みんなのケータイ

 TwitterやFacebook、LINEはもとより、VineやPocketなどモバイルアプリやサービスはさまざまなものが登場している。シンプルな名前に単純明快なサービス内容、誰にでも分かりやすくフラットなデザインなど、話題や人気のサービスはレベルが高く、もっと自分の生活が便利に、豊かになるのではという期待を抱かせてくれる。

 そうしたモバイルサービス百花繚乱の世でひときわ異彩を放っているのが「IFTTT」ではないだろうか。新しい通信方式か新技術の規格のような名前だが、実は「If This Then That」の略。どういうサービスかというと、数多くのSNSやニュース、メールなどを組み合わせて自分だけのアクションを作れるというものだ。

 筆者が独自に訳すなら、「もしコレになったら、そん時はアレしよう」……つまり、トリガーとアクションの2つの行動を決めて、時にはリマインダーのようにアクションを起こせる。IFTTTでは1つのアクションのセットを「レシピ」と呼ぶ。自分でレシピを作ってもいいし、「こんな時に便利だよ」とばかり、多くのユーザーによりレシピが公開されている。作ったり考えたりするのが面倒なら、これらから探すだけでもいい。

 筆者が試しに作ってみたレシピは、自動引き落としではない家賃の支払い(銀行振込)を忘れないようにするため、毎月26日になったら自分宛てにメールを送りつけるというものだ。断っておくが、こんな内容のリマインダーなら別にIFTTTでなくてもできるのだが、どんな操作で設定して、どういう動作をするのだろうと思って作ってみた。

 前述のようにIFTTTでは「トリガー」と「アクション」をユーザーが定義する。ここでは「トリガー」に日時として「毎月26日23時」を指定した。「アクション」はメールの送信にして、宛先を自分に。もちろん件名や本文、添付のURLも指定でき、件名は「家賃を支払いましょう」としてみた。あとは26日を待つのみ(?)で、さっそく忘れていて、「家賃を支払ましょう」という件名のメールを見て「うわっ、支払い!? なにかの督促?」とびっくりしてしまった……のは余談だが、ちゃんとメールは毎月届いている(件名は自分で誤解しないように修正した)。

 上記の使い方は、IFTTTの魅力の1割ぐらいでしかない。IFTTTでは、トリガーやアクションそれぞれに、IFTTTが対応しているサービスやアプリを「チャンネル」として指定できる。現在、チャンネルは109件が登録されており、日本でも比較的馴染みが深そうなところから一例を挙げると、Dropbox、eBay、Evernote、Facebook、Twitter、Feedly、Fitbit、Flickr、GitHub、Instagram、Pocket、SoundCloud、Tumblr、UP(Jawbone)、Vimeo、YouTubeなどなど。これにスマートフォンのメールやSMSといった基本機能、iOSの電話帳や写真、ニューヨーク・タイムスやESPNなどのニュースも加わる。

IFTTTが対応しているアプリやサービスの一例

 公開されているレシピを見れば、その可能性の一端を垣間見られる。例えば、「FitBit」のデイリーのサマリーができると、それを「Google ドライブ」にもアップロードするといったレシピや、「スクリーンショットを撮影」したら「Dropbox」にアップロードするレシピ、「天気予報で紫外線が強いと出た」ら、OSの「アラートを表示させる」レシピ、「マドンナ(女優)がインスタグラムに投稿した写真」を1週間分まとめて自分に「メールで送信」してくれるレシピなどなど。そう、IFTTTに対応しているアプリやサービスであれば、組み合わせや可能性は無限大なのだ。公開されているレシピを見ているだけでも、そんな使い方があったのか、と気付かされて興味深い。

公開・共有されているレシピ
レシピの中身。自分なりにアレンジして使うこともできる

 英語のみなので、ややとっつきにくい印象はあるが、内容はシンプル。以前はWebサイトのみから利用できたが、最近になってIFTTTのモバイルアプリも登場している。なにかもっと、とんでもなく便利な組み合わせがあるのではないか? とついつい深く考えてしまう。その膨大な組み合わせの中からレシピを考えるだけでも、お腹が空いてしまうほどだ。