みんなのケータイ
Apple WatchはSiriで何倍も便利になる
白根雅彦
(2015/6/24 06:00)
ウェアラブルデバイス、とくに腕時計型のものは、基本的には通知やアクティビティトラッキングといった、受動的な用途がメインになる。何かを調べたい、誰かに連絡したい、暇をつぶしたいなどの能動的な用途は、ポケットやカバンからスマホを取り出す方が手っ取り早い。
Apple Watchもおおむねその通りだ。使い勝手はウェアラブルデバイスとしてはかなり良い方だと思うが、それでも小さな画面での操作には限界があるし、Apple WatchにWebページや細かいUIが表示されても困るだけだ。
しかし音声コマンド機能「Siri」を使うと、能動的な用途がもうちょっとだけ使いやすくなる。
たとえばタイマーは画面を点灯させ、「Hey Siri、5分のタイマーをセット」と命令すれば、そのままカウントダウンが開始される。画面を手前に向けて点灯させた直後に、「Hey Siri」から発声すればいいので、タッチ操作する必要もない。手が濡れていたりヌルヌルしていたりしてもOKなので、料理中に結構重宝している。
このほかにも仮眠を取りたいときは「Hey Siri、2時に起こして」でアラームが設定され、あとで「Hey Siri、アラームをすべて削除」でアラーム設定を削除できる。
ただ単に使いやすくなっただけだが、普通の腕時計のタイマーやアラームはよほどのことがない限り使わなかったものが、Apple WatchのSiriではかなり気軽に使うようになった。個人的にはこの差はかなり大きい。
スケジュール登録もSiriでできる。場所などを細かく設定するのは難しいが、仮入力には十分。歯医者や美容院で予約を取ったとき、その場で予定を仮入力しておいて、必要に応じてあとで修正するといった使い方がなかなか便利だ(ただし他人がいるときはやや恥ずかしい)。
あとは天気予報なんかも「Hey Siri、今日の天気は?」で確認できるので、家を出るときに靴を履きながら使ったりするのが便利だったりする。
ただ、できればもうちょっといろいろなことができて欲しいな、とは思う。たとえば株価検索に対応するので、「1ドルは何円」と聞くと、最新の円ドル相場を教えてくれる。しかし「78ドルは何円」や「1ユーロは何円」など、より細かい単位換算には応えてくれない。
調べ物については、Apple Watchの画面で答えが完結するような質問には、もっと対応して欲しいところだ。単位換算くらいは応えて欲しいし、最終的にはより賢い調べ物や作業にも対応して欲しい。少なくとも英語版Siriで対応している「Wolfram Alpha」は使えるようになって欲しいし、できれば先ごろソフトバンクが提携したIBMの「Watson」のような高度化した対話システムも取り込んでいって欲しい。
スマホやウェアラブルの目指す要素のひとつは、「執事」や「秘書」だ。いつでも命令すれば簡単な作業や調べ物を代行してくれる。究極形は、「Hey Siri、ビックカメラの営業時間を教えて」で調べ物したり、メールが届いたら要約してくれて、「Hey Siri、丁重にお断わりして」で自動返信したりできる世界だ。
Apple WatchとSiriはそこまでは進化していないが、それでもかなり実用的で、タイマー設定やスケジュール管理、天気予報検索くらいのことはやってくれる。Siri自体はiPhoneだけでも利用できるが、Apple Watchならば「常に執事や秘書が寄り添っている」環境を部分的に実現できるので、Apple Watchを持っている人はぜひともSiriを積極的に利用して欲しい。