みんなのケータイ

 日本では2014年12月に発売された「Nexus 6」を最近になって入手した。SIMロックフリー端末の中でもかなりハイスペックな部類のこのモデル、端末自体の機能はもとより、「SIMロックフリー端末」という視点から、MVNOでの利用を中心に、感じたことを書き連ねていきたい。

「Nexus 6」

MVNO系で使いたい

 とはいえ、初回はなぜ「Nexus 6」を選んだか。踏み込んで言えば、なぜ今アリだと思ったか、について少々。発売当初(2014年12月)は画面サイズの大きさや価格などで様子見してしまったが、2015年6月の今現在でも、画面や解像度(有機EL、WQHD)、CPUパフォーマンス、キャリアアグリゲーション対応などスペック面ではかなりハイスペックな端末であることは間違いない。スマートフォンのハードウェアの進化の速度が、やや落ち着いてきていることもあるかもしれない。2015年5月末に開催された「Google I/O 2015」で後継モデルがアナウンスされず、OSの新しいバージョンが順当に紹介されたことなどから、購入を決めた。AndroidというOSの面では当面の間、最新版を利用できるだろう。ともあれ、次々に出てくるMVNO系の新サービスを使ってみる、しっかりとした端末が欲しかったというのが一点だ。

電子書籍で使いたい

 もうひとつ入手に踏み切った点は、大き過ぎるとも言われるこの画面サイズを、自分の中でアリだ、むしろ使ってみたい、と思えるに至る変化が、徐々に起こったことが大きい。簡単に言うと、電子書籍のコンテンツを利用するためだ。少し前ならピカピカのスマホの画面で電子書籍かぁ……とためらっていたのだが。

 筆者はKindle Paperwhiteを愛用しており、これまでも新モデルが出ると買い替え、3台目だったKindle Voyage(3G版)では、数年をかけてKindle版で読んできた、とあるSF小説の長編シリーズ130巻をすべて読破した。これをもってKindleのヘビーユーザーと言っていいのか分からないが、カジュアルユーザーでないことは確かだろう。最近では、寝る前のベッドの中、通勤・帰宅途中の電車の中などで、常にKindle Voyageで読書をしていた。

 Kindleの恐ろしいところは、専用端末でなくても、スマートフォン向けアプリ、デスクトップPC向けアプリが提供されており、身の回りにある端末で「続きを読み始められる」という点だ。件のシリーズが最終巻(未完だが)に近づくにつれ、専用端末が手元に無い隙間時間でもスマートフォンのアプリでどんどん読み進めていたため、スマートフォンで電子書籍を読むという体験にも徐々に慣らされていった。つまり、スマートフォンで電子書籍をしっかりと楽しめるというのは、筆者の中ではかなり重要な位置を占めるようになっていたのだ。

 しかし、画面サイズの面からは、一般的なスマートフォンの5.2インチぐらいでも文庫版よりは物理的なサイズが小さく、視覚の体験として、せせこましい感覚は拭えない。コミックならなおさらだ。

 ところが、「Nexus 6」の6インチならサイズはほぼ文庫版と同じ。電子書籍に限ったことではないが、コンテンツを存分に楽しめ、なおかつスマートフォンとして運用できるギリギリのサイズという意味で、6インチが魅力的に思えてきたのだ。アプリなら専用端末のようなモノクロではなくカラー対応なので(当たり前だが)、コミックの表紙やラノベのピンナップも色鮮やかに楽しめる。Kindleの専用端末もいいが、「Nexus 6」だったらKindleアプリの出番をもう少し増やしていいかもしれない、と思い始めたのも「Nexus 6」を選ぶ大きな理由になった。

 余談だが、「Nexus 6」が届く前日の夜、自宅最寄り駅近くの横浜家系ラーメンの店で、太麺の長いゆで時間にKindle Voyageで小説を読んでいたのだが、これを最後に、Kindle Voyageを紛失してしまった(笑)。鞄の中や部屋では見つからず、翌朝には周辺を捜しながら店を訪れたが、忘れ物の届出は特になし。Amazonのカスタマーセンターに連絡してKindle Voyageの利用停止の手続きをした。半ば強制的に筆者のKindle端末は「Nexus 6」になってしまったのである……。