一人ひとりの「あなたらしさ」のためのドコモ2010年夏モデル

法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows 7」「できるPRO BlackBerry サーバー構築」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。


 前日のauに引き続き、5月18日、NTTドコモは2010年夏商戦向けの新モデル20機種を発表した。幅広いユーザーのニーズに応えるため、今回も多彩なモデルをラインアップしており、同時に今まで以上にスマートフォンに注力する姿勢もハッキリと打ち出している。発表会の詳細は本誌のレポート記事を参照していただきたいが、ここではタッチ&トライで試用した端末の印象や発表内容の捉え方などについて、考えてみよう。


ドコモの2010年夏モデルは全20機種

スマートフォンの充実と5つの商品シリーズを強化

 2008年11月発表のモデル以来、ユーザーの方向性に合わせ、「STYLE」「PRIME」「SMART」「PRO」という4つのシリーズによる商品ラインアップを展開してきたNTTドコモ。これに「らくらくホンシリーズ」を加えた5つの商品シリーズでラインアップを構成してきたが、今年4月に発売されたソニー・エリクソン製端末「Xperia」の登場を機に、「ドコモ スマートフォン」という新しいカテゴリーを作り、ラインアップの拡大を図ろうとしている。この背景には、iPhoneをはじめとするスマートフォンが登場し、通常のケータイを上回るトラフィックを生み出すユーザーが増えてきたことが挙げられる。極端なトラフィック増は携帯電話事業者として、避けたいところだが、パケット通信をよりたくさん使い、パケット通信料定額制サービスの枠をフルに使うようなユーザーは、NTTドコモとしても魅力的といういうわけだ。

 こうした動きを受け、NTTドコモでは今回の2010年夏モデルの発表において、プレゼンテーションの最初に「スマートフォンの充実」を掲げ、スマートフォン3機種を発表するとともに、スマートフォン向けのISPサービスの提供や東京・丸の内のラウンジ開設を発表するなど、一段とスマートフォンへの注力を鮮明に打ち出す内容だった。なかでも注目されたのは、新たに投入されるスマートフォン3機種のうち、2機種は各メーカーがauのISシリーズとして、供給することが発表されているモデルとほぼ同じコンセプトで作られたモデルであることだ。また、スマートフォンシリーズについては、Xperia同様、「○○-01B」といった型番を付けるものの、販売では製品のブランドネームをメインに打ち立てている。



 Xperiaについては9月にiモードメール対応、10月にAndroid OS 2.1へのバージョンアップを実施することがアナウンスされたが、今回の発表会のサプライズのひとつとして、今年9月にサムスン電子製端末「Galaxy S」を投入することも明らかにした。スマートフォンではソフトバンクがiPhoneで大きなシェアを獲得し、成功しているが、NTTドコモとしてはスマートフォンでも幅広いラインアップを揃え、追撃しようという目論見のようだ。

 一方、「STYLE」「PRIME」「SMART」「PRO」という4つのシリーズについては、昨年11月の2009年冬春モデルに続き、STYLEシリーズ重視のラインアップが展開され、PRIMEシリーズは限定的なポジションになってきたことがわかる。

2010年夏2009年冬2009年夏2008年冬
STYLE101066
PRIME4567
SMART2224
PRO1235
スマートフォン3(1)
※スマートフォンは4月にXperiaを発売済み

 4つのシリーズがこのようなバランスになったのは、全般的に見て、STYLEシリーズの売れ行きが好調だからだという。本来、STYLEシリーズはデザインやファッション性を重視する20~30代の女性を主なターゲットに想定するシリーズだが、販売店筋の情報によれば、必ずしも女性だけが購入しているわけではなく、男性も若い年齢層のユーザーを中心に着実に支持を拡げつつあるという。ハイスペック指向のPRIMEシリーズが売れていないわけではなく、この半年間で見れば、SH-01Bがトップセールスを記録し続けているのだが、以前のように、誰もが「90xシリーズ」を購入するという図式ではなく、自分の好みの端末を選んだら、たまたま「STYLEシリーズだった」という形になっているようだ。これだけSTYLEシリーズの選択肢が豊富であれば、自ずと販売数は伸びていくのだろうが、ユーザーの嗜好も少しずつ変化を起こしつつあるのかもしれない。



