【ARROWS X F-10D】

Tegra 3専用ゲームを大画面でプレイ!

2012年9月11日 06:00
(日沼諭史)

 「MHL」(Mobile High definition Link)という言葉をご存じだろうか。かくいう筆者も最近知ったばかりなのだが、簡単に言うと、Micro USBなどのモバイル端末が備える端子から映像・音声を出力するための規格だ。最近はこのMHLに対応したスマートフォンが増え始めていて、ARROWS X F-10Dも対応している。HDMI出力端子のないスマートフォンでも、MHLに対応してさえいれば、Micro USBからHDMIに変換するMHL対応ケーブルを使って、スマートフォンの画面内容をそのまま大画面テレビなどに映し出すことができる、というわけだ。

 写真や動画を大画面で鑑賞するというのもMHLの活用方法の一つではあるけれども、クアッドコアの能力を発揮させたいとなると、やっぱりゲームアプリがうってつけ。8月に発売されたばかりのエレコムのMHL対応ケーブルをさっそく購入したので、自宅の37インチテレビ(今やそれほど大画面ではないが……)でハイクオリティなゲームをガンガンプレイしてみようと思った。

 ちなみに、エレコムのMHLケーブルには「MPA-MHLCシリーズ」と「MPA-MHLHDシリーズ」の2種類があって、今回入手したのは「MPA-MHLHDシリーズ」の方。前者はテレビなどの接続先モニター側もMHLに対応している場合に使用でき、後者は接続先モニターがMHL非対応のときに使用する。MHL利用時はスマートフォンに常時給電する必要があるようで、MHL対応モニターは直接スマートフォンに給電できるが、MHL非対応のモニターでは別途電力を供給する必要がある。そのため、「MPA-MHLHDシリーズ」はHDMI端子側が二股に分かれていて給電できるようになっているのだ。接続するモニターがMHL対応かどうか、ケーブルを購入する前にあらかじめチェックしておきたい。

ELECOMのMHL変換ケーブル長さは余裕を見て3mのものを購入。ケーブルはわりと太く、しっかりした作り
HDMI端子側からは、給電口となるMicro USBポートが伸びている。ACアダプターから電源を取るのがよさそう一方のMicro USB端子をスマートフォンに、もう一方のMicro USBポートを電源へ接続。HDMI端子は外部モニターに接続することで使用可能になる
Tegraシリーズに最適化されたアプリのみを紹介している「NVIDIA TegraZone」

 さて、クアッドコアに適したゲームをプレイしようと思っても、Google Play Storeからいちいち探すのは面倒だ。でも、ARROWS X F-10Dが搭載するチップセット「Tegra」シリーズに最適化されたアプリをまとめて紹介している「NVIDIA TegraZone」というアプリが用意されているので安心。Tegraの性能をフルに活用した数々のアプリを詳しく解説している。ところで、Tegraに最適化されたアプリのタイトルには、「THD」(Tegra High Definition)という接尾語が付いているものが多いこともわかるだろう。これは、すでにある通常版とは別の「Tegraシリーズ向けに大幅にグラフィックなどが強化されたバージョン」という意味合いのようだ。もちろん通常版は存在せず、Tegraシリーズ搭載端末にのみ提供されているアプリもある。

 今回は数あるTHDアプリの中から、有料の「Puddle THD」を試してみた。Tegra 3専用ということで、まさにARROWS X F-10Dにぴったり。端末本体を傾けて、流れる液体をスタートからゴールまで運ぶというゲームで、迷路のようなステージ内に決まった量の水を流し、真っ赤に加熱された配管や炎の中をくぐらせながら、できるだけ蒸発させないよう一定量以上残しつつゴールしなければならない。ステージによっては水ではなく、液体肥料や化学薬品のようなものを操作することもあって、植物を成長させながら進んだり、ビーカーからこぼさないようにクリアするなど、ルールは多彩。液体の見た目や動きがリアルに再現され、緻密な背景や雰囲気のあるBGMと効果音で、眺めているだけでも楽しくなる。このリアルさと臨場感を味わうなら、やはり端末の画面ではなくテレビなどの大画面でプレイするのがおすすめだ。

 THDアプリではないが、「FINAL FANTASY III」も、大画面でプレイすると戦闘シーンが大迫力な上に、キャラの細かい表情までよくわかる。ただ、こういったスマートフォンをコントローラーにした形での大画面プレイは、「FINAL FANTASY III」のようなコマンド選択型のゲームにはあまり向かないようだ。コマンドを選ぶために頻繁に手元の画面を見て操作しなければならず、大画面でプレイする楽しみが半減してしまう。MHLで遊ぶときは「Puddle THD」のように、端末の加速度センサーなどを用いて直感的に操作するゲームの方が面白いだろう。

「Puddle THD」は、リアルに動く液体を操る物理シミュレーション系アクションゲームだ
コマンド選択型のゲームは手元を確認する必要があるので、あまり向かないかも……大画面でプレイすると音も映像も臨場感たっぷり。ケーブル接続の手間はあるけれど、段違いに面白い!

 有料ゲームとなるとちょっと敷居は高くなりがちだが、せっかく手に入れた高性能なスマートフォンの実力を知らないままでいるのはもったいない。普段使いからは垣間見ることのできない端末の“本気”を体感できるアプリで遊べるのも、ハイスペック端末の魅力の一つではないだろうか。