みんなのケータイ

ニューヨークの旗艦ストアに見るWindows 10 Mobileの現状

 Microsoftによるフィーチャーフォン部門の鴻海子会社への売却が発表されてから約3カ月。Microsoftは引き続きWindows 10 Mobile端末の開発は行うとしているものの、今年(2016年)2月に「Lumia 650」を発表して以降、同社からの新製品は登場していない。日本では7月にマウスコンピューターから「MADOSMA Q601」が発売され、HPの新モデル「Elite x3」もこの夏登場と言われている。しかし、2015年末に次々とWindows 10 Mobile端末が発売・発表されたころと比べると、最近の動きは静かすぎる。

2015年10月にオープンしたニューヨークのMicrosoft旗艦店
明るく広い店内

 この状況は日本だけなのだろうか? 8月頭のニューヨーク訪問時、マンハッタンの5番街に昨年オープンしたMicrosoftの旗艦店を訪れ、アメリカのWindows 10 Mobile端末の状況を見てきた。この店舗はApple Storeのすぐ近くにあるというロケーションから、Microsoftの最新製品やサービスのデモを思う存分体験できる店づくりがされている。アメリカの他の都市にあるMicrosoft Store同様、広い店内の一角にはWindows 10 Mobile端末のコーナーも設置されている。

 しかし、あまり積極的に販売する様子は見えず、昨年ラスベガスのストアで見かけたように、各キャリアのプリペイド端末を多数並べて売り込むようなことは行っていなかった。また、来店客もスマートフォンを気に掛ける様子は無いようで、コーナーの前をみな素通りしていた。展示されていた端末は「Lumia 950XL」「Lumia 650」「Lumia 550」のSIMロックフリーモデルと、「Lumia 950」「Lumia 640XL」のAT&Tモデル、「Lumia 735」のVerizonモデル、そして「Acer Luquid M330」「BLU Win HD LTE」のSIMフリーモデル。キャリア向けモデルは他にもあるのだが、そのあたりはBest Buyなどの家電量販店で買ってほしい、ということなのだろう。

 旗艦店であるのであれば、低価格モデルからハイエンド品、そしてプリペイド品まですべてをくまなく置いてほしいところ。たとえば、30ドル程度の低価格機がMVNOのプリペイドであれば、iPhoneやAndroidユーザーが同店を訪れたときにセカンドマシン用途などに買ってくれるかもしれない。ちなみに滞在中に見たWindows 10 Mobile端末の低価格機はBest Buyで販売するClicket Mobileの「Lumia 640」で、29.99ドルだった。なおキャリア品は当然だがSIMロックがある。

Windows 10 Mobileコーナーはやや大人しい印象
Lumia 650以降、目立った新製品が無いのは残念だ

 そういえば、HPのElite x3は7月末にアメリカで販売との噂もあったのだが、展示は無し。残念ながら発売が遅れているようだ。もしかするとこの製品の販売に合わせ、Continuum機能を大々的にアピールしようとしているのかもしれないが、モックアップでも置いて「発売予定!」なんてアピールも欲しいところだ。

 MicrosoftからのWindows 10 Mobileは、もしかするともう噂されているSurface Phoneしか出てこないのかもしれない。せっかく店舗に訪れた消費者をスマートフォンコーナーに立ち寄らせずにそのまま帰してしまうのは勿体ないことだ。Elite x3発売後は、旗艦店のWindows 10 Mobileコーナーのディスプレーが華やかなものになっていることを望みたい。