ケータイ用語の基礎知識
第637回:UE カテゴリー4とは
(2013/11/6 06:00)
「UE カテゴリー4」は、国内の携帯各社で提供されているデータ通信方式「LTE」のカテゴリーの1つです。ここで言うカテゴリーとは、いわば性能の違いを示す言葉で、LTEの規格では、カテゴリ1~5まで存在しています。
日本では、当初、カテゴリー3対応となっていましたが、最近、NTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンク、イーモバイルの各社からカテゴリー4に対応したスマートフォンやモバイルWi-Fiルーターが登場しています。
「UE」とは、“User Equipment”という英語(直訳すると利用者の装備)の略です。簡単に言えば、端末、つまりユーザーの利用しているスマートフォンやWi-Fiルーターのことです。カテゴリーは、モバイル向け通信技術のW-CDMA方式やLTE方式の規格を定めた「3GPP Release8」で示されています。
カテゴリー | スペック |
カテゴリー1 | 最高伝送速度:下り10Mbps、上り5Mbps |
変調方式:下りQPSK・16QAM・64QAM、上りQPSK・16QAM | |
MIMO:使用しない | |
カテゴリー2 | 最高伝送速度:下り50Mbps、上り25Mbps |
変調方式:下りQPSK・16QAM・64QAM、上りQPSK・16QAM | |
MIMO:2×2MIMOを使用 | |
カテゴリー 3 | 最高伝送速度:下り100Mbps、上り50Mbps |
変調方式:下りQPSK・16QAM・64QAM、上りQPSK・16QAM | |
MIMO:2×2MIMOを使用 | |
カテゴリー 4 | 最高伝送速度:下り150Mbps、上り50Mbps |
変調方式:下りQPSK・16QAM・64QAM、上りQPSK・16QAM | |
MIMO:2×2MIMOを使用 | |
カテゴリー 5 | 最高伝送速度:下り300Mbps、上り75Mbps |
変調方式:下りQPSK・16QAM・64QAM、上りQPSK・16QAM・64QAM | |
MIMO:4×4MIMOを使用 |
LTEは、基地局側で使えるカテゴリー、端末側のカテゴリー、そして通信に使える周波数の幅(広さ)で、最大通信速度が決まります。UEカテゴリー4対応の端末を使う場合、基地局側がカテゴリー4に対応し、さらに20MHz幅という周波数の広さがあれば、下り最大150Mbpsの通信が利用できることになります。
どれか1つ、満たしていないと、最高スペックにはなりません。もし基地局側がカテゴリー4対応でも、端末がカテゴリー3、という場合はカテゴリー3の最高スペックでの速度(下り最大100Mbps)になります。また基地局と端末がカテゴリー4対応でも、周波数が足りなければ、下り150Mbpsにはなりません。
各カテゴリーの最大通信速度は、連続した20MHzの帯域を使用した場合の数値になっています。これがたとえば3/4の周波数幅、つまり15MHz幅しか使えない場合、カテゴリー4の場合、150Mbpsの3/4、つまり下り最大112.5Mbpsになります。
各社のカテゴリー4対応状況
国内各社のLTEサービスを見ると、2013年11月現在、ドコモ、au、ソフトバンクの3社がカテゴリー4対応サービスを開始しています。ただし利用できる周波数幅の違いで、最高速度の違いがあります。
ドコモの「Xi」の場合、東名阪において、下り最大150Mbpsのサービスがスタートしています。これは1.7GHz帯という周波数(20MHz幅)を使ったものです。東名阪および九州以外のエリアでも、1.5GHz帯の15MHz幅を利用することで、下り最大112.5Mbpsでのサービスを展開し始めています。
auのLTEサービスは、800MHz帯や1.5GHz帯、2.1GHz帯を活用していますが、高速サービスは2.1GHz帯で提供されることになっています。ただし、2.1GHz帯は3Gサービスにも利用されているため、3Gの利用があまり多くない場所から、電波をLTEに転用して高速サービスを提供しています。これまでのところ、まずは千葉県の木更津市の一部で、下り最大150Mbpsのサービスが提供が開始されています。
ソフトバンクモバイルは、「SoftBank 4G LTE」(2.1GHz帯)で15MHz幅を使い、カテゴリー4に対応しています。エリアは、2013年11月現在、群馬県および千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県の一部で、下り最大112.5Mbpsになっています。東京周辺の一部エリアとなっていますが、山手線周辺などの都心部はまだ含まれていません。
各社からUEカテゴリー4対応機器が発売されている
また各携帯電話事業者からは、UE カテゴリー4対応のスマートフォンやタブレット、モバイルWi-Fiルーターが提供されています。
NTTドコモの場合は、2013年11月現在、2013年冬~2014年春モデルのスマートフォン8機種、タブレット1機種、モバイルWi-Fiルーター2機種が対応機種です。なお、2013年春モデルのスマートフォン「Ascend D2 HW-03E」、モバイルWi-Fiルーター「HW-02E」もUE カテゴリー4対応ですが、これらの機器は1.7GHz帯に対応していないため、最大速度は下り112.5Mbpsです。
auでは、2013年冬モデル(スマートフォン6機種とタブレット1機種)が対応機種です。
ソフトバンクからは、2013年冬~2014年春に発売されるAndroidスマートフォン3機種が対応機種です。
なお、各社から提供されているiPhone 5s、iPhone 5cは、どのカテゴリーなのか、携帯各社の幹部がこれまで報道陣に語ったところを総合すると、カテゴリー3対応(下り最大100Mbps)と見られています。
イーモバイルから販売されているスマートフォンやモバイルWi-Fiルーターも、カテゴリー4対応機種が存在しています。ただし、イー・モバイルの通信サービス(1.7Ghz帯)では、20MHz幅のサービスが用意されていないため、下り最大37.5Mbps(一部エリアで下り最大75Mbps)となります。