2016年度の国内無線機市場は1413億円、調達先ベンダーとキャリアの関係

　MCAが5月に発刊した調査レポート「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2017年版」をもとに、基地局市場の動向を取り上げる「携帯基地局市場と設備投資の今」。2回目となる今回は、国内無線機市場規模とキャリア各社の動向について見ていきたい。

前年度横ばいに踏みとどまった2016年度の国内無線機市場

　2016年度の国内無線機市場は前年度比1.3％減となる1413億円となった。ソフトバンクにおける大幅な投資抑制が起こったものの、NTTドコモとKDDI（au）は横ばいにとどまり、結果として、国内無線機市場も横ばいで推移した。

　また、2016年度は無線機市場において、2015年度に引き続き、キャリア各社の参入ベンダーの色分けが明確になった。国内ベンダーのNTTドコモ、韓国ベンダーのKDDI（au）、北欧ベンダーのソフトバンクといった形である。NTTドコモとKDDI（au）は当面、この傾向に変化がみられないと推測されるが、ソフトバンクには変動の可能性がある。

NTTドコモ：国内ベンダー中心

　NTTドコモは基本的に国内ベンダーを重視しており、中々、海外ベンダーが参入しにくい状況にある。決して、海外ベンダーの参入を拒んでいる訳ではないが、仕様や条件などから海外ベンダーの対応が困難とみられる。2016年度は富士通が3.5GHz帯で先行した結果、NTTドコモ内シェアでも多くを獲得した。

KDDI（au）：サムスン電子ジャパンに勢い

　KDDI（au）の場合、サムスン電子ジャパンの勢いが止まらない。すでに700MHz/3.5GHz帯を抑え、その他の周波数帯へも供給している模様である。サムスン電子ジャパンはKDDIグループのUQコミュニケーションズへも無線機を供給しており、今後はKDDI（au）の3.5GHz帯とUQコミュニケーションズの2.5GHz帯によるキャリアアグリゲーションが期待される。

ソフトバンク：今後は中国ベンダーの台頭が見込まれる

　ソフトバンクは現在、エリクソン・ジャパンやNokia、華為技術日本、ZTEジャパンから無線機を調達しているが、900MHz帯など既存周波数帯をおさえている北欧ベンダーのシェアが高い。ただ、今後は700MHz/3.5GHz帯が控えており、華為技術日本のシェア拡大が見込まれる。