ケータイ用語の基礎知識

第681回:nit とは

輝度を表す単位「nit」、「cd/m2」とも。

 「nit」とは輝度、つまり、明るさの度合いを示す単位です。携帯電話に関しては、ディスプレイの明るさなどを表わすときに用いられます。nitは、国際単位(SI)系で定められた単位で、1nitは1cd(カンデラ)/平方m、つまり、1平方メートルの面積をムラなく1cdの明るさで光る輝度のことを言います。

 携帯電話に使われている液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの表示性能を決める要素は数多くありますが、輝度は、その中での主要な要素のひとつです。

 ちなみに、「cd」という単位もSI系で定められた光度の単位です。カンデラという用語は、英語でろうそくを表す「candle」などと同じ語源のラテン語、candelaに由来しており、1cdはだいたいろうそく1本の程度の明るさとなっています。

Androidスマートフォンでの画面の輝度設定画面。写真の場合「オート」になっており、環境光にあわせて輝度を調整するようになっている

 スマートフォンで言うと、アップルの「iPhone 6」は、ディスプレイの最大輝度が約500nit(=500cd/m2)とされています。かつて「高輝度」ディスプレイをうたったスマートフォンとして、2011年夏モデルとして登場したNTTドコモのLG製スマートフォン「Optimus bright L-07C」では、700nitという高輝度のIPS液晶を搭載していました。

 ディスプレイは最大輝度が高い方が画像を美しく見せられる一方、常に最大輝度になっているわけではありません。輝度を上げるということは、液晶ディスプレイの場合、バックライトを最大の明るさで点灯(AMOLEDなど有機ELディスプレイの場合は画素そのものの明滅が最大)ということになりますので、その分、電力を使ってしまいます。

 一般的にスマートフォンの場合、センサーで周りの明るさを観測し、環境光にあわせて輝度を調整したり、また、一定の時間で輝度を低くするような設定がしてあったりします。また、「画面の明るさ」などの設定で変更できるようになっています。

ディスプレイ性能を表すさまざまな指標

 ディスプレイで映像を美しく見せるためには、「輝度」の高さだけではなく、さまざまな性能が必要です。

 たとえば、画面の一番輝度の大きい白色の部分と一番小さい部分の比で表す「コントラスト」も重要な指標のひとつです。コントラストは「1000:1」や「5000:1」というように比で表します。この比が大きければ大きいほど、くっきりとした映像を表示させることができます。

 ちなみにiPhone 6の液晶ディスプレイのコントラストは約1400:1です。これは、液晶の白く表示された部分が、黒く表示された部分の約1400倍の明るさということになります。

 「画素数(ピクセル数)」「精細度」も重要な指標でしょう。ディスプレイは、明滅する数多くの点が合わさって面になっています。画素数は、ディスプレイの面が縦の点の数と、横の点の数で構成されているかを示すものです。iPhone 6の場合、1334×750ピクセルを表示できる液晶ディスプレイを搭載しています。

 また、精細度は、画像のキメ細かさを表わします。単位はppiです。ppiとは、英語のpixel per inchの略で、インチごとのピクセル数を意味しています。この数字が大きいほど画像のキメが細かいことになります。iPhone 6の場合は441ppi。iPhone5では326ppiですから約1.35倍高精細になったことになります

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)