みんなのケータイ

 筆者が海外旅行先に到着して、まずやることと言えば、現地のSIMカード調達だ。しかし、この間、台湾で泊まったホテルが世界中にあれば、そんな面倒なことから、おさらばできるかも知れない。

 5月の大型連休中、台湾に遊びに行った。その時にパック旅行に組み込まれていて宿泊したのが、Les Suite Taipeiというホテルだった。最寄りの駅から歩いて1分のところにあるにも関わらず、比較的静かで快適。建物や部屋も整備が行き届き、清潔感もあってとても快適なホテルだった。

 そのホテルでは、チェックイン時に「Xperia Z」を貸し出してくれる。なんと、そのXperia Zが、ホテルのキーとして利用できるのだ。非接触ICにより、Xperia Zをドアにタッチすればカギが開く。

 Xperia Zには現地キャリアのSIMカードが入っており、ホテル滞在期間中、データ通信、音声通話が使い放題だった。台湾国内の通話はすべて無料、国際電話も日本を含む10カ国が低料金で通話できるようになっていた。もちろん、外出先でグーグルマップやWebで観光地やレストランを検索するということも可能だ。貸し出し時、本体設定を日本語にしてくれるで、操作も一切迷わない。

 さすがに借りているスマホにメールやFacebookのアカウント設定をして使うのは怖くてやっていないが、テザリング機能も使えるので、日本から持ち込んだスマホを接続して使うということが可能だ。

 さらに、台湾では「悠遊カード」という非接触ICカード型電子マネーが整備されており、電車やコンビニ、バス、駐車場で利用できるのだが、このXperia Zでも、あらかじめ300台湾ドル(約1000円)がチャージされており、自由に使えるようになっていたのだ(チェックアウト時に精算するシステム)。

 「悠遊カードはNFCに対応して、アプリでチャージができるのか」と一瞬、驚いたのだが、本体カバーをはがしてみたら、単に悠遊カードがXperia Zの本体に貼り付けてあるだけだった。しかし、街中のどこででも手軽にチャージできることを考えると、別にアプリにする必要はないのかも知れない。ちなみに、このホテルでは、通常のカードタイプのルームキーも悠遊カードに対応しており、部屋の施錠だけでなく、外出先では電子マネーとして利用できる。

 ちなみに料金は宿泊代に含まれており、特に追加料金が必要というわけではなかった。ただし、本体を故障、紛失した場合は1万台湾ドル(約3万3640円)を請求されるので注意が必要だ。

 国内・海外を問わず、いろんなホテルに泊まってきたが、ここまで外出時に便利だと感じるホテルもなかったような気がする。海外渡航時こそスマホで調べ物が増えるものなのだが、こうしたサービスがあれば、現地でSIMカードを買う必要もなく、誰もが手軽に旅を楽しめる。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは外国人観光客がたくさん訪れることが予想されるだけに、日本国内のホテルや旅館にもこのようなサービスを提供してもらいものだ。