スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」
Radikoは便利だなあ……
ああっ! コレは21世紀の「FMエアチェック」だ!
2016年7月20日 06:00
Radikoで聴いてiTunesで曲を買う流れ
ここのところ「Radiko」アプリでFM放送を聴いたりしております。きっかけはクルマでの短時間移動。去年からウォーキングやハイキングを始めた感じで、川沿いや山を歩くんですが、その現場まではクルマで行きます。近場なので、まあ30分もあれば行けるんですが、その30分の暇つぶしにFM放送を聴いてみたら「あらオモシロい!」と。結局、スマートフォンでもFM放送を聴くようになりました。
専ら聴いているのは「NACK5」。「monaka」「GOGOMONZ」「キラスタ」そして「FUNKY FRIDAY」など、イロイロな番組を楽しんでおります。
FM放送を聴いていて「いい時代だな~」と思うのは、流れた曲の情報を即確認できるところです。「Radiko」アプリ上にオンエアされた曲の情報が表示されるんですな。聞き流しがちな曲名などを「あっこの曲いいナ」と思ってから確認できて便利。そこから曲を購入することもできます。スマートフォン時代ならではのラジオ聴取スタイルですな~。
ネット経由でラジオ放送を聴きつつ、そのアプリで番組にメッセージを投稿したりオンエアされた曲を買ったり。今では当たり前となった流れですが、音楽好きとしては「気に入った曲」をすぐ買えてホント有り難いです♪
そんなわけで、FM放送を聴きつつ曲を買ったりしている最近。そして先日ふと思ったのが「あっコレってFMエアチェックにソックリだ!」ということです。同時に「そうそう、かなり凝ったわ~、FMエアチェック」と思い出しました。
FMエアチェックとは?
はい、ココからはオッサンホイホイな話でありかつ死語満載です。ので、それぞれ説明を交えながら進めていきたいと思います。
まず「FMエアチェック」ですが、FM放送を録音して楽しむことです。1970年代後半~1980年代に「今では考えられないほど頻繁に行われていた音楽聴取スタイル」で、具体的にはFM放送で流れる音楽をカセットテープに録音して、それを好きなときに再生して楽しむということです。
なんでそんなコトを? 当時、好きな曲を何度も繰り返して聴くには、レコード(樹脂円盤に溝を刻んで音声を記録した媒体)を買う必要がありましたが、当時の若者にとっては「高価」でした。一方、無料で聴けるFM放送を、比較的に安価なカセットテープに録音して聴けば、わりと安上がり。FM放送は比較的に高音質だったので、安く音を保存できるカセットテープの利便と合わさり、「FMエアチェック」が若者を中心に大流行したというわけです。
実際の「FMエアチェック」ですが、「FM情報誌」で番組表をチェックして調べ、放送時にカセットテープへと録音する感じ。「FM情報誌」は「FM Fan」「FM STATION」「FMレコパル」「週刊FM」などの、言ってみれば「FMエアチェック専門誌」のようなものです。当時は、従兄弟2人とワタクシでそれぞれ違う情報誌を購入し、回し読みしていました。
これら雑誌には、もちろんFMエアチェック周辺の話題も盛り込まれていましたが、しかしFM放送を録音するための専門誌、ってスゴいですよね今考えてみると。でも当時FMエアチェックをする人には必須の紙媒体でした。
これら専門誌の番組表には、オンエア予定の曲などが細かく掲載されていました。これを見て聴取者は「おっ、あの曲が流れるゾ!」と録音する気満々状態になったりしたわけですな。
また、放送局側も「聴取者が曲を録音する」ことをわかっていて、音楽専門番組で「曲が流れているときにカブセてトークする」ようなことはまずありませんでした。具体的には「それでは(アーティスト名/曲名)を、どうぞ……(曲が丸ごと流れる)……さて(トーク再開)」みたいな感じ。
FMエアチェック後に曲部分をダビング(コピー)して「曲だけが入っているテープ」へと編集したりする人も多いわけですが、そういうコトがとてもしやすい放送スタイルでした。また、FM放送で楽曲をジックリ楽しみたい聴取者にとっては、「好きなアーティストの曲が最初から最後まで省かれずに流れる」ことは大きな楽しみだったと思います。
FMエアチェックをして音楽を楽しんでいた当時の若者ことワタクシですが、次のステップもありました。「FMで聴いたらスゴくイイ曲だった、ので、さらに音質が高いレコードを買っちゃおう!」という流れです。
FMで曲を知る(聴く)→気に入った→曲を買う。コレって前述の「Radikoで聴いて気に入った曲をネット配信で買う流れ」と、とても良く似てますな。20世紀末がFMエアチェックとレコードなら、21世紀初頭はネット配信の放送聴取&曲購入が、音楽と触れるための大きな流れのひとつだと思います。
イロイロ凝ったFMエアチェック
