みんなのケータイ

 F1ファンにとって、鈴鹿は特別な場所だ。今年は日本人ドライバーや自動車メーカーが参戦していないこともあり、寂しい日本GPになるかと思いきや、鈴鹿の盛り上がりは例年通りだった。特に今年は25回目の記念大会ということもあり、昔の思い出に浸っているファンも多かったようだ。自分も今回はマルシャF1のピットも取材でき、実り多い鈴鹿だった。

マルシャF1のピット取材

 今年のF1で、ちょっと違ったのはiPhoneやiPadでフリー走行、予選、決勝の映像が見られる「Formula 1 on Zume」が始まっていたという点だ。通常、F1を外出先で見ようと思ったら、BSやCSでしかテレビ中継されていないため、さまざまな機器を駆使して、自宅で受信した放送波をネット経由で自分の端末で受けるといったことが必要だった。

 しかし、Formula 1 on Zumeが始まったことで、アプリで簡単にいつでもどこでも見られるようになった。20年来のF1ファンとしては、これほど便利なアプリはないだろう。

 しかも、今年はソフトバンクモバイルがかなりやる気で、鈴鹿サーキット内のグランドスタンド前のフェンスに23本のWi-Fiアンテナを設置。5GHz帯を利用した無線LANサービスを提供していた。モニター向けの無線LANサービスに加え、ソフトバンクWi-Fiスポットである0001softbankと0002softbankも利用可能だった(ソフトバンクWi-Fiスポットは今後も使える見込み)。

 ただ、目の前を走るF1を見ながら、アプリで中継をチェックするという使い方だけでは、このアプリを使いこなしているとは言いがたい。実際、エンコーディングの関係もあり、リアルタイムの状況と比べても、30秒以上、遅延が発生していた。また、金曜、土曜は問題なかったが、決勝日はトラフィックの負荷が大きかったようで、正常にログインできない状態が発生していたからだ。

 このアプリが特に便利だと感じたのが、レース前とレース後だ。

 フリー走行が行われる金曜日、朝9時に名古屋をバスで出発したのだが、道路が渋滞し、フリー走行開始に間に合わなかった。しかし、アプリを起動したことで、バスの中でもフリー走行の様子を確認できた。サーキットに到着し、駐車場から歩いてスタンドに向かっている最中でもアプリがあれば様子がわかる。席に着くやいなや、これまでの状況がわかっているのはとても便利だ。

 また、土曜の夜はサーキット内にあるキャンプ場で七輪でサンマを焼きつつ、iPadでアプリを起動し、仲間と一緒に予選を振り返るのに大活躍だった。

 さらに、日曜日の決勝後は、名古屋から東京へ新幹線で向かっている最中に、決勝レースを振り返ることができた(ちなみに名古屋駅のホームで新幹線を待ち、新幹線に乗り、東京に着いた時間と決勝レースを観るのにかかった時間がほぼ一緒)。

 サーキットで目の前での観戦には改良の余地があるが、離れた場所でF1を楽しむという点では使い勝手のいいアプリといえそうだ。