レビュー
これまでのiPhoneで、あらためて写真を撮ってみたら見えてきたこと
2018年9月15日 21:16
スマートフォンがよく使われる機能の1つはカメラ。2007年に登場した初代iPhoneはややスペック面で見劣りするところもあったが、その後のiPhoneでは、急速に品質の向上が図られてきた。
新しいiPhoneが発表された今回、実写画像を交えながら、これまでのiPhoneのカメラがどう進化してきたかを振り返っていこう。
屋外風景撮影
まずは歴代機種を使い、今、あらためて撮影した写真からご紹介しよう。
解像度で見ると、初代とiPhone 3Gが2MP、3GSが3MP、iPhone 4で5MPと急速に高解像度化した。その後は8MP、12MP(iPhone 6s以降)とゆっくり進化して現在に至っている。あくまで個人的な感想だが、iPhone 6あたりになると、1世代の違いは実感できるような大きな差はなく、3年前のモデルと比べたらちょっと違うかな、いや同じかな、と迷うレベルだと思う。
なお、2018年モデルのiPhone XS/XS Max/XRのカメラは、シングルとデュアルの差はあるものの、公表スペック自体はiPhone Xとほぼ同じだ。
屋内撮影
スマートフォンのカメラではニーズの高い暗所の撮影機能も大幅に強化されてきた。iPhone 4で5MPの裏面照射型CMOSを採用しているが、実写画像を見るとiPhone 4S(8MPの裏面照射型CMOS)で一気に暗所に強くなっている。実はiPhone 4/4Sを比較すると、レンズはf/2.8からf/2.4と明るくなり、かつての一部報道によるとセンサーのメーカーがソニーに変わったともされる。
その後はiPhone 5sでf/2.2、iPhone 7でf/1.8とレンズが明るくなり、センサーやノイズ処理の改善も進み、暗所撮影性能は向上していく。とくにiPhone 5sではスペック表にレンズの明るさやセンサーのピクセルサイズ(1.5μ)も表記されるなど、暗所撮影がアピールされていた。
HDR撮影
iPhone 4以降はHDR撮影に対応している(iOS 4.1から追加された)。HDRは連射した複数写真を合成し、影の部分が黒で潰れたり明るい場所が白飛びを防ぐという機能。現在のスマートフォンカメラでは基本とも言える機能だ。これに対応したことで、逆光シーンにかなり強くなっている。
ちなみにiPhone 4世代のHDRは、センサーの読み出しや処理速度が遅く、撮影時に微妙な処理待ちが存在していた。普通の写真に近い感覚でHDRを撮れるようになったのはiPhone 5s世代のころから。iPhone 5sはHDRを使うかどうかを自動判別するモードが追加され、iPhone 8世代では自動かオフのどちらかで、HDRを強制使用することができなくなるなど、意識しないで使う機能になっている。
ポートレートモード撮影
デュアルカメラはiPhone 7 Plusから搭載された機能だ。広角レンズと望遠レンズの2つを搭載し、それらを同時に使ってエフェクトを追加するポートレートモードというものも利用できる。デュアルカメラ自体は、2018年モデルを含めても3世代のみの機能だが、先行する他メーカーを追従するべく、急速に進化している機能でもある。
たとえば今回の作例で使っているポートレートモードは、iPhone 7 Plusでは背景ボケのみだったが、iPhone 8 Plus/Xでは照明エフェクト機能が追加され、iPhone XS/XS Max/XRでは被写界深度調整機能も追加されている。なおこの機能、人物撮影向けにチューニングされていて、今回の作例のようなフィギュア(リボルテックタケヤ 阿修羅、全高18cmほど)くらいの大きさ・精密さのものには不向きとなっている。
2018年モデルではプロセッサの機械学習進化により、シングルカメラのiPhone XRでもポートレートモードを利用できるようになった。デュアルカメラの意義とは、と思ってしまうところだ。デュアルカメラでは2倍の光学ズームが使えるのもメリットとなる。しかし実はiPhoneの仕様上、暗い場所でズーム撮影しようとすると、明るい広角レンズのデジタルズームに自動で切り替わってしまったりする。
ちなみにiOS 12ではポートレートモードで使われている被写体抜き出しの機能のAPIが公開され、サードパーティ製アプリでも利用できるようになるという。iPhoneのデュアルカメラならではの活用は、iOS 12から広がって行きそうだ。
このほか今回は実写検証していないが、光学手ぶれ補正機能がiPhone 6 Plus以降のPlusシリーズ(5.5インチのデカいシリーズ)に搭載されており、iPhone 7以降は4.7インチのスタンダードモデルでも搭載している。iPhone X以降のデュアルカメラ機では、両方のレンズが光学手ぶれ補正に対応する。
歴代の機種による写真を見て、技術を進化を楽しみつつ、来たる新しいiPhoneの写真がどうなるか、期待したい。