス提供も準備を進めている。東海道新幹線の新大阪~東京間の試験ではほとんどの区間でLTE接続を維持できており、VoLTEも安定した状態で利用できる環境を整えている。一昨年に提供を開始した4G LTEサービスでは、他社のLTEサービス開始時に比べ、垂直起ち上げと評されるほど、サービス開始当初から広いエリアをカバーしていたが、VoLTEについてもエリアの広さを活かし、サービス開始当初から本格的に利用できる環境を提供しようとしているようだ。

念願のAXGP対応と日米連携で新しい世界を目指すソフトバンク

 ソフトバンクはiPhone 6とiPhone 6 Plus発売直前となった9月17日に記者発表を行い、新サービスの「アメリカ放題」を発表(※関連記事)し、同時に同社のモバイルネットワークの状況などについても説明が行われた(※関連記事)。

 iPhoneをもっとも早くから扱ってきたソフトバンクだが、2011年にはau、2013年にはNTTドコモが取り扱いを開始したこともあり、独占的なアドバンテージはなくなってしまった格好だ。しかし、早くからiPhoneを扱ってきた強みに加え、旧イー・モバイルや旧ウィルコムをグループ傘下に収め、さらに米Sprintも買収したことで、他社にはない新しい強みをいくつも発揮しようとしている。

 ソフトバンクのモバイルネットワークの戦略において、今回のiPhone 6とiPhone 6 Plusのアドバンテージと言えば、やはり、旧ウィルコムからWireless City Planningに継承されたAXGPが利用できることが挙げられるだろう。実は、昨年発売されたiPhone 5s/5cはFDD-LTEのほかに、一部のモデルがTD-LTEをサポートしていたため、TD-LTEと互換性のあるAXGPが利用できるのではないかと期待されたが、対応するバンド(周波数)が異なったため、利用することができず、残念がる声が関係者から何度となく聞かれた。これに対し、今回のiPhone 6とiPhone 6 Plusは、TD-LTE方式でBand 41をサポート。この周波数帯への対応によって、Wireless City PlanningのAXGP方式、UQコミュニケーションズのWiMAX 2+が利用できることになった。ちなみに、ソフトバンクではAXGP方式による高速データ通信サービスを「SoftBank 4G」、FDD-LTE方式による高速データ通信サービスを「SoftBank 4G LTE」と呼んでおり、現在、販売するソフトバンクのAndroidスマートフォンはほとんどの機種が、両方式をサポートした「Hybrid 4G LTE」対応を謳っている。もちろん、今回のiPhone 6とiPhone 6 PlusもHybrid 4G LTE対応となっており、両方の高速データ通信を利用することができる。

 また、ソフトバンクの100Mbps超の基地局数は、すでに6万7000局に達したとしており、NTTドコモの3万9000局、auの3万5000局を大きく上回っている。さらに、高速データ通信サービスが利用できる周波数帯域は、ソフトバンク自身が従来から運用する900MHz帯と2.1GHz帯に加え、グループ内のワイモバイルが運用する1.7GHz帯、Wireless City Planningが運用する2.5GHz帯という4つの帯域を利用できるため、さまざまな環境において、十分なパフォーマンスが得られるとアピールしている。
 iPhone 6とiPhone 6 Plusで新たにサポートされた通信技術への対応については、キャリアアグリゲーションをSoftBank 4G LTEで2015年以降に受信時最大187.5Mbps、SoftBank 4Gでは2014年夏に受信時最大165Mbpsのサービスを提供すると発表しているが、原稿執筆時点でこれらのサービスのより詳しい説明は提供されていない。

 VoLTEについても正式なサービス開始の予定がアナウンスされていないが、すでに販売されているAQUOS CRYSTAL、12月に発売される予定のAQUOS CRYSTAL Xがソフトウェアアップデートで対応することが明らかになっており、今回のiPhone 6とiPhone 6 Plusも同時期に対応することが期待される。

 モバイルネットワークの戦略において、ソフトバンクが他社と大きく異なる方向性を示してきたのは、9月17日に発表された「アメリカ放題」だろう。詳しい内容は記事を参照していただきたいが、ソフトバンクと契約するiPhone 6とiPhone 6 Plusのユーザーで「スマ放題」契約者であれば、米国でSprintのネットワークに接続することで、日本に居るときと同じ料金で利用できるというサービスだ。機種がiPhone 6とiPhone 6 Plusに限定され、SIMカードも同サービスに対応した新しいものが必要になるが、日米を頻繁に行き来するユーザーにとっては魅力的なものであり、今後の展開も非常に楽しみなサービスと言えそうだ。

各社のモバイルネットワークの戦略に注目せよ!

 携帯電話会社にとって、もっとも大切なことと言えば、やはり、「つながる」ことだ。どんなに素晴らしいスマートフォン、優れたケータイであっても各社のネットワークに接続できなければ、その真価を発揮することができない。

 今回はiPhone 6とiPhone 6 Plusという大型商品の登場に合わせ、各社のモバイルネットワークの戦略が語られたが、700MHz帯の運用開始や次世代へ向けた3.5GHz帯の割り当てなど、今後も各社のモバイルネットワークの状況は変化することが予想される。

 商品を選ぶこと、それを有効に活用することも大切だが、ユーザーとしては各社がどういう戦略を持って、ネットワークを構築しているか、どう運用しているかなども少し理解することも大切だ。これからも各社の動向を見ながら、上手にスマートフォンやケータイ、タブレットなどを活用していきたい。

法林岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows 8.1」「できるポケット docomo AQUOS PHONE ZETA SH-06E スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」「できるポケット+ GALAXY Note 3 SC-01F」「できるポケット docomo iPhone 5s/5c 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるポケット au iPhone 5s/5c 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるポケット+ G2 L-01F」(インプレスジャパン)など、著書も多数。ホームページはこちらImpress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。