みんなのケータイ

 iPhoneに限ったことではないんだけど、ここのところ、妙にストレスに感じているのがスマートフォンのシャッター音。改めて説明するまでもないけど、一部の例外を除き、国内で販売されているスマートフォンは、基本的にカメラで撮影したときにシャッター音が鳴る。これは2000年に当時のJ-フォン(現在のソフトバンク)がシャープと共に開発した初のカメラ付きケータイ「J-SH04」を世に送り出したとき、「ケータイを使っているように見えるのに、カメラで撮影できるようになると、盗撮などに悪用される恐れがある」という配慮から、シャッター音が必ず鳴るように設計されたことに始まる。

 その後、この仕様は業界全体が自主規制という形で倣うようになり、現在でも基本的にはそれが受け継がれていて、ほとんどの機種では画面キャプチャ(スクリーンショット)を撮るときにもシャッター音が鳴る。もちろん、iPhoneも同じで、海外で販売されているモデルはシャッター音が鳴らないが、国内で販売されているモデルはシャッター音が必ず鳴る。

外出先で美味しいご飯を食べるときはどうしても写真が撮りたくなる!

 J-SH04が発売された当時の状況を考えると、盗撮のリスクに対する配慮が必要だったことは十分に理解できるけど、今やスマートフォンやケータイにカメラが付いているのは当たり前だし、極端な話を言ってしまえば、良からぬことのためにシャッター音を消したい人は、アプリなどで意地でも消しちゃうはず。こう考えると、もはやスマートフォンやケータイで強制的にシャッター音を鳴らさなくてもいいんじゃないかという気がする。逆に、シャッター音がスマートフォンのカメラや画面キャプチャを使うためのストレスに感じられてしまうくらい。

 たとえば、レストランなどで料理が出てくると、みんなで「カシャ、カシャ」とシャッター音を鳴らしながら撮影している。わいわい楽しい席ではそれでもいいけど、海外などではシャッター音が聞こえて振り返ると、日本人だった……なんていうことも多い。コンサートホールや神社仏閣、教会など、静かなところで撮影して、シャッター音が「カシャ!」と鳴り響き、撮ってる本人も思わず慌てるなんていうシーンも何度となく見かける。ボク自身は仕事柄、画面キャプチャをよく撮るけど、以前、電車に乗っていて、何気なく画面キャプチャを撮ったら、シャッター音が鳴り、カメラで撮影したと思われて、周囲に白い目で見られるなんてこともあった。

 じゃあ、シャッター音が鳴らない端末を手に入れようということで、先日、Build 2016の取材で米国に出かけたので、Apple Storeに立ち寄り、米国で販売されているSIMフリー版iPhoneを購入してみた。もちろん、言うまでもなく、米国で販売されているiPhoneは、シャッター音が鳴らない。購入したモデルは、SIMフリー版のiPhone 6s Plusの128GBのローズゴールド。価格は1032.04米ドル(税込)で、クレジットカードの為替レートの「1ドル=112.217円」で計算されていたので、最終的な価格は「11万5812円」となった。日本でアップルが販売しているSIMフリー版は購入当時「13万2624円」(税込)なので、2万円ほど安く買えた計算。4月22日に値下げされた「12万2904円」(税込)との比較でも7000円安。

ということで、米国サンフランシスコのAppleStoreで買ってしまいました
米国のSIMフリー版iPhone SEは技適マークがないので、国内では利用できません。Sprint版は日本で販売されているものと同じなので、技適マークが入っているそうです

 ただ、海外で販売されている端末の場合、対応する周波数帯域や技適マークの有無などに注意する必要がある。iPhone 6s Plusの場合、日本で販売されているのは「A1687」というモデルであるのに対し、米国のSIMフリー版iPhone 6s Plusは「A1634」というモデルなので、厳密に言えば、別物。ただ、実際には米AT&Tなどが使うLTEのBand 30に対応しているかどうかが相違点なので、周波数帯域としては米国で購入したiPhone 6s Plusを日本で利用しても基本的には同じように使える。次に、いわゆる技適マークについては、ちゃんと表示されるので、こちらも問題なし。余談になるけど、先日、発売されたiPhone SEのSIMフリー版は日本と米国で販売されているモデルが違い、米国で販売されているモデルには技適マークがない上、通信方式もTD-LTE(auのWiMAX 2+やWCPのAXGP)に非対応なので、注意が必要だ。

無事に移し替え完了。左が米国モデル、右が国内モデル。せっかくなので、米国モデルには新色の純正カバーも装着してみました
実は、背面の表示が少し違う。右の国内モデルには欧州の「CEマーク」などがプリントされているが、左の米国モデルはなく、CEマークは画面内で表示される
米国モデルのSIMフリー版iPhone 6s Plusにはちゃんと日本の技適マークが表示されるんだけど、他の国と地域の認証マークがかなり少ないような……

 帰国後、これまで使ってきた国内のSIMフリー版iPhone 6s Plusのバックアップを復元したところ、何の問題もなく、同じ環境がほぼ再現された。基本的には外見も同じだし、内容的にもまったく同じなので、何も変わった気がしないけど、カメラで撮影すると、当然、シャッター音は鳴らない。シャッター音が鳴らなくなったことで、ホッとするもんだと思ってたけど、感覚がシャッター音が鳴る環境に慣れきっているので、逆に「あれ? 鳴らない? あ、そうか。鳴らないんだった(笑)」と思い直してしまうくらい。まあ、これから使っていく中で、徐々に慣れていくんでしょうね。

 というわけで、とりあえず、iPhoneについてはシャッター音のストレスから解放されたけど、最近、少しずつ周囲でもシャッター音に対する疑問の声が聞かれるようになってきたので、そろそろ業界自主規制を見直していただけませんかね。デジタルカメラと同じように、シャッター音を選べるようにして、マナーモード連動にしたり、設定変更でOFFを選べるようにするだけでいいんですけど……。いかがなもんでしょうか?>携帯電話各社及びメーカー各社のみなさま

国内のSIMフリー版iPhone 6s Plusのローズゴールドはモデル名が「MKUG2J/A」
米国のSIMフリー版iPhone 6s Plusのローズゴールドはモデル名が「MKWJ2LL/A」