Android 4.0の身近な話題
最新のOS、テクノロジーといった趣でCMなども放映されているGALAXY NEXUSとAndroid 4.0だが、従来のAndroid端末を使っているユーザーからすると、日常的な使用感にどのような違いがあるのか、気になるところ。12月末のソフトウェア更新がいきなり延期になってしまい、少々残念なのと、同じくソフトウェア更新で追加される見込みのテザリングへの対応なども待ち遠しいが、ひとまずは手元にある状態でハードウェア・ソフトウェアにこだわらず、筆者が気に入ったところ、そうでないところを挙げてみたい。
まず、CMなどでも触れられている「フェイスアンロック」機能だが、顔を端末に向けなければいけない点や、暗い室内、日差しの強い屋外では角度によっては認識が難しいなど、思いの外、うまく機能しない場面が多いという印象だ。グーグルの担当者自らが、セキュリティ面においてはカジュアルな機能と説明していたが、暗証番号をタップする操作と比べて、角度や光の環境など操作面でも少々制約が残っているのは確かだ。
おや? と感心したのは標準のミュージックプレーヤー機能「音楽」。日常的に利用するとなると、イヤホンなどを接続し、再生したまま画面をスリープ/ロックさせてポケットやカバンに入れる、という場面が思い浮かぶが、標準の「音楽」は、画面のロックを解除しなくても、再生や一時停止の操作が可能になっているのだ。すぐに音楽を止めたい時、頻繁に選局をしたい時などでも、いちいち暗証番号の入力やスライド操作といった画面のロック解除操作をしなくてもいいのは便利だと感じた。
筆者が頻繁に利用するのは、「Gmail」アプリ、Twitterクライアント、ブラウザ、「設定」といったあたり。まずGmailだが、Android 3.x系の操作も取り入れて、より多くのメールを効率良く閲覧できるようになっている。具体的には、メールの本文を表示させた状態で左右にスワイプすれば、次のメール、前のメールに簡単に移動でき、受信トレイなどリスト状の一覧画面ではチェックボックスを利用して既読やラベルの追加などさまざまな操作に派生できる。Googleアカウントを複数利用している場合も、切り替えは簡単に行える。
一方、Android 3.x系から継承してしまったのは、アイコンの分かりにくさだろうか。アーカイブ、メールを未読に戻す、既読にする、といったアイコンは、一度使えば理解できるが、初めて見た時は理解できず、恐る恐るボタンを押したものだ。アイコンに「未読にする」といったテキストが付いているわけでもないので、ちょっと乱暴な部分だと感じた。このように、Android 3.x系からはUI全体でアイコンに頼った進化が進み、なおかつ初めてみた時はアイコンの意味がいまいち分からないという場面に多く出くわしている。
Gmailの本文表示。左右のスワイプにすると次・前のメールに移動できる。画面下部のアイコンの意味は、左から「ゴミ箱に入れる」「ラベル一覧を表示する」「未読にする」「サブメニューを表示する」だ。 |
標準搭載のブラウザも利用頻度の高い機能だが、Android 3.x系で筆者が気に入っていた、「クイックコントロール」機能が利用できるのは嬉しい部分。実験的な「Labs」の項目でオンにできる。画面の外から内側に向かって指をスライドすると、指先に扇形の操作パネルが表れるというもので、画面上部に指が届きにくい片手操作では非常に重宝する。このクイックコントロールを使えば、タブを複数開いている場合でも、ワンアクション(ワンジェスチャー)でタブの切り替えまで可能だ。ブックマーク一覧へのアクセスは、タブ一覧画面経由になるなど、少し使い勝手が悪くなってしまったが、こちらはブックマークを一覧表示するウィジェットを使い、代用としている。
ブラウザでは、指先に扇形の操作パネルを表示する「クイックコントロール」を利用可能。片手操作では重宝する |
Twitterクライアントは人それぞれ好みのクライアントがあるだろうが、筆者は「TweetDeck」を愛用している。ところがTweetDeckはAndroid 4.0では一部がうまく動かないようで、具体的にはつぶやきの投稿画面で文字以外を入力できない。写真を撮影したり、ギャラリーを呼び出したりするボタンが表示されないのだ。文字の投稿は問題なくでき、閲覧も問題はない。しかしそこはAndroidのインテント機能に助けられる部分でもあった。例えば写真を投稿したいなら、撮影後に「ギャラリー」から写真を表示して「共有する」を選択し、TweetDeckを指定すれば写真が受け渡され、これまでと同じように写真の投稿が行えるのだ。またこの際、「ギャラリー」では、「共有する」で直前に利用したアプリのアイコンも表示されるようになっており、より使いやすくなっている印象だ。
「ギャラリー」で画像を表示すると、上部には直前に「共有する」で利用したTweetDeckのアイコンが表示されており、すぐに利用できる |
NFCを利用したAndroidビームやフェイスアンロックなど、ちょっと見た目が派手な機能に注目しがちだが、さっと使ってみた印象では、ちょっと性急すぎる進化はあるものの、使い勝手やアプリ同士の結びつきに踏み込み、Android 3.x系をうまく取り込んだという印象だ。