「Nexus S」を使って分かった「GALAXY S」のよさ

2011年2月21日 06:00
(石野純也)

 先週は、Mobile World Congressを取材するために、1週間丸々スペインのバルセロナに滞在していた。海外に行くたびに悩むのが、現地での通信環境。キャンペーン期間中で1日1480円になっているとはいえ、さすがに7日間海外パケ・ホーダイを使うとちょっと料金がかさんでしまう。そこで、今回も現地でプリペイドのSIMカードを調達。昨年同様、YOIGOというキャリアを契約し、グーグルとサムスンが共同で開発した「Nexus S」に挿すことにした。

 ご存知のようにNexus SはSIMフリーで、キャリアを選ばず通信できる。日本国内では電波法に抵触する恐れがあるため、利用は控えたいところだが、元々この機種が販売されているヨーロッパであれば基本的には問題ない。この機種にYOIGOのSIMを挿したところ、自動的にAPNが設定され、すぐに通信可能な状態になった。機種やキャリアによってはダメなこともある日本語でのSMSもOKで、きちんと送受信できた。

 8日間じっくり使ってみて、そのサクサクぶりにはとても感心した。動作のスムーズさは、普段メイン端末にしている「GALAXY S」以上。Android 2.3の恩恵を十分に体感できる差があるといえるだろう。タッチ時の指の滑りも、Nexus Sの方が好みの感覚に近い。

 ただ、やはり細かな使い勝手はGALAXY Sに軍配が上がるとも感じた。Nexus Sが“素のAndroid”なのに対し、GALAXY SはサムスンがUIを細かな部分までカスタマイズしており、自然に操作できるのだ。例えば、電話帳検索はその1つ。Nexus Sだと、電話帳を開きメニューから検索を選択しなければならない。一方のGALAXY Sは、最初から電話帳の上部に検索窓が用意されており、すぐに文字を打ちこめる。スクロールで目的の電話番号を探してもいいのだが、登録が多いと手間がかかる。その意味では、すぐに検索可能なGALAXY Sのインターフェイスの方が合理的といえるだろう。

 分かりやすい部分では、アプリ一覧の画面も、GALAXY Sの方が操作性に優れている。素のAndroidだとここが縦スクロールになり、左右に切り替わるホーム画面との相性がいまいちよくない。人によって好き嫌いは分かれると思うが、自分は指の動きが複雑になりがちだと感じている。一方のGALAXY Sは、ホーム画面もアプリ一覧も、スクロールの方向は常に横で体系的だ。アプリの並べ替えができるのもうれしい。

 このほかにも、通知エリアにWi-FiやGPSなどのスイッチが搭載されていたり、ホームキーの長押しでタスクマネージャーを起動できたりと、様々な部分にサムスンが手を加えている。もちろん、Androidならアプリでいかようにでもなるが、やはりベストな操作感を追求するには時間や手間がかかる。普段はあまり意識していなかったが、Nexus Sを使ったことで、あらためてGALAXY Sのありがたみを感じることができた。