 また、今回のSTYLEシリーズで特徴的なのは、コラボレーションモデルが一気に増え、STYLEシリーズの半分を占めるようになったことだ。コラボレーションモデルは従来から端末の特徴付けのため、いくつか企画されてきたが、特に昨年は映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」とコラボレーションした「SH-06A NERV」、アクセサリーブランドの「Q-pot.」とコラボレーションした「SH-04B」が限定販売ということもあり、一瞬にして売り切れてしまうほどの人気を博し、それまでのコラボレーションモデルとの違いを鮮明にした。これを受け、今回は「EMILIO PUCCI」「Franc franc」「kate spade」「marimekko」「Studio Conran」「amadana」という6つのブランドとのコラボレーションモデルを企画している。多くは通常販売ということになるが、一部の限定モデルは今回も売り切れになってしまう可能性が十分にありそうだ。

 勢力を拡大するSTYLEシリーズに対し、やや微妙な位置付けになりつつあるのがPROシリーズだ。今回はBlackBerryやWindows Phone(Windows Mobile)端末がスマートフォンシリーズに『移籍』したため、1機種のみとなっている。記者発表の質疑応答でもPROシリーズとPRIMEシリーズのすみ分けについての質問が出たが、スマートフォンシリーズとの比較を見てもスマートフォンシリーズでは『購入サポート』という補助金が出るのに対し、PROシリーズは従来通りの販売奨励金のみで、店頭価格もスマートフォンの方が割安になってしまうという現象が起きている。後述する今回唯一のPROシリーズ端末「N-08B」は非常にユニークな端末だが、こうした作り込まれた端末をどう扱っていくのか、売っていくのかなど、各シリーズのすみ分けは今後もひとつの課題になりそうだ。

 次に、形状やメーカー別ではどうだろうか。形状では折りたたみタイプが全20機種中8機種ともっとも多く、次いで二軸回転式が3機種、スライド(縦)が2機種、スライド(横)が1機種、ストレートが2機種、ダブルオープンが1機種、折りたたみヨコモーションが1機種、ノートPCタイプ(スマートブック)が2機種といった分布で、豊富なバリエーションを取り揃えている。ただ、2009年冬春モデルのときと同じく、スライド端末が少ないのは気になる点だ。メーカー別ではシャープとNECが5機種ずつともっとも多く、これにパナソニック モバイルコミュニケーションズの4機種、富士通の3機種が続き、東芝、LGエレクトロニクス、Research In Motionがそれぞれ1機種ずつという構成だ。これにすでにXperiaを販売中のソニー・エリクソン、SC-01Bに続いて、Galaxy Sを供給するサムスン電子を加えたメーカーが端末を供給することになる。

 機能面については、各機種の説明を参照していただきたいが、ひとつ気になるのは防水への対応だ。既報の通り、auは2010年夏モデルをすべて防水対応にしたが、NTTドコモの20機種はSTYLEシリーズ3機種とPRIMEシリーズ2機種の合計5機種が対応している。防水への取り組みは携帯電話事業者や端末メーカーごとの考えがあるため、それを云々するつもりはないが、NTTドコモのラインアップのように、型番だけで機種がなかなか覚えられないようなラインアップの場合、どの機種が防水なのかが今ひとつわかりにくいのが実状だ。初期の防水対応端末はauのG'zOneのように、耐衝撃機能も備えていたため、外見でも判断ができたが、最近の端末は外部接続端子や電池カバーのパッキンを見て、防水対応であることがわかるくらいだ。ユーザーの混乱を避けるために、できることなら、携帯電話事業者やメーカー間で話し合い、おサイフケータイのような共通のマークを作るか、一目でわかるような工夫をして欲しいところだ。

 一方、サービス面ではウェルネスサービスの「i Bodymo」、スマートフォン向けのISPサービス「spモード」が発表された。i Bodymoはサービス内容を見てもわかるように、auのKarada Managerの対抗サービスで、常に持ち歩いているというケータイの特性を活かすことができる。

 spモードはスマートフォンを購入したユーザーがインターネットに接続することができるISPサービスで、通常の端末のiモード、現在のスマートフォンのmoperaに相当する位置付けのISPサービスということになる。「●▲@docomo.ne.jp」のメールが利用できるようになったり、コンテンツ決済やアクセス制限サービスが用意されるため、今後、スマートフォン向けでは標準的なサービスになる見込みだが、現状のmoperaとのすみ分けについて、聞いたところ、「moperaはパソコンをつないでの接続サービス」という点で差別化ができるとのことだ。