FMエアチェックは多角的に凝りました。まあ、当時、最も安価に音楽を手に入れる方法でしたので、必然的に凝った感じです。
まずはアンテナに凝りました。拙宅は室内アンテナだとFMの入りがイマイチな地域なので、屋外にFMアンテナを設置。しかしまだ若干電波の入りが弱く、さらに素子の多いアンテナを、より高い位置に設置。これを繰り返し、より素子数の多いアンテナを、もっと高い場所に設置、という感じで、何度も屋根に上ってアンテナをイジっていました。
録音するカセットテープにも凝りました。品質(音質)違いでイロイロとありましたが、実際に同じ曲を録音してもテープによってかなり音質が違います。無難に高級テープを使うという手もあるんですが、「この曲を入れるならこのテープ」みたいにオモシロがりつつ凝った記憶があります。
カセットテープにオリジナリティを加える方向でも凝りました。カセットテープのケース内側に入れるラベルには、アーティスト名や曲名を書き込むと便利なわけですが、手書きだとショボくなりがち。
なので、たとえばインレタ(インスタントレタリング;文字を転写可能なフィルム)で背文字を、タイプライター(一定品質の文字をインクで刻印できる文書作成装置)で一連の曲名を書いたりしていました。また、前述のFM情報誌にはイラストや写真がプリントされた「カセットラベル(レーベル)」の付録があったりして、ソレをカセットテープのケースに入れ、「眺めてもまた楽しいカセットテープ」というオリジナリティを付加したりしていました。
当時はまだ「安価に綺麗な印刷物を作る装置」ことプリンター、どころか、パソコンさえも普及していない時代なので、インレタとかタイプライターとか言ってるわけですな。ちなみに、日本でわりと広めにパソコンが普及し始めたのが1985年前後だと記憶しておりますが、その頃はFMエアチェックもわりと下火になりつつあったような気がします。貸しレコード屋さんの増加と関係が……たぶんあったんでしょうネ。
コンテンツ接しまくり時代!
FMエアチェック時代によく聴いた音楽番組で、小林克也氏がDJの「ブラバス・サウンド・トリップ 渡辺貞夫マイディアライフ」がありました(番組名違うかも!?)。ジャズやフュージョンを主に流していた番組だったと思います。その中で紹介される新アルバムは、ワタクシにとって「当たり率」が非常に高く、その番組がきっかけで何枚もレコードを買いました。小林克也氏はロックのイメージがありますが、ジャズ系の造詣も深く鋭いんでした♪
前述のNACK5で現在放送中の「FUNKY FRIDAY」は、小林克也氏がDJの音楽系番組(毎週土曜日放送)で、ナンと9時間の生番組! 20年以上続く番組だそうです。上記の「ブラバス~」は35年くらい前の番組ですが、35年前も今も、小林克也氏は相変わらずイイ声です。
ただ、「FUNKY FRIDAY」など現在のFM音楽番組で流れる音楽は、FMエアチェック時代のソレと大きく変わったように思います。トーク重視気味の生放送番組が多いからか、1曲を丸ごと全部流すことは少なく、曲とDJの声を敢えてカブらせる流れも多々。楽しいトークの間に多数の曲が現れる感じで、テンポの良い番組が多く、その分、放送中に知り得る曲数も多いです。
また、Radikoでは曲名などが即わかり、リンクを辿ればアーティストの他の曲も聴けたりします。ので、聴取者が少し積極的になるだけで、番組を通じて多数の曲を知ることができるわけです。
FMエアチェック時代は、放送中に1曲丸ごと流しがちだったので、知り得る曲数も多くありませんでした。ネットもない時代なので、あるアーティストの別の曲を知るためには、レコード店を探したり、専門誌を読んだり、人に訊いたり、今と比べるとけっこータイヘン。ある程度の情熱を注がないと、新しい音楽を見つけることはできませんでした。
FMエアチェック時代と比べると、現在は桁違いの量の音楽にアッサリと接することができます。前述のとおりRadikoだけでも多数の曲を知ることができますし、その先チョチョイとネット検索すれば、聴ききれないほどの曲がすぐに見つかっちゃいます。聞こえてくる曲の曲名やアーティスト名を即座に判断してくれるアプリなんかもありますな。
音楽だけではなく、書籍や映像作品なども、昔と比べると「大量のコンテンツの即アクセスできる」ようになりました。電子書籍やビデオ・オン・デマンドサービスを使えば、今すぐ手に入ります。
さらに、音楽も電子書籍も映像作品も、最近加速的に増えまくり中……というか「過去にはネット経由で配信されていなかったものまで続々登場中」って感じです。ここ数年でホント急増って気がします。
ともあれ、音楽をはじめ、コンテンツを見つけやすく、接しやすい時代です。過去と比べると、多くの面で「とても幸福な時代」だと思いますので、存分にコンテンツを楽しみたいものです。
ただ、一方では「うっかりしていると自分の持ち時間がコンテンツ消費時間としてどんどん蒸発しちゃう時代」だとも思います。そのあたり、軽く気を引き締めつつ、引き続き楽しみたいと思います。