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ドコモ最新4機種の実力検証
ドコモ最新4機種の実力検証
【カメラ対決編】最もウマく撮れるのはどれ?
(2013/7/5 13:59)
NTTドコモ・夏モデルの“ツートップ”と“トップ下”を合わせた4機種で性能を比較してみようというこの企画。これまでは2回続けて「ARROWS NX F-06E」が勝利を収め、トップ下の底力を印象づける結果になっている。第3弾の今回は、おそらくほとんどのユーザーが頻繁に使っているであろう「カメラ」をテーマに検証してみたいと思う。
対象となるモデルは、ツートップの「Xperia A SO-04E」「GALAXY S4 SC-04E」に、「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」「ARROWS NX F-06E」を加えた4機種だ。
解像感、色合い、暗所の性能をチェック
カメラの機能や性能は、購入機種を決めるときの判断材料の1つとなるくらい大きな要素と言えるだろう。レンズやセンサーの性能は年々向上し、画素数はますます増え、独自の画像処理エンジンで画質をさらに向上させる取り組みなども行われており、あらゆるシーンを簡単に、美しく撮影できるようになってきている。
前の機種でも十分な画質で撮れていたはずなのに、機種変更したら「前より断然きれいになった」と実感できるほど毎回毎回進化しているのはすごいことだ。メーカーの方々の努力には本当に頭が下がる。
しかし、一般的には“他の最新機種と同時に試す”という機会はまずないだろうから、写真の画質についてはある意味「今はこういうものだろう」とありのままを受け入れるだけになってしまいがち。実際のところ、最新機種の中だけで写真の出来映えを比較したら、違いは出るのだろうか?
というわけで、4機種の静止画撮影時の画質を比較するべく、「解像感」「色合い」「暗所」の各性能を判断できそうな3つのシーンを用意して撮影を行った。なお、撮影は下記の条件のもと行っている。
- 基本的に初期設定から変えずにメインカメラ(アウトカメラ)で撮影
- 解像度設定のみ変更し、縦横比4:3における各機種の最大解像度に設定
- 暗所ではあえてライト(フラッシュ)をオフに設定
- 手ぶれを無くすため端末は三脚に固定し、アングルを可能な限り同一にした
各機種のカメラの仕様
機種名 | 有効画素数 | 最大撮影解像度 | センサー |
---|---|---|---|
Xperia A SO-04E | 約1310万 | 3920×2940 | 裏面照射型CMOS |
GALAXY S4 SC-04E | 約1320万 | 4128×3096 | 裏面照射型CMOS |
AQUOS PHONE ZETA SH-06E | 約1310万 | 4128×3096 | 裏面照射型CMOS |
ARROWS NX F-06E | 約1630万 | 4624×3468 | 裏面照射型CMOS |
視力検査をしてみよう
まずは「解像感」を調べるため、スマートフォンの“視力検査”を行ってみた。「C」のマークがどこまでくっきり見えるかによって、各機種の“視力の良さ”がわかるはずだ。なお、撮影の都合により上記の参考資料とは紹介する順序が異なっている点についてはご容赦いただきたい。
解像感比較(リンク先は最大解像度の画像)
解像感比較(トリミング)
解像度で分が悪いこともあってか、Xperia Aは、視力2.0のマークの向きがはっきり認識できない。AQUOS PHONE ZETAは画像全体の見た目は白がくっきりしていてきれいではあるが、細部をズームして見ていくと波打っているかのような乱れが目につく。
ARROWS NXは、全体的にはXperiaと傾向が似ており、やや暗めでノイジー。解像度が高い分、ARROWS NXの方がマークの向きは若干わかりやすいようだ。細部までシャープに映し出し、マークの向きもしっかり判別できるるのはGALAXY S4だろうか。
花束をプレゼントしてみよう
写真においては、全体の印象を決定づける「色」の再現性の高さも重要だ。そこで、あいにくの曇り空ではあったが、ある程度明るさのある屋外で、カラフルな花束を撮影し、色合いをチェックしてみた。植物の質感が再現されているかどうかも確認できるのではないだろうか。
色の再現性比較(リンク先は最大解像度の画像)
Xperia Aはかなり色が濃く見える。これは、カジュアルな撮影に使うことが多いスマートフォンユーザー向けに、メリハリの利いた画作りを意識しているからかもしれない。AQUOS PHONE ZETAは露出制御のせいか、全体的に明るめに振っているからなのか、画面上でも他と比べて白く見えるほどで、白い花の部分が飛んでしまって細部がわからないのが残念なところだ。
ARROWS NXとGALAXY S4は似た印象だが、ARROWS NXの方がどちらかというと飛び気味。個人的にはGALAXY S4の方が色調のバランスが良く、肉眼で花を見ていた時の色合いにも近いように感じた。
ケーキで祝ってみよう
スマートフォンのカメラ機能を宣伝する際に、各メーカーが最近よくアピールしているのが、“暗い場所でも明るく撮れる”こと。レンズ自体の明るさ(F値)を向上させたり、ノイズを目立たなくする性能や技術を駆使することで、暗がりで撮影しやすくなるのはもちろん、シャッタースピードを上げられるため、手ブレを防げるというメリットもある。
この検証では、電気を消した部屋の中で、ローソクの明かりだけで撮影を試みた。炎が揺れたり時間の経過に従ってローソクが短くなることで光の当たり方が微妙に変わることから、厳密に同じ条件で撮影できたとは言えないが、そこから考えられる以上の差異があった。
暗所撮影比較(リンク先は最大解像度の画像)
Xperia Aは画像の左半分が赤みがかり、右半分のケーキ周りはフレアによる紫色のにじみが大きく出ている。ケーキの側面まで映し込んでいて暗所性能の高さは感じられるが、ノイズが多めなのが厳しいところ。一方のAQUOS PHONE ZETAは最も落ち着いた写りになっている。フレアは最小限に抑えられ、イチゴの質感もリアリティがあり、肉眼で見た色合いにかなり近い。
ARROWS NXはフレアに加えてゴーストも激しい。掲載した写真以外にも複数枚撮影しているが、いずれも同様のフレアとゴーストが発生していたので、撮影タイミングは関係ないと思われる。GALAXY S4の色合いはAQUOS PHONE ZETAに次いで好印象だが、やはりこちらもフレアが目立つ。
明るい場所ならGALAXY S4!?
画質の善し悪しについては、どうしてもその人の好みで左右されてしまう部分があるので、上記を踏まえ、あくまでも個人的な感覚で優劣を付けるとすれば、以下のような結果になるだろうか。
カメラ性能比較 結果
順位 | 機種名 | 解像感 | 色合い | 暗所 |
---|---|---|---|---|
1 | GALAXY S4 SC-04E | ◎ | ◎ | △ |
2 | AQUOS PHONE ZETA SH-06E | △ | △ | ◎ |
3 | ARROWS NX F-06E | ○ | ○ | △ |
4 | Xperia A SO-04E | △ | △ | ○ |
オールマイティに活用できるようチューニングされているスマートフォンのカメラだが、それでも、それぞれに画作りにおけるコンセプトの違いを垣間見られたのが面白いところ。もちろんカメラはこういった画質に関する性能だけでなく、普段の使い勝手や機能の豊富さ、動画撮影時の見映えなど、総合的に見て判断することが大切になる。店頭などで実機の操作感も確かめつつ選びたいものだ。
そんなこんなで次回の検証もどうぞお楽しみに!