みんなのケータイ
SIMフリーの次のSIMフリー、eSIM製品を試す
2017年7月7日 06:00
数年前はほとんど選択肢が無かった「SIMフリースマートフォン」が国内に多数登場し、大手通信事業者以外から発売されるスマートフォンやモバイルWi-Fiルーターは、基本的に「発売時点でSIMフリー」と言って差し支え無い環境が整いました。
SIMフリースマートフォンは、好きな通信事業者のSIMカードを使えるという点で、通信事業者を乗り換える際や海外渡航時などに非常に便利ですが、そんなSIMフリーをより便利にする、“SIMフリーの次のSIMフリー”とも言えるサービスが次々に登場しています。
その一例として、前回の本コーナーでは「eSIM」または「VSIM」を内蔵し、世界各地でのデータ通信を1台で賄えるモバイルWi-Fiルーターを紹介しました。
今回は、上海で開催された「Mobile World Congress Shanghai 2017」にて展示されていた「enjoymov」ブランドのeSIMを紹介します。
「Enjoymov SIM」は、世界128の国・エリアのデータ通信に対応するeSIMで、各国や渡航先で利用するパッケージを事前に購入して利用するプリペイド式のサービスです。SIMカードの購入時は、あらかじめ専用アプリケーション上で購入するSIMカードのプラン(行き先や有効期間)を指定しておき、自動販売機などで購入を行います。購入済みパッケージの有効期限が切れた後は、再度別のパッケージを購入して利用可能です。
今回、筆者が購入したのは日本向けのパッケージで、有効期間5日間のデータ通信が52人民元(約850円)のもの。これに、SIMカードの代金が10人民元加算され、支払金額は合計で62人民元(約1000円)でした(データ通信量は失念してしまいました……。すみません)。
日本国内でも主要空港にてプリペイドSIMカードのラインナップが充実していますが、その多くが2000円~3000円前後であることを考えると、「Enjoymov SIM」は価格面でもインパクトがある価格と言えます。
日本国内でのサービスは、中国聯通香港のローミングでの接続扱いとなるため、APNには中国聯通香港の「3gnet」を指定する。と記載されていますが、実際にはAPNはSIMカードを挿した後、自動的にAPNが「3gnet」に切り替えがされました。
実際に日本国内で使っていると、ローミング経由での接続となるためか、日本国内で普段使いしているMNOの回線と比べると低速で、通信速度にストレスを感じることがあるなど、いつでもどこでも快適なデータ通信が利用できることが保証されているわけではありませんが、「海外渡航中の割安なデータ通信サービス」と割り切れば、実用的なサービスと言えるでしょう。
世界各地で現地SIMカードを購入するのは、モバイル好きとしてはもちろん楽しみではあるのですが、慣れない海外で言葉が通じるのか? ボッタクリに合わないか? あるいは、そもそもSIMカードを販売するカウンターやお店の営業時間外だったら? などなど、さまざまな不安があるのも事実です。
これらの不安が解消される、世界中どこでも“そこそこの料金で使えるローミングSIM”に対する需要があるのは明らかで、今回紹介した「Enjoymov SIM」のようなSIMフリーの次のSIMフリーとも言えるサービスの発展を楽しみにしています。