 しかし、すでにXperiaや他のスマートフォンを購入し、「●▲@mopera.net」などのメールサービスを利用しているユーザーもいるわけで、こうしたユーザーはspモードに乗り換えると、メールアドレスの切り替えが必要になったり、利用料金も二重に掛かってしまう可能性がある。スマートフォンへの移行を進める過渡期であるため、多少の面倒はしかたがないのかもしれないが、もう少しサービス内容を整理して、現行ユーザーがどのように移行し、新規ユーザーがどのように契約して、どう使っていくべきなのかを早い段階で明確にしたうえで、サービスを提供して欲しいところだ。

一人ひとりのための「自分らしさ」を表現できるラインアップ

 さて、ここからはいつものように、発表会後のタッチ&トライコーナーで試用した印象と各機種の捉え方について、紹介しよう。ただし、今回もモデル数が20機種と多いうえ、撮影に追われるばかりで、機種ごとの試用時間がかなり限られていたことをお断りしておく。また、いずれの端末も発表会で展示されたもので、最終的な製品ではないため、実際に発売された端末と違いがあるかもしれない点は、あわせて、ご了承いただきたい。各機種の詳しい情報については、ぜひ本誌のレポート記事を参照して欲しい。

【STYLEシリーズ】

F-07B(富士通)

 2008年発売のF906i以来、久しぶりのヨコモーションスタイルを採用したモデル。ディスプレイ部が左右に90度回転するため、構造上、どうしてもディスプレイ部が厚くなってしまうが、従来モデルに比べ、約4mm程度、薄型化し、ワンプッシュオープンを備えることで、端末を開けやすくしている。12.2MカメラやBluetooth、オートGPS対応など、PRIMEシリーズの端末に匹敵するほどのハイスペックを実現している。

F-08B(富士通)

 スタンダードな折りたたみデザインの防水モデル。トップパネル中央にくぼみをつけた「ekubo」デザインが特徴。えくぼの部分を指で触ると、イルミネーションが光るなどの演出が可能。F-07Bに比べ、スペックや機能、対応サービスは絞り込まれており、GPSやBluetoothは非搭載となっている。防水機能とかわいいデザインを重視する女性ユーザー向けのモデルと言えそうだ。

L-04B(LGエレクトロニクス)

 世界的なデザイナーとして知られるテレンス・コンランが率いるデザイングループ「Conran Studio」によるデザインモデル。NTTドコモの通常端末としては、おそらく2008年1月発売のD705iμ以来のストレート端末になる。わずかに角度が付けられたストレートボディに、背面は手になじみやすい丸みを帯びたケースを採用する。ディスプレイがQVGAだったり、デザインされたキーに少し慣れが必要など、気になる点もあるが、デザイン面の評価はタッチ&トライコーナーでも非常に評価が高く、男女を問わず、もっとも注目を集めていた一台だった。

N-05B(NEC)

 コラボレーションモデルの先駆けとして、2008年に発売された「N706i」以来、2年ぶりとなる「Francfranc」とのコラボレーションモデル。Francfranc自身がリブランディングを行なったこともあり、新しいFrancfrancのイメージで、従来よりも少し大人っぽくデザインされている。オペレータパックに対応しているため、ソフトウェアなどはPRIMEシリーズのN-04Bとほぼ同じ仕様となっている。スペック的にはBluetoothこそ搭載しないものの、オートGPSやHSUPA対応など、十分な仕様を揃えている。

N-06B(NEC)

 NTTドコモの端末ラインアップでは、比較的、種類が多い5色のカラーバリエーションを揃えた普及モデル。フルワイドQVGAのディスプレイ、510万画素カメラを搭載する一方、おサイフケータイやBluetoothを搭載せず、iコンシェルの対応も省くなど、購入しやすい価格帯を狙っている。ハードウェアの仕様は今年発売されたN-03Bに近く、そこから防水機能などを省いた印象だ。NEC製端末ではあるが、N-04BやN-05Bのようなオペレータパック採用モデルではないため、NEC独自の日本語入力「MogicEngine V」などが搭載されている。

