F-01CをモバイルWi-Fiルーターとして活用
筆者はWi-Fi+3G版のiPadをノートPC代わりに使っている。ソフトウェアキーボードの反応などには若干不満はあるものの、外出先でメールやウェブをチェックするには十分事足りるし、メールに添付されたPDFファイルなども快適に閲覧できるので非常に重宝している。
ただ、3Gにアクセスできるとは言え、出向く場所によっては電波をキャッチできずイライラさせられることもある。筆者の実家は大阪府の富田林市というところにあるのだが、ソフトバンクモバイル回線はまだまだ脆弱なようで、場所によっては受信が不安定になったり、屋内に入ると即圏外といったこともある。
F-01CはモバイルWi-Fiルーターとしても使える |
そこで役立っているのがF-01Cの無線LANアクセスポイント機能だ。ケータイに無線LAN親機が内蔵されているわけだが、「ケータイをモバイルWi-Fiルーターとして使える機能」と言ったほうがわかりやすいだろう。
筆者の記憶が正しければ、ケータイに初めてこの機能が搭載されたのは、2009年に発売されたN-06Aではないかと思う。実はそのN-06Aも購入したのだが、当時は原稿を書くために数回試した程度で、実際には無線LANアクセスポイント機能は活用していなかった。この機能を使うと、パケ・ホーダイ ダブルの上限額が月額1万3650円に跳ね上がったからだ。iモードだけを使う場合の上限額が4410円なので、9240円も高くなり、そんなに払うならモバイルWi-Fiルーターを買うほうがいいじゃん! と思った次第だ。
その後、昨年6月にパケ・ホーダイ ダブルの利用料金が改定されて、現在は無線LANアクセスポイント利用時の上限額は1万395円になっている。それでも、iモードだけを使う場合よりも5985円高くなるのだが、まぁ、許容できる額にはなった。
モバイルWi-Fiルーターを買うと、使っても使わなくても毎月利用料がかかる。しかし、ケータイ内蔵の無線LANアクセスポイント機能は使わない月は課金されない。ちなみに、無線LANアクセスポイント機能の利用には「mopera U(Uライトプラン)」(月額315円)への加入が必要なのだが、iモード(月額315円)に加入している場合は「ISPセット割」が適用され、2つを合わせて月額315円になるので、月々の負担が増えるわけでもない。
というわけで、F-01Cは、さほど通信料を気に掛けることなく、モバイルWi-Fiルーターとして活用できている。あらかじめ接続の設定をし、「APモードオン」というメニュー項目を待受画面にショートカット登録しておけば、それを選択するだけで起動できることも気に入っている。
さて、最も気になるのは速度であろう。結論を先に言えば、ウェブやメールをチェックするには不満を感じない程度のスピードは得られる。多少読み込み時間が待たされるもののYouTubeだって見られるし、アプリもダウンロードできる。
モバイルネットワークの通信速度は環境に大きく左右されるので、あくまでも参考程度に捉えていただきたいのだが、一応、iPadに入れた速度計測アプリで実行速度を測ってみた。
東京都世田谷区にある筆者の事務所内で数回計測したところ、iPadから直接3Gにアクセスした場合、下りは約1~2Mbpsで、上りは100kbps前後になることが多かった。Wi-Fiアクセスに切り替えて、F-01Cに接続(つまりWi-Fiを介してFOMAネットワークに接続)させると、下りは約600~800kbps、上りは約150kbpsであった。
iPad 3G版からアンテナ表示がバリサンの状態で直接3Gネットワークに接続した場合の測定結果 | 同じ状況でWi-Fiをオンにして、F-01Cのアクセスポイントに接続した場合の測定結果 |
同じ状況で、「128kbps通信」に設定したF-01Cのアクセスポイントに接続した場合の測定結果 |
なお、F-01Cの無線LANアクセスポイント機能は、最大通信速度を「128kbps」に設定して使うこともでき、この場合、パケ・ホーダイ ダブルの上限額を5985円に抑えることができる。実は、最近は節約のために、この「128kbps通信」で利用することが多いのだが、速度計測アプリで実行速度を測ってみると、上り約100kbps、下り約40kbpsであった。この場合、ウェブページの読み出しがやや遅くなるのだが、メールチェックやTwitter投稿などに不満を感じるほどではない。というか、通信料が安くなると思えば我慢できるレベルだ。
速度うんぬんの前に、FOMAは何よりもサービスエリアが広いのが魅力だ。iPadの新モデルが発売されたら、今度は3G版ではなくWi-Fi版を選び、アクセスポイント対応のFOMAケータイと併せて使うのが経済的かもしれないなぁ、と感じている。SIMフリー版が出たら、また悩むことになるかもしれないけどね(笑)。