レビュー

低価格でシンプル・軽量、「Android One S10」を徹底レビュー!

 「Android One S10」は、ソフトバンクがワイモバイルから発売した、京セラ製の5Gスマートフォン。ワイモバイルではこれまでも「Android One」搭載のエントリーモデルを発売してきており、3万6000円という価格面はもとより、OS標準に近いシンプルなユーザーインターフェイス(UI)で、スマートフォンビギナーから注目の高いシリーズだ。

京セラ製の「Android One S10」

 本体サイズは約W69×H153×D8.9mmで、重量は約169g。横幅が70mm以下とコンパクトなため、片手でしっかりとホールドできる。また、最近のスマートフォンは200gオーバーのモデルが多いため、手に持ってみるとかなり軽く感じる。

 カラーバリエーションは、今回テスト用に借りたネイビーのほか、ホワイトとピンクの3色展開だ。

本体背面

Android One S10の特徴とは

 本体は抗菌・抗ウィルス加工が施されており、IPX5/IPX8の防水性能。IP6Xの防塵性能だけでなく、泡タイプのハンドソープやボディーソープを使って丸洗いも可能。さらにアルコール除菌シートや除菌スプレーを含ませた布で拭くこともできる。コロナ禍では嬉しい機能といえる。

泡タイプのハンドソープで丸洗い可能

 そのほか画面や手が濡れた状態でも、誤反応せずに操作ができるウェットタッチを搭載。台所など水回りで使えるのはポイント。もし調味料などで汚れてしまっても丸洗いできるので安心だ。

ちょっとした水濡れでも、ちゃんと操作できる

 またこの季節にはうれしいグローブタッチ機能も搭載。利用時に設定からオンにする必要あるものの、作業用グローブや軍手などいわゆるスマホ用手袋じゃなくても、着用したままタッチ操作ができるのは便利。

厚手のグローブをしていてもタッチ操作可能

約6.1インチのディスプレイは十分な明るさ

 ディスプレイは約6.1インチのTFT液晶で解像度は1080×2400ドット。ピクセル密度も高く、Webサイトなどを見ていてもドット感は感じられない。

 白の画像をGoogleフォトで表示し、輝度を最大にした状態で照度計で計ったところ、486Lxだった。同条件で「iPhone 14 Pro」は703Lx、「Pixel 7 Pro」は819Lxだったので、ハイエンドの有機ELパネル搭載モデルと比べると若干暗め。

 とはいえ、普通に使うぶんには十分な光量があり、よほど日差しの強い屋外などでなければ問題なく使用できる。

照度計での計測は486Lx

操作感は?

 プロセッサーはミッドレンジの中でも低価格モデルに採用例が多いMediatek製の「Dimensity 700」。メモリーは4GBでストレージは64GBとなっている。コストを抑える意味ではDimensity 700という選択肢はありだが、Dimensity 700の発表は2020年11月と約2年前。メモリーとストレージもやや物足りなさを感じる。

 実際操作してみると、もっさりとしてストレスを感じるほどのレベルではないものの、画面のスクロールや切り替えで、若干もたつきやつっかかりを感じるときがある。ゆっくり操作する人なら問題なさそうだが、スマートフォンに慣れていてタッチ操作が速い人だと気になるかもしれない。

画面スクロールでひっかかりを感じるときも

 本体右側面には、上から音量ボタンと電源ボタン、そしてGoogleアシスタンとボタンが装備されている。そのため三脚や自撮り棒などにフォルダーで固定して使う際に、どれかのボタンと干渉してしまう。Googleアシスタントボタンは、Google アシスタントの利用頻度が高いユーザーにはありがたい機能だが、最近は搭載していないモデルも多いので賛否の分かれるところだ。

本体右側面
本体左側面
指紋認証センサーは本体背面に配置
Googleアシスタントボタンが使える
底面にType-C
本体にはストラップホールもある

 バッテリーは4380mAhで、Type-CのPDに対応しており、スペックでは約85分で満充電にできるとのこと。バッテリーケアモードを新たに搭載し、オンにすると100%まで充電されないようになる。これによりバッテリーへの付加をおさえて、寿命を延ばすことができるわけだ。

設定からバッテリーケアモードをオンにするが、その際には再起動が必要

 メーカーでは3年使用しても、90%の電池容量を維持できると話している。Android Oneということで、2年間のOSバージョンアップ(発売の搭載OSはAndroid 13)と3年間のセキュリティーアップデートも保障されており、この点とあわせて長く使えるスマートフォンと言えそうだ。

カメラ

 カメラは、背面がメインとワイドの2眼仕様。どちらも1600万画素で、カメラアプリからメイン(T)とワイド(W)をタップして切り替えられるようになっている。デジタルズームは4倍まで。ズームの倍率を調整できるのはメインだけで、ワイドのときにズームをしようとすると、自動でメインに切り替わる。

背面カメラは2眼仕様

 撮影モードは標準の「フォト」と「ビデオ」のほか、露出などの設定が細かくできる「プロフォト」、「プロビデオ」も用意されている。またナイトモードとポートレートの定番モードも搭載。ただしナイトモードとポートレートは背面カメラのメインのみ利用可能で、ワイドやインカメラは選べないようになっている。

カメラアプリのUI

 以下は「Android One S10」で撮影した作例。撮影は基本的に明るさやピントなどは調整せず、レンズを向けてそのままシャッターを押している。晴れた屋外など、光量が十分にあるケースではかなりキレイに撮れている。デジタルズームも2倍くらいまでなら十分実用的だ。ただし飲食店のような暗めの屋内といったシチュエーションでは、若干暗め。とはいえ実際の色に近い発色ではある。

メインで撮影
ワイドで撮影
デジタルズームのチェックのため等倍で撮影
デジタルズーム2倍
デジタルズーム最大の4倍
暗めの室内での料理撮影
接写テスト
三脚で固定した上で、ナイトモードで撮影
ポートレートモードで撮影

 ちなみにビデオは最大で1080pとなっており、4Kでの撮影はできない。作例を見てもらうとわかるが、写真よりもかなり暗めでぼやけた印象。動画撮影はメモ程度と考えたほうが良さそうだ。

ビデオはフルHDまで

 モバイル通信は5Gに対応しており、5Gの搭載周波数帯は、n3/n28/n77/n78/n79とサブ6のみ。SIMトレーは爪でひっかけて引き出せる仕様で、ピンが無くても交換できるのは便利。SIMトレーにはnanoSIMが1枚セットできるほか、microSD(最大1TB)も装着できる。またeSIMにも対応しているので、物理SIMとeSIMのデュアル運用も可能だ。

nanoSIMとmicroSDをセットできるトレー

 「Android One S10」は、エントリーモデルということで、ミッドレンジやハイエンドと比べると物足りない部分も多い。とはいえ丸洗いでき堅牢性も高いボディや、バッテリーの寿命を長くする「バッテリーケアモード」など、低価格ながら長く使えるというメリットの大きさを感じさせるスマートフォンだ。

【お詫びと訂正】
初出時、作例の表示に不具合がありました。お詫び致します。(編集部)