P-05B(パナソニック)

 バッグやアクセサリー、シューズなどのデザインで知られるアメリカのファッションデザイナー「kate spade(ケイト・スペード)」とのコラボレーションモデル。ワンプッシュオープン搭載の折りたたみボディを採用する。ディスプレイはフルワイドQVGAだが、約750時間の連続待受時間、810万画素カメラ、撮った写真を分類する「ピクチャ分類」など、実用性を考慮し、機能とスペックをバランス良くまとめたモデルと言えそうだ。

P-06B(パナソニック)

 パナソニック製端末としては珍しい二軸回転式ボディを採用した防水対応モデル。SH-03Aなどと同じように、ディスプレイ部全体が少し奧に倒れるタイプのヒンジを採用する。ディスプレイを反転したときにはタッチパネルでの操作が可能で、付属のタッチペンを使い、写真に落書きをしたり、手書きの日記が付けられる「手書きダイアリー」などを楽しめる。カメラは国内最高峰となる1320万画素カメラを搭載。手書きの楽しさとハイスペックなカメラを重視したい女性ユーザー向けのモデルと言えそうだ。

P-07B(パナソニック)

 N-06Bなどと並び、5色のカラーラインアップを揃えた普及モデル。フルワイドQVGAのディスプレイ、510万画素カメラを搭載するが、Bluetoothやおサイフケータイ、GPSなどを省き、国際ローミングも3Gのみにするなど、シンプルな構成にすることで、低価格を実現しようとしている。その一方で、ワンセグでモバイルWスピードに対応したり、カメラも「顔オートフォーカス」や「グループシャッター」、「ラブシャッター」に対応するなど、ハードウェアを制御するソフトウェアは上位モデルと変わらないものを採用する。

SH-08B(シャープ)

 イタリアのブランド「EMILIO PUCCI(エミリオ・プッチ)」とのコラボレーションモデル。NTTドコモ向けのシャープ製端末では初となるIPX5/IPX7/IP5X対応の防水・防塵仕様を実現。Moonlight Silverのみ、3万台の限定モデルになる。スペック的には昨年登場したSH-05AやSH-04Bを継承しているが、「ショットメモ」や「ラクラク瞬漢/瞬英ルーペ」などのSHシリーズ最新のアプリケーションも搭載されている。高級感を重視する大人のユーザーにおすすめできそうなモデルだ。

SH-02B marimekko(シャープ)

 フィンランドのアパレルブランド「marimekko」とのコラボレーションモデル。同ブランドの代表的なグラフィックのひとつである「UNIKKO」と呼ばれるケシの花の柄をトップパネルにあしらっており、パッケージも含め、トータルでコーディネートされている。端末はすでに発売されている「SH-02B」とまったく同じものだが、トップパネルのイルミネーションは搭載されていない。SH-02Bは元々、女性の手にも持ちやすいボディとサイズ感で人気だったが、その強みを活かせるブランドとのコラボレーションと言えそうだ。

【PRIMEシリーズ】

F-06B(富士通)

 スライド式ながら、ディスプレイをヨコにできるスライドヨコモーションの最新モデル。昨年6月に発売されたF-09Aの後継モデルに位置付けられるが、ボディがグッと薄くなり、カメラも1320万画素のCMOSイメージセンサーを採用する。スライド式ボディでは非常に難しいとされてきたIPX5/IPX7/IPX8相当の防水性能を実現しており、IEEE802.11b/g準拠のWi-Fiにも対応する。お風呂でWi-Fi経由でブラウザを使うことも可能。Wi-Fiはアクセスポイントモードにも対応しているが、今回の発表でパケ・ホーダイ ダブルの制限なども変更されたため、ゲーム機だけでなく、他のモバイル機器などとも組み合わせて、利用しやすくなっている。今回発表された端末の中では、もっともハイスペックなモデルと言えそうだ。

N-04B(NEC)

