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最新“オーディオ機器”のarrows NXで改めて学ぶハイレゾの聞き方

【arrows NX F-01J】

高音質なオーディオ出力が注目の「arrows NX F-01J」

 NTTドコモの2016~2017年冬春モデルのラインナップの1つ、富士通製「arrows NX F-01J」が発売された。今回の新端末はフラッグシップということもあって、注目のポイントはいくつかあるけれど、そのなかでも個人的に一番気になっていたのが、音質。ハイレゾ対応はもとより、ハードウェア的にも強化されたという音質がどう進化しているのか、じっくり聞けるこのタイミングを心待ちにしていた。

 ドコモの新機種発表会のレポートにもある通り、F-01Jではヘッドフォン出力の回路設計や部品選定について、オーディオ機器メーカーのオンキヨーが協力している。実は富士通グループとしては、PCのFMVシリーズのオーディオ部分で、同じくオンキヨーや、同社の1ブランドであるパイオニアと以前からコラボしている。なので、スマートフォンでも同様にオーディオ周辺をオンキヨーと共同開発するのは自然な流れ、とも言えるわけだ。

ハイレゾの高音質を体感するのに必要なものは?

ハイレゾ対応ヘッドフォンが理想だが、まずは自分が楽しく聞けるかどうかが大事

 F-01Jの音の感想は最後にお伝えするとして、そもそもハイレゾ対応で高音質に聞くことができる、とは言っても、実際のところどうすればF-01Jでハイレゾ音源を高音質なハイレゾのまま聞くことができるのか。今回はそのあたりを改めておさらいしたい。

 ハイレゾ再生に必要なものは、高品質な「ヘッドフォン・イヤフォン」と、「ハイレゾ音源」そのもの、そしてハイレゾ音源を再生するための「プレーヤーアプリ」の3つだ。

 まずヘッドフォン・イヤフォンについては、「ハイレゾ対応」と銘打たれた製品を選ぶのが一番分かりやすいだろう。絶対に「ハイレゾ対応」の製品でなければダメ、というわけではないけれど、あまりチープな作りの製品だと、ハイレゾのウリである音の繊細さを感じ取るのが難しくなってしまう点だけ注意したい。

 かといって、いきなり数万円のヘッドフォンに手を出すのはハードルが高い、と思う人もいるだろう。なので、最初は手持ちのヘッドフォン・イヤフォンで試しつつ、本格的にハイレゾを聞き込みたい! と思ったら、徐々にグレードアップしていくのがおすすめ。オンキヨーのハイレゾ対応ヘッドフォン「H500M」が抽選で当たるキャンペーンも実施中なので、F-01Jを購入したら忘れずに応募しておこう(応募期間は2017年2月12日まで)。

音源とプレーヤーもそろえて、ハイレゾをフルに楽しむ

 次に必要なのがハイレゾ音源。CD音質を超えるものがハイレゾ、とされており、一般的には48kHz/24bit以上の音源が当てはまる。CDを超える音質(データ容量)ということで、音楽CDの形で入手することはできず、通常はインターネット上のハイレゾ音源配信サイトからダウンロードする。ハイレゾ音源配信サイトは、以下のようにオンキヨーが運営している「e-onkyo music」をはじめ国内外に複数存在するので、好みや収録楽曲に合わせて選びたい。

【代表的なハイレゾ音源配信サイト】
e-onkyo music
OTOTOY
mora
VICTOR STUDIO HD-Music.

標準の「メディアプレイヤー」は192kHz/24bitまでのハイレゾ音源を再生できる本格仕様

 ハイレゾ音源の再生には、プリインストールされている「メディアプレイヤー」が使える。対応ファイルフォーマットはWAV/FLAC/MP3/MP4などで、このうちWAV/FLACフォーマットのハイレゾ音源については「Hi-Res」と表示され、画面上で簡単に見分けることができる。WAV/FLACはハイレゾ音源配信サイトの多くで採用しているフォーマットなので、ほとんどの場合このメディアプレイヤーで再生環境としては事足りるはずだ(192kHz/24bitまでの再生が可能なことを確認した)。

 ただし、アナログ的な音質を再現すると言われるDSD形式のハイレゾ音源については、メディアプレイヤーは対応していない。先述の配信サイトのうちいくつかはDSD形式でも提供しているが、それも含めあらゆるハイレゾ音源を楽しみたいならプレーヤーアプリを別のものにする必要がある。

 これについても、オンキヨーが提供している「Onkyo HF Player」なら再生が可能。e-onkyo musicで購入した楽曲を直接ダウンロードしてミュージックライブラリに加えてくれる機能もあり、オーディオ出力にオンキヨーの手が加わったF-01Jともベストの組み合わせになるに違いない。

DSD形式のハイレゾ音源も聞きたいなら「Onkyo HF Player」がおすすめ
e-onkyo musicで購入したハイレゾ音源をアプリから直接ダウンロードできる

明らかにこれまでとは違う、クリアでフラットな音質

 ハイレゾ再生の準備ができたら、いよいよ聞いてみる。以前と比べてノイズや歪みが少なくなった、とアピールしているF-01Jの新しいオーディオ出力、手持ちのハイレゾ音源を聞いてみると、以前までのarrows NXと比べ、どの音楽ジャンルでもサウンド全体のクリアさがぐっと増して、1つ1つの音の粒立ち感が明瞭になった。

できるだけ“いい音”を聞くために、CDはWAVやFLACなどで取り込んでF-01Jに入れておこう

 低音が盛り上がりすぎていたり、高音が鋭すぎたりすることもなく、フラットな特性に仕上げているようで、できるだけ素直な音を聞きたい筆者としても好みの音質だ。特性がフラットであれば、ヘッドフォンを変えた時にその前後で比較しやすいし、ヘッドフォンの性格をはっきりと感じ取ることもできる。

 スマートフォンではあるけれど、arrows NX F-01Jはまさしく1台の“オーディオ機器”として、我が家のAV環境に加わった。この高音質は、それを再現可能なできるだけいいヘッドフォンを使い、できるだけハイレゾかCD音質以上の楽曲で聞きたいところ。特に音の解像感がアップしたおかげで、MP3などの不可逆圧縮音源はそれ自体の音の歪みが目立ってしまいがちだからだ。

 まだハイレゾが話題にもなっていなかった数年前、引っ越しのタイミングで手持ちのCDの大部分をMP3ファイルにして、CDを処分してしまったのを今さらながら悔やんでいる筆者であった……。