Xperiaからのリモートデスクトップ接続に挑戦

2010年10月1日 06:00
(太田亮三)

 前回はspモードでVPN接続が行えないという、ビジネスマンにはややツラい仕様を紹介したが、今回も懲りずにビジネスマン寄りの話題としてリモートデスクトップ接続(仮想デスクトップ)に挑戦してみた。

 「リモートデスクトップ接続」はWindowsに標準で搭載されている機能なので、目にしたことがあるユーザーも多いだろう。離れた場所にあるパソコンにネットワーク経由でアクセスし、パソコンを遠隔操作できるというものだ。同様の機能はMac OS XやLinuxにも用意されているが、今回はWindows 7 Professionalを搭載したノートパソコンをアクセスする先(ホスト)に選んだ。

 Androidマーケットでは、リモートデスクトップのクロスプラットフォームである「VNC」が採用されたものを中心に、すでに多くのリモートデスクトップ・クライアントのアプリが配信されている。筆者は今回、Wyse Technologyが提供している「PocketCloud」を選んでみた。Wyseは昨今のように“クラウド”がもてはやされるはるか前からシンクライアント製品を提供しており、仮想デスクトップの技術においても一日の長があるかも(実際のところはよくわからない)、となんとなく考えてしまったのが理由だ。また、同社製のAT時代のキーボードを個人的に愛用しているという点も選択に確実に影響しているだろう。

 「PocketCloud」には無料版と有料版が用意されており、今回は接続先の登録が1台までの無料版を試した。ちなみにAndroid版は後発で、iPhone、iPad版もしっかりとリリースされている。

 始め方は簡単で、接続先プロファイルを新規に作成し、接続先パソコンのIPアドレス、接続先パソコンのユーザーアカウントとパスワードを入力すればOK。接続が成功すると、Xperiaの画面にパソコンのデスクトップ画面が現れる。この時パソコン側は「ログオフ」の状態になる。壁紙やメニューのアニメーション、フォントの品質などは、回線速度にあわせて設定を変更可能だ。

 使い勝手を左右するポインターの操作は、指で操作しやすいサイズの、ポインター用エリアが現れ、その周辺には右クリックやホイール、キーボード表示、キーコンビネーションなど、各種モードに移行できるアイコンが表示される。パソコンと同じように素早く操作することは難しいが、一通りの操作方法がカバーされており、画面全体の拡大・縮小を併用すれば、思いのほか普通に操作できるという印象だ。

 しかしながら、こういったネットワーク越しで利用するアプリは、運用面で課題にぶつかることが少なくない。自宅のパソコンに外出先からアクセスする場合なら、自宅のルーターのポートを開放する作業が必要だ。VPN接続が可能な会社であれば、スマートフォンからVPN接続を確立した上で、自席のパソコンにリモートデスクトップ接続を行う、ということが(会社のセキュリティポリシーは別にして)可能だが、そう、ここで立ちはだかるのがspモードの「VPN接続非対応」問題なのである……。やはり、mopera Uを追加で契約すべきなのかもしれない。

 クラウドサービスが発展した最近では、日常的に必要なデータはクラウド上に置いている、という人が増えているかもしれないが、自宅や会社のパソコンに必要なデータを保存しているケースがまだまだ主流だろう。「パソコンに保存してあるデータを確認したい案件が発生した」あるいは「常時起動の自宅パソコンの様子を確認したい」、そういった軽い利用なら、スマートフォンからのリモートデスクトップ接続が活躍するのではないだろうか。

設定で壁紙やテーマの有無などを変更できるリモートデスクトップ接続でパソコンのデスクトップを表示したところ。ポインター関連の機能が1カ所にまとまっており、タッチ操作でも使いやすいさまざまなキーコンビネーションにも対応