 HD動画の撮影とDLNAにも対応したハイスペックモデルだ。これまでNEC製端末では、スリム系とハイスペック系の2つのラインを展開してきたが、今回はそれを統合したようで、従来のN-02Bをベースにしたハイスペックを追求しながら、端末を開いたときの側面のアークラインの美しいデザインを実現している。HD動画のスペックは他機種に譲る部分もあるが、DLNA対応により、端末で撮った動画や静止画をWi-Fi経由でパソコンやDLNA対応テレビなどから参照できる。形式は限られるが、LAN経由でパソコンに保存された動画をストリーミング再生することも可能。N-02Bで好評を得たクイックショットも磨きが掛けられ、0.6秒の世界最速起動を可能にしている。Wi-Fiについても従来モデルで指摘されていた設定の難しさを大幅に見直し、簡単設定もWPS、らくらく無線スタート、AOSSに対応する。Wi-FiやLANなど、PCとの連携を重視したいユーザーにおすすめのモデルだ。

P-04B(パナソニック)

 P-01Bなどで採用されてきたWオープンスタイルを継承し、業界最高峰となる1320万画素CMOSカメラを搭載したモデル。PRIMEシリーズの中では珍しい5色のカラーバリエーションを展開し、デザインもかなりスッキリとまとめられている印象。他機種が操作環境の統一などに取り組んでいる中、P-04Bのみが従来の環境をそのまま継承するなど、若干、方向性の違いを感じさせる。HD動画やWi-Fiなどの派手な機能はないが、堅実に進化を遂げた一台と言えそうだ。

SH-07B(シャープ)

 1920×1080ドットのフルハイビジョンムービーの撮影を可能にした防水・防塵対応モデル。カメラは1210万画素のCCDセンサーを採用し、個人検出やチェイスフォーカスなどの機能も備える。本体側面にミニHDMI端子を備えており、撮影した動画や静止画をそのまま、テレビに映し出すことが可能。ややお遊びの要素になってしまうが、トップパネルに装着されているLEDを光らせ、端末を左右に振ることで、文字メッセージを浮かび上がらせるイルミネーションメッセージも利用できる。今回からNTTドコモのオペレータパックを採用し、操作環境の統一が図られたため、これまでシャープ製端末で採用されてきた中央の決定ボタン押下でのメニュー画面表示がMENUボタンでのメニュー画面表示に切り替えられている。文字入力も「ケータイShoin」から「iWnn」に切り替えられており、既存のSHシリーズのユーザーは少し戸惑うことになるかもしれない。

【SMARTシリーズ】

N-07B(NEC)

 N-04A以来、1年ぶりにamadanaとのコラボレーションを実現したモデル。N-04A、N-07Aで採用されてきたアークスライドのボディを継承しながら、ひと回り大きい3.3インチのフルワイドVGA液晶を搭載し、約760時間の連続待受を可能にしている。カメラは510万画素CMOSイメージセンサーだが、N-02Bで好評を得たクイックショットが受け継がれており、約0.8秒で起動し、約1.5秒の間隔で連続撮影ができる。今回発表された製品の中では、数少ないスタンダードなスライド端末となる。amadanaブランドのファンだけでなく、スライド端末好きのユーザーも要チェックのモデルだ。

SH-09B(シャープ)

 シャープ製端末としては、初のSMARTシリーズのモデル。薄さ11.4mmのスリムボディを実現している。ステンレス素材のパーツを多用したボディは、SMARTシリーズらしいソリッドなデザインにまとめられているが、内蔵のソフトウェアはSHシリーズでおなじみの「名刺リーダー」や「辞書」などが搭載されている。こうしたスリム系の端末はなかなかデザイン的な特徴を出しにくい面があり、外見だけではシャープ製端末である印象はあまり得られない。

【PROシリーズ】

N-08B(NEC)

