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「世界データ定額」の意外な落とし穴

世界データ定額の提供開始以降、外務省の海外安全情報「たびレジ」に関するSMSのみを受信していた

 海外でのデータローミング通信が申込から24時間の間、980円の定額料金で利用できるようになるauの「世界データ定額」が2016年7月22日より提供開始されています。

 世界データ定額がスタートしてから、海外渡航時に世界データ定額を試してみる機会が何度かありましたが、auのSIMカードを挿したAndroidスマートフォンを海外で電源ONにしても、ローミングサービスに関するSMSが配信されないことに疑問を感じていました。

渡航先でのローミング利用に関する案内SMS(※2015年9月16日に受信)

 通常であれば、国内の携帯電話会社のSIMカードを挿した状態で海外へ渡航、現地到着後に携帯電話・スマートフォンの電源を入れると、データローミングがオフに設定していても、渡航先での音声通話利用時や、データ通信の利用時に発生する料金に関するSMSが配信されます。このため、データローミングサービスを利用開始する前に、滞在中の国でどのようなローミングサービスが利用できるのかを知ることができていました。

 国内通信事業者のSIMカードを入れて海外で電源をONにすると、滞在先で利用可能なサービスに関する案内SMSが届くのは、ドコモ・au・ソフトバンクなど各社概ね共通の挙動となっているため、経験的に当たり前と思い込んでいましたが、auは世界データ定額の提供開始に伴ってローミング関連のサービス仕様を変更。Androidスマートフォンでは「データローミングをONにしないと、渡航先でのローミングサービスに関するSMSが一切届かない」という仕様に変更を行っていました。

 この仕様変更が行われていることは、auのカスタマーサポートに世界データ定額に関する問合せを何度か行ったことによって知ることができましたが、auのユーザーでも認識していない方も多いのではないかと思います。

Androidスマートフォンでは、SMSの受信のためにローミング設定を有効にする必要がある
ローミングを有効にすると、データローミングに関するSMSを受信

 当然ながら、データローミング設定を有効にすればデータローミングによる通信が可能な状態となり、ユーザーが特に操作をしていなくてもデータ通信を行うスマートフォンでは、データローミングをONにした時点で海外ローミングの利用料金が発生することが避けられません。

 au側の一連の仕様変更によってデータローミングを有効にするまでは渡航先で世界データ定額が利用できるかどうか、また海外ダブル定額が利用できるエリアかどうかなどの情報を知らせるSMSが届かない仕様に変更となっていました。

 かなり強引な変更のようにも感じますが、データチャージに加入している場合は、端末側のデータローミング設定がONになっていても、世界データ定額の利用開始手続を行うまでは実際にはデータ通信が発生しない仕様です。このため、データローミング設定がONであっても、現地でデータローミングの通信が発生する前に定額料金の適用可否などを知ることができます。つまり、一言で言えばデータチャージに加入さえしていれば、特に問題の無い仕様変更という見方もできます。

 しかしながら、データチャージはその名の通り毎月のデータ通信量が不足した場合に追加でデータ通信量を購入するために必要となるオプションですので、海外でのデータローミングサービスである世界データ定額の利用に必要なオプションであることを理解するのは容易とは言えません。頻繁に海外に渡航する方でも、データチャージには未加入という方も少なく無いのではないかと思いますが、オプション加入だけであれば無料ですので、申込をしておくことをオススメします。

 筆者のケースでは、契約しているプランがLTEプラン+LTEフラットの組み合わせで、データチャージに未加入となっていたために、世界データ定額を利用するためのデータチャージオプション申込を電話にて手続きを行い、SIMフリー端末であるGalaxy Note 5でWebブラウザから世界データ定額の利用開始手続を行いました。

KDDIは国内でアプリをダウンロードの上、事前設定することを推奨している

 auとしては渡航前に世界データ定額アプリをダウンロードし、事前に各種設定を行った上で海外へ渡航することを推奨していますので、海外にて世界データ定額を利用する場合は、au MarketまたはApp Storeより事前に世界データ定額アプリをダウンロードした上で利用することを強くオススメします。

 世界データ定額のサービスそのものは非常に魅力的ではあるのですが、サービスを利用するための事前設定や申込内容を正しく理解していないと、筆者のように意図せず海外ダブル定額が適用されてしまうことが起こり得ますので、本記事をご覧の皆様にはぜひしっかりとサービス内容を事前に把握した上で、トラブル無くサービスを利用していただければと思います。

 なお、KDDIによると一連の変更による影響はAndroid OSのみで、iPhoneでは従来と同様にデータローミングがOFFの状態でも、ローミングサービス利用に関するSMSを受信する仕様になっているとのことですので、iPhoneをお使いの方には影響がありません。

 また、データチャージに加入した上で世界データ定額対象エリア外にてデータローミングを利用する場合は、海外ダブル定額を利用開始するための画面が表示されますので、この場合でも「意図せず海外でのローミング料金が発生してしまう」という心配は薄いと言えるでしょう。