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ハイレゾに対応したARROWS NX F-02G

 ドコモの2014-2015冬春モデルでは“ハイレゾ”が目玉の1つということで、ARROWS NX F-02Gもついにハイレゾ対応を果たした。CD音源よりはるかに大容量のデータで“いい音”を実現する環境がスマートフォンにも広がり、ハードルが高く感じがちなハイレゾを誰でも手軽に体験しやすくなったと思う。

 F-02Gのハイレゾの細かい対応状況はというと、標準のメディアプレーヤーで192kHz/24bitまでのWAV/FLACフォーマットを再生でき、イヤホン端子から出力できる、というもの。今のところハイレゾ配信サイトで中心となっているWAV/FLACをしっかりカバーしつつ、イヤホンを接続すればすぐにその高音質を楽しめるわけだ。

標準のメディアプレーヤーで192kHz/24bitまでのWAV/FLAC形式に対応
イヤホン端子に好みのヘッドホン、イヤホンをつなげてハイレゾを体感できる

 とはいえ、オーディオファンにとってはちょっと物足りないのも事実。USB端子に接続したUSB DAC(ポータブルヘッドフォンアンプ)経由でのハイレゾ再生やDSDフォーマットの再生には、公式に対応していないのが残念なところだ。

 だからといって諦めるのはまだ早い。「USB Audio Player PRO」というアプリをインストールすることで、F-02Gでもハイレゾ音源をUSB出力することが可能だ。メーカー公式のアプリではないにしろ、このUSB Audio Player PROは、元となった「USB Audio Recorder PRO」の頃からUSB DACに対応してきた実績あるアプリで、多くのUSB DACとスマートフォンに対応している。

USB DACの電源を入れて「USB Audio Player PRO」を起動すると、自動で認識してくれる
WAV/FLACはもちろんのこと、DSDにも対応する

 これに手持ちのiFI nano iDSDというUSB DACを組み合わせ、OTGケーブルと呼ばれるUSB変換アダプターを使ってF-02Gと接続してみると、問題なく認識してUSB DAC経由で聞くことができた。出力中の音声フォーマットの種類を知らせるUSB DAC側のランプ表示を見ても、正しくハイレゾで鳴らしていることが分かる。WAV/FLACだけでなく、DXDとDSD64/DSD128(2.8/5.6MHz)も当たり前のように再生できた。DSD256(11.2MHz)のファイルは正常に再生できなかったけれど、これはUSB Audio Player PRO自体が対応していないようだ。

iFI nano iDSDと接続
ランプ表示を見ると正しくDSDが出力されている

 では、たとえば同じハイレゾ音源をF-02Gのイヤホン端子から聞くのと、USB DAC経由で聞くのとではどう違うのか。192kHz/24bitのサウンドトラック「NEON GENESIS EVANGELION 【2013 HR Remaster Ver.】」を何度も聞き比べてみたのだけれど、明確な差はほとんどなかった。強いて言えば、USB DACで聞いた時は全体的にこぎれいにまとまっている感じがあり、おとなしめながらも細部まですっきりした解像感。一方、イヤホン端子で聞くと、若干メリハリが加わったダイナミックな雰囲気で聞かせてくれる感じ。

 ここまで来ると好みに左右されるところも大きいだろうから、どっちが“いい音”か、というのは一概には言えない。いずれにしろF-02Gは、わざわざUSB出力しなくてもイヤホン端子で十分に高品質な音を奏でられる実力をもった機種、と言えるだろう。

 好みやシチュエーションに合わせて身軽に、それでいて高音質でハイレゾを堪能できる“イヤホンスタイル”と、DSDなどでじっくり音楽鑑賞する“USB出力スタイル”の2パターンを選べる楽しさがある。F-02Gはそんな面白い機種なのだ。