みんなのケータイ

MWC上海2016では4G「ガラホ」が続々、子供用ウォッチも4G化

 6月末に上海で開催されたMobile World Congress(MWC)上海2016を取材したが、残念ながらWindows 10 Mobile関連のネタは無し。中国メーカーから新たな端末が出てくることを期待していたが、MicrosoftとNokiaの動きが落ち着くまで、しばらくは大きな動きは無さそうだ。

 しかし、MWC上海2016には気になる中国メーカーの端末が多数展示されていた。今年は本イベントに合わせて中国メーカー各社が新製品発表会を開催し、会場にはさっそくそれらが勢ぞろい。しかし筆者が興味を持ったのはケータイの形をしながら中身がスマートフォン、いわゆる「ガラホ」系の端末だ。

中国大手メーカーが勢ぞろいしたMWC上海2016

 中国では4Gの普及が進んでいるものの、2G端末もまだ生産されており売れ続けている。地方や農村部では「通話だけできればいい」という需要も未だに高いからだ。またスマートフォンのタッチパネル操作を嫌う年配層も多い。とはいえ通信事業者側としては2Gから4Gへ移行を促したいところだ。またSMSからSNSへとコミュニケーションの利用手段が移行する中、WEBサービス事業者としてもスマートフォンユーザーを増やしたいところだ。

 そこで中国最大手の事業者、中国移動は端末メーカーと協業してストレート型で10キーを搭載した4G型端末の開発を行っている。それらはフィーチャーフォンを4G化したのではなく、4Gスマートフォンをケータイ化した製品なのである。一見すると2Gのストレート・フィーチャーフォンにしか見えないが、OSはAndroidで動いており、3インチ前後の画面はタッチパネル。大型のタイル状のアイコンが数個並んでいるだけなので操作も簡単だ。中国標準SNSとも言えるWeChat(微信)アプリも標準搭載している。

 しかし、これだけならば2Gあるいは3Gのフィーチャーフォンでも事足りる。4Gを搭載している理由はこれらの端末をVoLTEに対応させるためだ。中国移動はVoLTEのサービスを本格的に開始しており、その先にはビデオ通話やチャット、写真や動画を共有できるRCSの導入も早ければ年内に本格化する。通話とWeChatを使うためだけに4Gガラホを開発したのではないのだ。

 とはいえ、4Gガラホはニッチな製品。開発メーカーもNoain、Biferなど中国で3番手、4番手のメーカーだ。また、ZTEも製品を投入するが開発は子会社である。見た目はケータイ、価格も5000円前後と手軽なので、既存の2Gフィーチャーフォンユーザーの買い替えをスムースに促すことができるだろう。

Noainの4Gガラホ。見た目は普通のストレートケータイ
ZTEのS158は子会社のShanghai ZTE Technologiesが手掛ける

 最近は各国で2G停波の話が少しずつ出てきており、フィーチャーフォンにも3G対応の製品が少しずつ増えている。とはいえフィーチャーフォンをさらにその先の4G化することは難しいだろうと思っていたところ、中国ではAndroidベースで4G化しVoLTEへ対応した製品がここに来て増えているのである。

4G対応のKIDO Watch。698元でまもなく発売予定

 しかも中国のニュースを見ていたところ、子供用のキッズウォッチにも4Gを搭載した製品がMWC上海2016の会期に合わせて登場した。実機を会場で見ることはできなかったが、7月中に約1万円で販売される予定だという。中国ではスマートウォッチに2Gを搭載した製品は多いが品質はイマイチなものばかり。一方、大手メーカーが発売するスマートウォッチで3Gや4Gを搭載したものはまだ数が少ない。他国に先駆け4Gキッズウォッチが出てくるとは、中国移動は本気で4Gの全国カバー率100%を考えているのかもしれない。4G内蔵の面白い製品が中国から続々と出てくることも期待できそうだ。