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2016年度の無線機市場は国内ベンダーがシェア45%、成長が期待される中国ベンダー

~携帯基地局市場と設備投資の今(3)

 MCAが5月に発刊した調査レポート「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2017年版」をもとに、基地局市場の動向を取り上げる「携帯基地局市場と設備投資の今」。シリーズ最後となる今回は、無線機ベンダーの動向について取り上げてみたい。

堅調なNTTドコモへの供給が実を結んだ国内ベンダー

 NTTドコモに参入している富士通とNECは、KDDI(au)やソフトバンクには無線機を供給していない。しかし、NTTドコモは他キャリアに比べ調達規模が大きく、両社はNTTドコモでのシェア獲得が国内市場での地位固めにつながっている。

 KDDI(au)とソフトバンクにおける投資規模が旺盛な頃はエリクソン・ジャパンやNokiaに勢いがあった。投資が縮小している現在は北欧ベンダーのシェアが下がり、国内ベンダーが浮かび上がった格好である。

アジアベンダーに押される北欧ベンダー

 Nokiaは大手キャリア3社に無線機を供給している。NTTドコモ向けはシェア維持となるが、KDDI(au)では勢いを失いつつある。そのため、今後はNTTドコモやKDDI(au)でのシェア回復、ソフトバンクではシェア維持が必須といえる。

 一方、エリクソン・ジャパンはソフトバンクで一定のシェアを持ちながら、KDDI(au)向け供給の拡大を図っている。今後はKDDI(au)でのシェア拡大を図りたいところであるが、サムスン電子ジャパンに勢いがあり、Nokiaとともに押され気味である。

今後の躍進が見込まれるアジアベンダー

 サムスン電子ジャパンはUQコミュニケーションズを含めたKDDIグループでのシェア拡大が顕著になっている。従来、国内や北欧ベンダーに引き離されていたが、2016年度には国内5強といえる地位を獲得した。今後はKDDI(au)やUQコミュニケーションズでのシェア固めがカギになる。

 その他のアジアベンダーとして、華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)とZTEジャパンも国内無線機市場に参入している。華為技術日本はソフトバンク(1.7GHz帯)とWireless City Planning、ZTEジャパンがWireless City Planningへの供給にとどまり、シェアは小さい。しかし、今後、700M/3.5GHz帯への投資が高まる際、両社のシェアが拡大していくことが予想される。

MCA

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」などクオリティの高いサービス提供を行う。