 かつてNECが販売していた「Mobile Gear」やNTTドコモが販売した「シグマリオン」などを彷彿とさせるボディのフルキーボードモデルだ。昨年のSH-04Aに代表されるように、通常のiモード端末でありながら、フルキーボードを搭載したモデルが少しずつ支持されつつあるが、その流れを受け、パソコンの操作感をケータイのプラットフォームで実現している。12.7mmのキーピッチ、1.2mmのキーストロークとキーボードも本格的で、実際のタイピングも意外にしやすい。NEC製パソコンで採用されているリモートアクセス機能「Lui」も搭載されており、自宅のパソコンにリモートアクセスして、パソコン上で動作するOfficeなどのアプリケーションやメールソフトもそのまま使うことができる。通話はスピーカーホンか、有線、もしくはBluetoothによるイヤホンマイクを利用する。かなり尖った印象の端末だが、テキストエディタも搭載されており、新しいジャンルのモバイルツールを試したいユーザーにぜひとも体験して欲しいモデルだ。

【スマートフォンシリーズ】

LYNX SH-10B(シャープ)

 Android OS 1.6を搭載したノートPCタイプのスマートフォン。その外見からもわかるように、auが3月に発表したIS01とほぼ同じコンセプトで開発されている。ワンセグや赤外線通信など、国内のケータイで必要とされる機能を搭載しているが特徴。mixiウィジェットやtwitterウィジェット、ブログ投稿ウィジェットなど、多彩なウィジェットがプリインストールされており、今までスマートフォンやAndroidになじみがなかったユーザーでも始めやすくなっている。キーボードやトラックボール、タッチパネルなどの仕様も同じで、キーボードでの入力もこのサイズの端末としては十分なレベルに達している。YouTubeなども大画面で楽しめるため、2台目の端末として持つユーザーにもおすすめできる。

dynapocket T-01B(東芝)

 昨年、NTTドコモ向けに供給したT-01Aに続く、dynapocket第2弾となるモデル。Windows Mobile 6.5.3 Professionalを採用する。LYNX SH-10B同様、au向けに供給されることが発表されたIS02とほぼ同じ仕様(通信方式は異なる)。1GHzで動作する米Qualcomm製SnapDragonの採用に加え、静電容量式タッチパッドを採用したことで、従来のWindows Mobile端末に比べ、操作感はかなり良くなった印象だ。

BlackBerry Bold 9700(Research In Motion)

 昨年発売されたBlackBerry Boldの後継モデル。すでに海外では販売されているが、ボディがひと回りコンパクトになり、シャツや上着のポケットに入れてもかさばらないサイズにまとえられた。キーは若干、幅が狭くなったが、BlackBerryシリーズのキーの快適さは失われていない。ポインティングデバイスがトラックボールからタッチパッドに変更され、若干、操作感が変わった感もあるが、トラックボールはホコリや汚れなどで操作感が失われるケースもあるため、タッチパッドへの進化は正解と言えそうだ。BlackBerry OSも4.6から5.0になり、表示フォントでゴシック体が選べるようになった。ディスプレイの解像度も少し大きくなったため、GUIの印象も少し視認性が良くなった印象だ。

一人ひとりの「自分らしい」一台を

 今回の発表会が行なわれる前の数週間、国内ではアップルのiPad販売を巡る各社の動きがいろいろと報じられてきた。質疑応答でもiPadのSIMロックやソフトバンクの販売について、質問が出たが、山田社長は「SIMフリーということで、ミニSIMは準備してきたが、そういう販売に落ち着いたようで残念。ドコモのネットワークをお使いになりたい方は、今回発表した端末のWi-Fi(アクセスポイントモード)でお使いいただきたい」と答えていた。

 iPadについては、実際にどのような動きがあって、現在のような状況になったのかはまだわからない部分ばかりだが、残念ながら、NTTドコモとしての目論見が外れたようで、本来なら、かなり悔しい思いをしていると推察される。そんな状況においても今回の発表会は意外なほど、クールに行なわれ、その内容も急速に伸びつつあるスマートフォンの市場にしっかりとキャッチアップしつつ、通常のケータイもユーザーの細かいニーズに応えるべく、さまざまなブランドとコラボレーションをすることにより、テクノロジーとはまた違った付加価値を与えたラインアップを揃えた格好だ。今回の記事ではそれぞれの機種の内容はまだ十分にお伝えできていないだろうが、今後、本誌に掲載される開発者インタビューやレビュー記事などをじっくりと参照して、一人ひとりの「自分らしい」一台をぜひ見つけていただきたい。

 



(法林岳之)

2010/5/20 12:47