レビュー

「TCL 10 5G」クイックレビュー

 11月24日に発売される「TCL 10 5G」。プラススタイルからはすでに先行販売が開始されている本機のクイックレビューをお届けする。

 3万9800円という低廉な価格ながら、4500mAhの大容量バッテリーやクアッドカメラ、独自の技術が注ぎ込まれたディスプレイを備えるTCL 10 5G。

 背面は、丸みを帯びたガラスで仕上げられており、角度によって色が変化する塗装も相まって価格の割に安っぽい印象は感じられない。背面カメラは横1列に並んでおり、両サイドにLEDフラッシュが収まる。その直下にあるのは指紋センサーだ。

 右側には上から音量ボタンと電源ボタン。逆側の左サイドには「スマートキー」が配置されている。1度押し、2度押し、長押しの操作に応じて好みの機能を割り当てられる。フラッシュライトやカメラなど瞬時に使いたい、というものを設定しておくと便利だ。

ディスプレイ

 TCLは、テレビ分野での経験をもとにスマートフォンでもディスプレイ技術を売りにしている。

 TCL PLEX、TCL 10 PROに続きこのTCL 10 5Gでも独自の映像技術「NXTVISION」を搭載。リアルタイムなディスプレイ処理により、鮮やかな映像を再現できるというものだ。TCLの独自調査によると、実際の色との差異を示す「デルタE」は1以下であるとしている(数字が小さいほど優秀)。

 設定画面から「NXTVISION」を選択し、「表示の拡張」という項目を有効にすると、たしかに写真などの表示が変化します。無効にしているときよりも多少、色の彩度がくっきりとしたものになり、コントラストが強調された印象になるといったところ。

 極端に誇張したような感じにはならず、映画やドラマの視聴には適していそうだ。

 一方で本体のスピーカーは本体底面の1カ所のみ。本体上部にあるのは通話用スピーカーのみで、ステレオサウンドでの視聴はできない。ディスプレイには力を入れている反面、サウンドは少々肩透かしを食らった感が否めないというのが正直なところ。

 Bluetoothか、もしくは3.5mmヘッドホンジャックが搭載されているのでスピーカーやイヤホンを接続したほうがいいだろう。

カメラ

 カメラは4眼構成。3万円台という値段ながら超広角カメラにマクロカメラも備えている。メインカメラは64MPの高画素カメラで、これに加えて2MPの深度センサーを搭載。

 望遠カメラを備えていないものの、超広角撮影やボケ感を出したポートレート撮影も可能と他機種と比較しても見劣りする内容ではないだろう。

マクロモードで撮影
左=超広角で撮影 右=メインカメラで撮影
夜景(ガラス越しで反射あり)、スーパーナイトモードを使用

 カメラの画質は「見たままを普通にキレイに撮れる」という印象だが、前述のNXTVISIONを有効にした状態で撮影した写真を見ると、パソコンなどほかのデバイスのディスプレイで見た時と多少仕上がりに違いを感じるのでそこは留意しておきたい。

 独自の機能としては、スローモーションやストップモーションなどに加えて「ライトトレース」というものを備える。シャッターを長時間開きっぱなしにしたのと同様の効果を得られるイメージで、カメラアプリ中の説明では光や水の動きを捉えるのに最適とされている。

安価な5Gスマホの新たな選択肢

 3万9800円という価格ながら、5Gに対応し4眼カメラを備えるなど決して低くないコストパフォーマンスを持つのがTCL 10 5Gだ。チップセットにはクアルコムのSnapdragon 765G 5Gを搭載。メモリーも6GB搭載されている。ヘビーゲーマーでもなければ処理性能に困るシーンは少ないだろう。

 中国メーカーの中では、UIのカスタムが控えめで他社製のAndroidスマートフォンユーザーでも受け入れやすいかもしれない。まだあまり多いとは言えない低価格でなおかつ5G対応というのもポイントだ。

 注意点としては、ハードの仕様的にNTTドコモの5Gネットワークには対応していない点だ。4Gではドコモでも利用できるものの、5Gで利用する場合はauかソフトバンク、楽天モバイル(後日対応)を選択することになる。

 5G時代を見据えて、そろそろスマホを買い替えたいという方で「あまり予算は用意できないけどエントリークラスは嫌、そこそこの性能はほしい」という場合は検討に値するのではないだろうか。